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第4回|メローコーヒー亀和田亮太さんインタビュー【後編】

こんにちは。
「大谷でできることを増やす場所」OHYA BASEの管理人です。
最近まで大谷は紅葉がきれいでしたが、もうほぼ終わってしまったかな。
これからいよいよ寒さがやってくる…と震えています。

さて第4回目のnoteは、前回に引き続き、週末にだけOHYA BASEに現れるコーヒー屋・メローコーヒー亀和田亮太カメワダリョウタさんのインタビュー【後編】です。
お時間が許せば【前編】を読み直してから【後編】をドウゾ。

後編では、夜喫茶のこと亀和田さんから見た大谷町・OHYA BASEについてなどを語ってもらいました。


もやもやしてた大学時代、カフェで過ごす時間に救われた

…自然が大好きな少年期から、一瞬グレた暗黒期を経て、笑、その後は何をしてたんだっけ?

福祉の勉強をしてました、社会福祉士を目指して。
なりたい!というよりも、仕事をするなら人の役に立つことをしたい、という理由で。
それまでがひどかったんで、苦笑。
そう思ったときに一番想像しやすかったのが、医療系とか社会福祉系の仕事だった。
ただ、何も考えないでその道に行ってしまったので、途中で嫌になっちゃって。
福祉の学校だったので、周りは専門職を目指して入学した人ばっかりだったんです。
やりたいことを見つけるために大学に進んだんじゃなくて、やりたいことが決まってるような人しかいなかった。
ふわっとした気持ちで入っちゃった僕は、当然浮いちゃったんですよね。
ついてけないというか、モチベーションが。
そんなもやもやしてた気持ちを抱えてカフェに行って、1人で過ごして考える時間とか、飲んだコーヒーの味に感動したりとか、そういうので気分が晴れるというのをその時期に経験して。
その頃に、自分の好きなもので社会の役に立つのが一番幸せな生き方かもしれないな、と思いはじめてたような。
ちなみにそのときに通ってたカフェというのが、石垣島に行く直前まで働いていたお店だったりします。
学校の輪の中にいるのは正直ちょっとキツかったですね、そのときは。
自分だけこんな熱量低くて、勉強もできないし、何より、もっとやりたいことも見つかっちゃったし。

なるほどー。
ちょっと苦しかった大学時代の思い出だ。
でもその大学生のときの経験も、今のメローコーヒーの活動やコンセプトにつながってるんだね。


余計なものが何もないから気持ちいい、大谷町の夜

さて、やっと最近の話ができそう。
今年5月から始めた夜喫茶について聞かせてください。
まず、なぜ敢えて夜に?

大谷町の夜は静かで暗い。
そして開いてる店もほとんどない、笑。
でもそれ、逆に言えば、自分のやりたいことができるのでは?と思ったんです。
日中の、たまたま通りがかったお客さんがサッと寄るという観光地っぽい場所じゃなくて。
目指さないと来られない、夜にコーヒー飲んで静かにゆっくりしたい、本を読みたい、という、本当に来たい人が来る場所になり得るかな、そういう空間を作れるかな、と。

確かに昼間のOHYA BASEっていろんな人がいろんなことをしていて、ある意味カオティックな場所で、それが面白さであり、難しさでもあり。
夜、誰もいないことを逆手に取ってうまく使ってみるアイデアが「らしい」なぁ、と思う。
実際やってみてどう? 

コンセプトの通り忙しい毎日にほんの少しの贅沢を、で。
「わざわざ来て、わざわざリセットしていく場所」みたいなことをやってみてます。
まぁ、ぼちぼち、という日もありますが、笑。
でも、日中よりもさらに、メローコーヒーのコンセプトを理解してくださってる、伝わってるんだなぁ、という実感が持てる時間です。
そして、お客さんがすごく満足して帰っていくのが伝わってくるから、僕としてもめちゃくちゃ嬉しい。
夜にお酒を飲みに外に行く人はいても、コーヒーを外に飲みに行く人ってあんまりいないと思うんですよ。
でも、それ、すごくいい時間なんだよ、っていうのをもっともっと伝えたい。
だから実は「大人」に来てほしい。
ちょっとだけ心を開いていつもと違う話をするとか、夜じゃないとできない過ごし方をしてみるとか。
そういう場所がひとつ大谷にあっても面白いかな、って。

僕はその夜喫茶の景色を引きで見ているのが好き。
夜喫茶では客席をセッティングしたら、あとは基本的には放置する感じなので。
昼間ならカウンターの前でお話をしたり、という感じだけど。
夜は本当に1人なり2人の時間を過ごしてほしくて。
周りを気にせず自分の時間をそれぞれ過ごしてくれたらいいな、と。
だから余計なことはしない、下手したらオーダー以降一切関わらない、笑。
でも、そのぐらいのポテンシャルがここにはある。
OHYA BASEにも、大谷町にも、両方にあると思っている。

OHYA BASEを使って、大谷町の新しい魅力を発見した感じもある。
まさに「大谷でできることが増えた」んだなぁ、と。

知られてないだけで、夜の大谷町はめちゃくちゃ気持ちいいんです。
車も全然通らないし、明かりもほとんどないし。
聞こえるのは、遠くの車の音、目の前を流れる川の音、虫の声、カエルの鳴き声ぐらい。
余計なものがないから、そういうのが入ってくるんですよ。
普段なら聞こえない音とか、空気感が、夜だとすごくわかる。
自分の家じゃそれは絶対できない。
わざわざ来ないと。

奇をてらったわけじゃなくて「夜の大谷町が気持ちいいから」っていう素直さも、すごくいいね。

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入ってくる情報量が少なければ少ないほど、気持ちいい。
静かな時間だけ。
そこに、ちょっとコーヒーとおやつがある。
それが非常に贅沢だな、って。
ちなみにメニューもめちゃくちゃ少ないです。
過剰なサービスをしないスタンスで。

