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青汁の試飲会|エッセイ

20歳の頃、
朝から夕方までは大学、
夜はバイトと落ち着く暇がなく
深夜の徘徊で心を癒していた。

幸い、近所にメガドンキと24時間営業のデカ薬局があったので目的地には困らなかった。
しかも、ドンキで電化製品まで買えるので、
深夜友人とゲームをしていてヘッドホンが壊れた時にも、急遽買いに行くなどしていた。
メガドンキ様様である。

しかし、この24時間営業の薬局
というのが謎だ。
ドンキですらAM5:00〜AM9:00は
閉まるというのに、
24時間営業を貫いている。
正直、終電以降客はいないので
24時に閉まってもらって構わない。
(ちなみに、誰もが知る超有名チェーンだ)

そんな薬局で一度奇妙な体験をした。

深夜2時に入店すると、
この日も見渡す限り客はおらず、
店員も1人だけだった。

誰もいないので、
貸切じゃん!最高!!
と心を高鳴らせながら
私は黙々とショッピングを楽しんだ。

するとふと、
誰もいない天井の方から
視線を感じ始めた。

丑三つ時ということもあり
もしや……………
と思いながら、
意を決して上を見上げてみると、

壁と天井の間が鏡になっていたのだが、
そこから店員がこちらを
見つめている様子が反射していた。

万引き予防のための見張りなのだろうか。
おばけではなかったが、
どちらにせよスーパー恐怖だった。

とりあえず、
尾行ショッピングをいち早く終わらせるべく
私は足早にレジへと向かった。

すると、
「は〜いっ!!」
と今まで別のところにいたので
気がつきませんでしたッ!アセアセ
と言わんばかりに白々しく遠くから店員が
走ってきた。

店員の顔を見てみると、
あることに気がついた。

この人は、
朝来ても昼来てもいる方だ。
なのに今日は深夜だというのに
1人で店番をしている。

店員不足により店長が
自ら出ているのかもしれない。
もはや、世界でいち早く導入された
ヒューマノイドであって欲しいくらいだった。

心がキュッとしたところで、
会計も終わり帰ろうとした瞬間、
「あの…」
と声をかけられた。

「あの…、
 青汁の試飲会をやってるんですけど
 よかったらいかがですか?」

へぇ〜青汁の試飲会ねぇ。。。

一瞬へぇと思ってしまったが、
深夜2時に、
私とあんたしか店内にいないのに、"会"
奇妙すぎる。

彼は暇すぎて、
夜な夜な青汁パーティーを開催
しているのだろうか。
お姉ちゃん、飲み会かない?(青汁)
ということなのだろうか。。

店員として普通なことを
言っているのかもしれないが、
私は不審者だ!!!!と思い、
戸惑いを顔に出さないように
「すみません、大丈夫です。」
と丁重に断り、店を出た。

ヒューマノイドのバグだったのか、
店長の寂しさだったのか。
今でもわからない。

そして数年経った今も私の脳には、
レジ脇のバイト求む!!!と書かれた
大きな求人ポスターが
焼き付いて離れないのだった。

(2日連続怪しいおじさん回ですみません‼︎)

さはら
1997年9月生まれ
ハーフ
座右の銘は晴耕雨読
万年フリーター

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