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日本人の本質は「中空構造」にあり?

「中空構造」という言葉をご存じでしょうか?

日本人という民族性を理解するときに役立つ概念ですが、一般的にはあまり知られていない考え方かもしれません。

ただ、聞けば聞くほどなるほどと思わせる概念でもあります。中身を見てみましょう。



河合隼雄が説いた日本人の民族性とは?


日本人の心理を理解するための鍵となる概念が「中空構造」です。

この概念は、日本の心理学者である河合隼雄によって提唱されました。彼の著書『中空構造日本の深層』でその概念が打ち出されました。

河合氏は日本人の心の深層を解明するモデルとして『古事記』神話における中空・均衡構造を提示し、西欧型の中心統合構造と対比させて、その特質を論究しています。

具体的にはどういう概念なのでしょうか?


中空構造とは、つまりはドーナツ?


「中空構造」とは、特定の中心が存在せず、相反する要素がバランスを保つという構造を指します。もし形を描くなら、真ん中がぽっかり空いたドーナツのようなものです。

これは『古事記』などの日本の神話に見られる特徴で、中心に位置する神が何もしないという構造が見られます。河合氏は「中空巡回形式」という概念も提唱していますが、相反する者同士がバランスを保ち、二項対立の中心が空になるという構造を指します。

この「中空構造」は、日本人の行動や思考のパターンを理解する上で非常に有用です。例えば、日本のビジネスシーンでは、一見すると相反するような要素が共存していることがよくあります。競争と協調、個人主義と集団主義、伝統と革新。これらは一見すると相反するように見えますが、日本のビジネスシーンではこれらが共存し、バランスを保つことで成り立っています。これはまさに「中空構造」の表れと言えるでしょう。

こうした「中空構造」は、日本の伝統芸能である能楽にも見ることができます。能楽は、舞台上で何もしない「地謡」が中心となり、その周りを「囃子方」や「狂言方」が巡るという構造を持っています。これは、「中空巡回形式」そのものです。

このように、「中空構造」は日本人の心理を理解するための重要な視点であり、日本の文化や社会を理解するための一助となるでしょう。そして、この「中空構造」を理解することで、日本人の本質に迫ることができるのではないでしょうか。

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