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やさしい夜

最近よく行くお店に行くと何かしら悲しみを抱えている人に出会う。

「誰もが心に傷を負っていて、それを抱いて生きている。」

隣に座っていたOさんは僕に言った。

「本当に眠れないんだったら、医者に行って適切に処置してもらった方がいいと僕は言いますね」とOさんは言った。

何度かお会いしているOさん、彼が夜の0時を過ぎて店にいることが珍しいと言っていた。

この日は夜に溶け込むようにバラッドが店内を満たしていた。

僕は、温かいハーブティーを飲み、その温かさに安らぎを覚えた。心に負った傷は、時間とともに…とみんな言う。僕もそうであると思いたい。

帰り際に、マスターが僕に言った、今日は眠れるといいね、と。

その言葉にさらに安心を得た。そして思う。

結局人の傷は他人の優しさでしか癒えていかないのではないか。

もしそうであるならば孤独ではいけないなと思う。

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