わたし薬の○○アレルギーあるんです?それほんとにアレルギーでしょうか
お薬手帳を確認すると
【副作用歴・アレルギー歴】の項目にたくさん薬の名前が書いてある人もたまにみかけます。
また、私達が記録している「薬歴」と呼ばれるシートの中にも、患者さんから聞き取りを行った副作用歴・アレルギー歴が記載されています。
その中にも、
・ピリン禁
・ペニシリンアレルギーあり
・○○薬で発疹あり
・○○薬で下痢、腹痛あり
ほんと色んな形で書かれています。
これってほんとに
全部がアレルギーなんでしょうか?
一度冷静になって考えてほしい部分です。
ある薬に対するアレルギー(薬剤アレルギー)があるということは、その薬が使用できなくなるだけでなく、成分の構造が似ている同じ系統の薬も使えなくなる可能性があります。
『もし、薬剤アレルギーではなく、たまたまその日の体調、一緒に使っている薬、病気の悪化によって起こった症状だとしたら?』
治療の選択肢を自分で狭めてしまうことになるのです。悲しいですよね。
薬剤アレルギーを調べるにはどんな検査があるのか?
身体の反応を利用したものだと、再度薬剤を投与してみる「再投与試験」や皮膚に薬剤をつけたパッチを貼付する「パッチテスト」と呼ばれるものがあり、試験管の中で行うものだとDLST(drug-induced lymphocyte stimulation test:薬剤誘発性リンパ球刺激試験)と呼ばれるものがあります。
実際には、患者さんへの影響がでないDLSTを実施することが多いですが、その陽性率(その薬がアレルギーの原因だとわかる確率)も50%前後とそれほど精度の高いものでもありません。
そのため、実際にはそのアレルギーが起きたと思われるときに、しっかりとした聞き取り(問診)が重要となってくると思います。
この過程を行わずに薬剤アレルギーと診断されてしまうと、前述したように選択肢を狭める不利益を生んでしまう可能性があります。
アレルギー診断の問診のときにはどういうことが大切か?
これは、先生(医師)だけでなく自分自身でも振り返れる部分だと思うのでいくつかのせておきます。
1)何を服用したのか?
・併用薬
・サプリメント
・市販薬
服用したものすべてを振り返ってみる
2)何に対して使用したのか?
・病名
・その症状は疾患(病気)によるものではないのか?
・症状が悪化したためではないか?
3)そのときに出現した症状
・なるべく詳しく
・皮疹であればその時の状況を写真(画像)で残してもいいかもしれません
4)服用から症状の発現までの時間
5)今までに似たような薬を服用したことはなかったか?
このあたりを一度振り返ってみてはどうでしょうか?
例えば、抗生剤を例にとってみると、
1)風邪薬があわせて処方されていた場合、沢山の薬が処方されることとなり、その薬による副作用であることも否定できない
2)抗生剤は使っていたけれど、皮疹自体は実はウイルス感染症に伴う皮疹だったかもしれない
4)服用から症状発現までの時間がかかっていれば、Ⅰ型アレルギー(即時型と呼ばれるアレルギー)ではなく、生命の危険はなかったかもしれない
5)過去の薬を振り返ってみると、同じ系統の抗生剤を飲んでも問題ないときがあったかもしれない
こうやって振り返ることで、『実は薬剤アレルギーではなかったかもしれない』と思えることもあります。
実際に、ペニシリンアレルギーと自分で訴える患者さんの10~20%しか本当のアレルギーではないとされており、更に死亡に至るアナフィラキシー症状を起こす患者さんは、1億人いるうちの1人くらいと言われています。
そう考えると、もったいないですよね?
「○○アレルギーがある」というものを持っている方は、一度是非その時の状況を振り返ってみることをおすすめします!
最後までお読み頂きありがとうございました。
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