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詩、不安の夏の夜を歩く

不安の夏の夜を歩く、コンビニの明かり。
見上げれば雲、向こうに星。
祈りを捧げて歩いて行く闇の中。

不意に低い左の空が明るくなった気がしたが……。
雨雲の深く灰色がモクモクと成す。
白く光の瞬間と赤く光の瞬間が沈黙の蒸し暑さの夜を不気味に彩った。

あの夕方の美しかった赤い雲は幻だったのかい?
あのだれもが足を止めてスマホをかまえた美しい時は流れ去ってしまったのかい?

ただ静かに暗い灰色雲は地平をうねりゆく。
ただ静かに不穏な光を身に纏い。
ただ静かに、ただ静かに。
真っ暗闇へ、光を封じ込めている暗闇へ。

帰ろうか。
コンビニの明かりは眩しすぎる。
帰ろうか。
夜空の機嫌が斜めすぎる。
帰ろうか。
君を待たないと。
おかえりなさいを用意しておかないと。

おかえりなさい。
……ただいま。


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