見出し画像

アメリカにおける日系ビジネス

ニューヨークに、小規模から大規模まで、日系の会社は色々ある。

その中に、大きく分けて、ターゲットが、

1、日本マーケット

2、在米日本人マーケット

3、アメリカマーケット

の、3つに分けられる。

日本マーケットは、アメリカの地の利を生かして、EC等、日本に向けてビジネスするパターン。これは、ブランディングしやすいというだけで、日本でビジネスするのとあまり変わらない。もっと言えば、日本で働いているのと変わらない。

日本語サービスが必要な在米日本人マーケットになると、規模は日本向けビジネスの、ざっと25分の一になる。(アメリカ在留邦人は2019時点で42万人)ので、やや特殊なターゲットではあるけど、基本的にはビジネスの規模が小さくなるだけで、上記とあまり変わらない。


問題は、アメリカがマーケット対象の、日系ビジネス。

これは、日本で成功したビジネスが進出してくるケースが多い。楽天、グリー、オンワードなどなど。どれも、まあまあ苦戦している。

新しいところでは、メルカリが多少頑張ろうとしてるっぽいけど、Craigslist という最古で最強の類似サービスがまだ使われているのと、スマホ以前から浸透しているアメリカ版ヤフオク的立ち位置であるebayが結構まだ強い。モバイルは、letgoOffer-up、FacebookのマーケットプレイスとかPoshmarkが頑張ってるけど、彼らですら、古代の巨人Craigslistとシェアを取り合ってる状況なので、私のまわりでメルカリを使っている人は全くいないし誰も知らない。ただ、アメリカの app store で letgo を検索すると、上から5、6番目くらいにメルカリがでてくるので、多少頑張っているのかな...?とも思うけど、まだまだ誰にも知られていない。

他にも、日本で成功しているビジネスがこっちに来て大失敗する例は少なくない。というか、最近ではユニクロ以外、ほぼない。なぜなら、大抵の日系企業は、海外支店を作るのに、日本から日本人を責任者として派遣して、日本人の従業員を雇う。それをしてしまった企業は、ほぼ99%失敗する。断言してもいい。日本での成功モデルと人をアメリカに持ってきても99.9%成功しない。

人口のほとんどが同じ人種で構成されていて、社会構造自体もコンサバな日本は、SNSが発達してきたとはいえ、まだまだマーケティング後進国だと思う。

特に、日本人独特の低リスク戦法は、まず絶対に大失敗する。ユニクロだって、最初にニュージャージーに出して大失敗した。当たり前すぎる。ものが良ければ人が振り向いてくれる、というのはここでは絶対に通用しない。

アメリカでは、資金があるなら、最初はリスクを背負ってでも、まず知名度と利用度をあげる。利益の前に人を集める。その後大失敗していく例ももちろん沢山あるし、成功するとは限らない。だけどまず入り口がそこにあるし、それが主流。ユニクロも、マンハッタンに出店してからかなり風向きが変わってきた。

もう一つ重要なポイントは、現地の人の行動パターン等をちゃんと分かっているか。カルチャーを分かっているか。英語が喋れるだけじゃなく、こっちのカルチャーを肌感で分かっていないと、絶対失敗する。

基本のきかも知れないけど、いきなりステーキの、会計を先にして、厨房に行って注文して、席で待つ、という複雑で馴染みのないシステムは、席について食べ終わったらテーブルで会計とチップを払うのが普通のアメリカ人にとっては、かなり違和感があったと思う。

「日本で成功体験がある、英語が喋れる日本人」と、「アメリカでの成功モデルを経験している人」は、全く違う。大抵の日系企業は、英語を恐れてかリスクを恐れてか、前者のみでアメリカで勝負しようとする傾向がある。でも正直、それが最大のリスクであると思う。しかも、始まる前から終わっているレベルのリスク。

アメリカは人の流動が激しいので、ライバル社達の中で、同じような優秀な人達がぐるぐる回ってすごい量の情報を共有しているというのはよくあること。その輪からポツンと外れて、ただ英語が喋れるだけの昨日今日現地に来た日本人が、そのライバルたちに敵うわけが到底ない。親会社は日本人の方がマネジメントしやすいんだろうけど、それは自分がやり易いというだけの怠慢にすぎない。

そんなスタートからハードルが高い、アメリカにおける日系ビジネスの中で、唯一、例外の日系ビジネスがある。

それは、日本食。

(続く....かも)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?