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テスト:第二十話

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私は藤野前夜が嫌いになった。

嘘。虚無。彼の言葉はどれも軽く、空っぽであった。あるはずもない感情を私に語り、創り出した幻想に取り込まれるように私は吞まれていった。そして私は確認のためと肉体を交えるための口実を作り出し、互いの都合の良い解釈はうまく溶け合っていた。その幻想の融合こそが人間らしく、きっとこれを虚無と呼ぶのだ。

気持ちなどあるはずもないものを私たちは感じられる。その虚無を味わう。ただその感覚はやはり実体のない、存在しないものであるため長続きはしないのである。

藤野前夜、君は事後、虚ろな目で私を見ることもなく、窓の外の月明りが揺らめいているのを見ていたと思う。

そういった時に、幻想はすべて溶け切り、君の中にある虚無が姿を鮮明に映し出す。

私はその光を求めていた。

何よりその光を。

君の本当の姿は美しい。

月明りに照らされ、独りで横たわっていればいい。

君は本来、独りなのだから・・・。

そして私は安堵した。

君の本当を見れて、それが好きだと思った。

取り繕う藤野前夜はすべて嫌いになった。

私に寄り添うこともなく、独りで寂しく揺らめく光を見つめていろ。

そうすれば私は君を愛してやろう。

そういう君なら、永遠に。

すると藤野前夜は突然、私の元に近づいてきた。

また近づいてくるのか。そうして彼は私を抱きしめて、「ごめんね」と言った。

藤野君は再び嘘が始まることを告げた。

私は・・・涙を流した。

束の間の彼に対する私の愛は、姿を消した。

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