物語:くつしたの宇宙《あの日、サンタのプレゼントは、なぜなかったか?》
#宇宙SF (うちゅうえすえふ)
クリスマスだから、サンタクロース出てくるかな?
きっと出てくるよ。
え、サンタクロースって宇宙なの?
いや、SFでしょ?
いやいやいや。こどもたちの夢、だよ。
え~とではでは。プレゼントがたくさんある、袋の中。あと、くつしたの中。
今日は、そのおはなしですよ。
わあ~~!
むかしむかし。あるところに。
クリスマスのサンタクロースさんがいました。
そして、プレゼントの袋がありました。
プレゼントの袋の中には、実は。
虹色の"夢"、と呼ばれるものがたくさん入ってました。
その虹色の"夢"、は。とりだすとプレゼントになります。
こどもたちの家には、くつしたがありまして。
サンタさんは、くつしたに"夢"を注ぎます。
それで、朝になると。プレゼントになっている、というカラクリです。
ところで。私のこどもの頃のあるクリスマスの日。くつしたにプレゼントは空っぽだったのですが。
サンタさんがプレゼントをくれなかったのでしょうか?
いいえ。サンタさんは、ちゃんと、虹色の"夢"、を注いでくれていました。
実は。私の"夢"、願いは。宇宙でした。
それで、サンタさんが虹色の"夢"、を私のくつしたに注いだところ。
くつしたの中は、宇宙になりました。
くつしたの宇宙は、星で、空間で、時間で、とてもとても美しかったのですが。
いつしか朝になると。
宇宙は夜空と一緒に、朝日に溶けてしまったのでした。
それで、小さな私が目覚めると、くつしたは空っぽ、だったのですね。
ただ、それを知らなかったので。
小さな私はとてもがっかりしました。
今、わかりました。
だから。
サンタクロースさんに、お礼を言います。
どうも。
ありがとう、
ございました。
その宇宙は、今どうなっているか、ですって?
ふふふ。
それはね。
見上げてみてください。
クリスマスの夜に見える星。
もしもあれば。
これが。
あのクリスマスの日の。
プレゼントの宇宙なのです。
いいでしょう?
エッヘン。
ありがとう。サンタクロースさん。
ありがとう。
それでは。
よいクリスマスを!
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