小さな物語 山の涙
山の涙
夕方、山が泣いてました。
真っ赤な夕やけ雲の空の下。涙の光を一粒、山のふもとに落としました。
山の涙の光は、キラキラと、村に町に都会に広がり……、煌めき溢れました。
美しく、美しく。
やがて涙の光をうつすように、夜空にも優しく星粒の光が広がってゆきました。
美しく、美しく。
その美しさに気がついて、山がやっと泣きやんだ頃。
夜空は星々の子守歌で満天になりました。
そうして、山は静かに幸せに眠りにつきました。
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