見出し画像

緊急事態条項(国家緊急権)/逢坂誠二 #7779

【24年4月19日 その6082『逢坂誠二の徒然日記』#7779】
午前5時、都内はすでに明るく、雲も少なめです。気温14度。日中も晴れ、今日は25度、夏日になる見込みです。穀雨です。

1)緊急事態条項(国家緊急権)
芦部信喜さんの『憲法第8版』(2023年)に、今、憲法審で議論になっている緊急事態条項(国家緊急権)について次の記述があります。

==以下、引用==
戦争・内乱・恐慌・大規模な自然災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力が、立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限を、国家緊急権と言う。

(国家緊急権は、)立憲的な憲法秩序を一時的にせよ停止し、執行権への権力の集中と強化を図って危機を乗り切ろうとするものであるから、立憲主義を破壊する大きな危険性をもっている。
==以上、引用終了==

国家緊急権は、「立憲主義を破壊する大きな危険性をもっている」との指摘です。
当然と言えば当然です。

一方、国家緊急権を実定化する方法として次の二つの方式を紹介しています。

==以下、引用==
1.緊急権発動の条件・手続・効果などについて詳細に定めておく方式
2.その大綱を定めるにとどめ、特定の国家機関(例、大統領)に包括的な権限を授権する方式
==以上、引用終了==

この実定化について次のように指摘します。

==以下、引用==
しかし、危険を最小限度に抑えるような法制化はきわめて困難であり、二つの方式のいずれも、多くの問題点と危険性をはらんでいる。
==以上、引用終了==

芦部先生の指摘は、
「危険を最小限に抑えるような法制化は極めて困難」、
「二つの方式いずれも、多くの問題点と危険性をはらんでいる」です。

現在、衆院憲法審では、緊急事態への対応として、衆院議員の任期延長が俎上に上がっています。議論を聞いていますと、推進派の皆さんは、任期延長は立憲主義を破壊する懸念はないと感じているように受け止められます。本当にそうでしょうか。

私は、もっと慎重に、多角的に議論すべきだと感じています。

憲法審の議論では、芦部先生の指摘も踏まえた落ち着いた議論をしなければなりません。

さあ今日も、ブレずに曲げずに、確実に前進します。
===2024.4.19===
逢坂誠二への個人献金はこちらです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?