いいね。
で、遠くでにんまりして、最後はありがとうの気持ちでそっと見送る、と。

さっき「自分のやりたいこと」というワードも出たので、これからのお話もちょっとだけ聞かせてください。

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OHYA BASEでは試行錯誤しながらも好きなようにやってますが、やっぱり将来的には自分のお店を持ちたいな、と。
焙煎所、兼、町のコーヒー屋さん、みたいな。
堅苦しくない、カッコつけてない。
行けばいつもの席があって、いつもの自分に戻れる、という場所を作れたらいいなぁ、と。
地味でも細く長く続いていく、本当に気持ちいい店。
派手さはなくても、きっとそのほうがお客さんはついてきてくれると思ってます。

うん。
メローコーヒーのそういう気取らない居心地の良さみたいなものが伝わって、この1年半じわじわとファンが増え続けてるんだと、側で見ているわたしも感じております。


一見入りにくいけど、実は面白いコトやヒトがいっぱい

ここに出店をして1年ちょっと経ちましたが、今、大谷町ってどんなところって感じてますか?

なんでしょうねぇ。
お店が増えたってのもありますけど、面白い人がいっぱいいるな、集まってきてるな、っていう。
いい意味で不思議な人がいっぱいいて楽しい、笑。
ただ、それはもしかしたら「今」だからっていうのはあるかもしれない。

というのは?

これからいろんなお店や施設なんかができてきて町が活気づくに連れて「今」とは変わっちゃうかもしれない。
町の展開次第で、今の変な面白さが薄まっちゃったりしたら、僕はちょっと寂しい、笑。

働く人も、お客さんも、本当にキャラの濃い人だらけだからね、大谷町。

何が良いかは一概には言えないですけどね。
けど逆に言うと、そうなっても、OHYA BASEがそういう人たちの拠り所っていうか、面白い人が集まる場所として続いてくといいなぁ、って思ってます。

ここのことを「面白い人の溜まり場」と呼んでくれている人も既にいたりすることだし。

あと、OHYA BASEに出入りしている人は、思わぬところで繋がってたりすることが多いなぁ、というのも感じます。
「あれ?既に◯◯で出会ってたかもしれないですね!」とか「◯◯さんと友達なんですか?!」とか「実家めちゃくちゃ近かったんじゃん!」とか。
繋がるべくして繋がる、ご縁みたいなものを感じる。
僕だけじゃなくて、他のメンバーとかお客さんとか含めて、結構みんな。

コワーキングスペースという場所の性質もあってか、自然に自己紹介してくれるお客さんも多いから、どこで何をしているとか知れる機会が多いよね。
繋がりも手繰り寄せやすいというか。

ただのコーヒースタンドとして使うというより、コミュニケーションを楽しみにきているお客さんも多い。
そういう場の雰囲気が作られてるのかもしれないですね。

それがメローコーヒーの力であり、元宴会場だったこのハコの力でもあり、今のOHYA BASEのムードだと思う。
じゃあ、亮太さんにとってはOHYA BASEって、どんな場所?

何なのかわかりづらいし、奥まってるし、入りづらいけど、笑、勇気を持って入ると、ワクワクするコトとかヒトが待っているよ、っていう場所。
踏み出すと一気に世界が広がる場所だな、って自分がお客さんだったら、そう思う。
勇気がなくて入れない…という感じの人が、ガラスの外から覗くだけで去ってしまったりするんですよね。
でも大歓迎ですよ、と言いたい。
入ってみたら、意外とフィットする人、いっぱいいると思う。
知られてないだけで。
変な仲間もいっぱいできるし、やっちゃえやっちゃえって言ってくれる人もいるし、ゆるくやんわり見守られてる感じもするし、笑。
やりたいことを正直にやろう、っていう気持ちで何かに取り組むと、すごく楽しく生きられるなぁ、と。
もっと自由でいいし、いっぱい失敗した方がいい。
生活をするのにお金を稼ぐことは最低限必要。
だったら適当じゃない稼ぎ方をしたほうが楽しいし、毎日充実する、と僕は思ってます。
…という人とかが、OHYA BASEを最初のステップとして使ってみると、面白いんじゃないかと思います。

最後、ちょっと宣伝くさくもなりつつ、いい話にまとまったところで、笑。
本日はありがとうございました。
途中、お客さんのオーダーにも対応しながらじっくりお話を聞かせてくれたのは、メローコーヒー 亀和田 亮太さんでしたー!


〜 インタビュー後記 〜

インタビューの間にも「言葉で表現するのが苦手なので」と言っていたメローコーヒー亀和田さんですが、いかがでしたでしょうか?
普段ご自身のことを多く語らない人なので、結構がんばって話してくれたのかな、と思います。
文字数の都合で残念ながらここに載せられなかったお話もありますが、いずれのエピソードにも自分に正直に生きる、好きだからがんばる、というのは共通していたように思います。

最後に、インタビュアーの独断で挙げるメローコーヒー亀和田さんを知るためのキーワード3つまとめ!

1. 自然体
2. 柔軟性のなかにある芯の強さ
3. 穏やかな天邪鬼

もっと知りたい!この人のコーヒーが飲みたい!と思ったら、OHYA BASEに気軽に遊びに来てくださいね。
メローコーヒーさんは、OHYA BASEに金・土・日の出店です。
最新の出店スケジュールはSNSでご確認を。


次回はOHYA BASEのコワーキングスペースメンバーでアウトドアガイド、マウンテンズノット上野隼矢ウエノジュンヤさんのインタビュー【前編】をお届けします。
公開は12月上旬予定。
お楽しみに!


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