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マヨネーズはやめろ

やめてほしい。だって好きになってしまう。

とある集まりで振る舞われる料理づくりを手伝っていたときのこと。

私は、メインで料理を担当していた塩顔男子の下で、たまごサンドイッチの中身をこさえていた。ゆで卵をざく切りし、マヨネーズで和える。簡単である。しかし、最終的なテクスチャーの仕上がり判断はメインさんに委ねよう、と彼を呼んだ。

「まだカタいですかね?」
混ぜまぜしながら尋ねると、男子は「かもですね」と言って業務用のでっかいマヨネーズを手に取って、私が腹の前で抱えているボールの向かい側からそれをむにゅと両手で絞り出した。

ひゃあ。

得も言われぬ感覚に、私は痺れた。

エロい……。マヨネーズの容器から彼が私に向かってむにゅは、エロいって。エロを想起させるって。彼と私との“そういった現場”を想像せずにはいられんて。

……マヨネーズは、やめろ!!!

心の中でそう叫びながら、神聖なキッチンで馬鹿な妄想をしているじぶんを恥じた。また、そんなことを思われているとは微塵にも知らぬ塩顔男子にすまない気持ちでいっぱいだった。

「まだ……カタいですかね?」

もう“堅い”というワードすら恥ずかしい!! って勝手になりながら、再度チェックしてもらう。

「もういいかなっ」

え!! もう終わり!?
もっとマヨネーズーーー!!!

とかアホなこと、ドギマギしながら作ったサンドイッチを食べたお客さん、ホント申し訳なかった。

だから、男子。やめてほしい。
日常にロマンチックやトキメキは、はびこっている。蔓延している。

想像力豊かな(はた迷惑なともいう)女子が、男子たちの何気ない言動に、勝手に「ひゃあ」や「キュン」となる振る舞いは横行しているのだ。

だからこそ声を大にして言いたい。

マヨネーズはやめろ! 
(オリーブオイルもだ、もこみち!!)

……だって、好きになっちゃうじゃないか。
それまで何の意識もしていなかったのに、「キモっ!」とならないってことは、潜在意識として少なからず好感を持っているのよね、きっと。

だけども、まぁ。そんな思わせぶり(?)なことしておきながら、彼らは全然こちらに見向きもしないんだけどね。当たり前だけどね。くっそーうぅぅぅ。こっちこそキモくてごめんなー。

だから、瞬時にアホな想像と期待をしてしまう己への自戒も込めて、愛おしくも不用心な隙アリ男子たちにこれからも「ひゃあ」や「キュン」となりながらも、こう叫び続けていきたいと思う。

やめろ。やめろ? やめろ! 

……と。ホント好きになっちゃうから、やめてほしい。


▼今後のラインナップ(予定)
「膝上短パンはやめろ」
「誰かが残した唐揚げ口にポイはやめろ」
「キャスター付き椅子でシャーはやめろ」
……etc. お楽しみに。

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