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その優しさ、むしろ危ないかも?ーー「ベネヴォレント・セクシズム」とは

「〇〇さんはお子さんがまだ小さいから、転勤を命じるのはかわいそうだ」

こうした配慮は一見優しさのように見えますが、実際には差別を助長している可能性があります。

昨今、職場で一層意識が必要な「ベネヴォレント・セクシズム」について見ていきましょう。


善意の罠:ベネヴォレント・セクシズムが職場に与える影響


ベネヴォレント・セクシズムとは、善意や配慮からくる一見ポジティブに思える言動が、実際には差別を助長していることを言います*1。

例えば、職場でこんな何気ない発言を耳にしたことはないでしょうか。「〇〇さんは女性だから、転勤をさせると可哀そうだ」「〇〇さんはまだお子さんが小さいから、今回のプロジェクトを任せるべきじゃない」などです。

こうした発言は一見、相手のことを思いやっているように見えますが、実際には相手を弱い存在として扱っている側面があることは否定できません。

このような善意や配慮は、主に女性に向けられることが多いとされています。しかし、良かれと思って行っているこれらの行動が、結果的にジェンダー不均衡を助長してしまっているのです。


ベネヴォレント・セクシズムは、女性リーダー育成でも要注意?


これらは性差に対するある種、偏見によるものですが、性差によらず、こうした無意識的な思い込みは日常にも多く潜んでいるでしょう。この多様性の時代にこうした偏見を少しでもなくせるように、まずは自身を客観的に捉えていきたいものです。

このセクシズムは、職場における女性リーダーの育成にも影響を与える可能性があります。特に注意すべきは、成長機会の制限だと考えます。

例えば、「女性は家庭を優先すべき」という価値観は、現代社会では受け入れにくいものです。このような思い込みは、ご本人のキャリアアップの機会を奪い、将来のリーダーシップポジションへの登用も妨げる可能性があります。

また、「〇〇さんにはこの仕事は任せられないのではないか」といった固定観念も要注意です。ご本人の意向を確認せずに決めつけてしまうと、リーダーシップを発揮する機会が減少し、経験を積むチャンスが失われかねません。

これらはまさに"偏見"そのものですが、男性・女性といった性別に関係なく、無意識のうちに持っている思い込みは日常生活にも多く存在します。

こうした「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」と言いますが、この多様性の時代において、こうした偏見に自ら気づくためにも、異なる価値観に触れる機会を多く持つことが大切だと考えられます。


(参考情報)
*1 日本の人事部「ベネヴォレント・セクシズム」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1664/(2024年8月26日アクセス)

*IDEAS FOR GOOD「慈悲的性差別(ベネヴォレント・セクシズム)とは・意味」https://ideasforgood.jp/glossary/benevolent-sexism/(2024年8月26日アクセス)

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