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これからの人事に必要な2つのマネジメントとは?

人材の採用、育成、評価、そして退職 ーー 組織の成功にとって人事が果たす役割は非常に大きいと言えます。

このとき、人事は2つのマネジメントを使い分けながら取り組む必要があります。




人事が意識すべき「継続性のマネジメント」と「戦略性のマネジメント」


日本GEでシニアHRリーダーなどを務めた八木洋介さん曰く、これからのマネジメントには大きく2つの視点が必要だとしています。勝つための戦略を立てる「戦略性のマネジメント」と、企業の歴史的継続性を重視する「継続性のマネジメント」です。

「戦略性のマネジメント」とは、現在を見て、勝つための戦略を立て、それを企業内の各機能に一貫性をもって反映させるマネジメントのことです。たとえば、組織のビジョンと目標を達成するために必要なスキルと経験を持つ人々を見つけたり、戦略を実現するために組織構造と役割の設計を行い、効率的な協働と意思決定を促進したりするなどです。

一方で、「継続性のマネジメント」は、過去を見て、企業における歴史的継続性を重視するマネジメントです。たとえば、これまでの歴史を踏まえ、組織文化の醸成を図ったり、共有の価値観と規範を通じて組織のアイデンティティを強化するなどです。


日本の人事は過去に拘り過ぎ?


さて、本題はここからです。八木さんは著書『『戦略人事のビジョン―制度で縛るな、ストーリーを語れ』のなかで、日本の多くの人事は「継続性のマネジメント」に囚われているのではないかと指摘しています。具体的には、前例踏襲を優先し、権限を盾に制度やマニュアルを固守する姿勢をとりがちになっているということです。

たしかに経営は連続性を大事すべき側面があります。したがって、過去どんなことを経験してきたかを大切にした方が良いでしょうが、その範疇を越えるほど、日本の人事は過去に縛られ過ぎではないかというのが八木さんの主張です。

この主張は特別根拠があるものではありませんが、多くの人事が共感するのではないでしょうか。というのも、人事が策定する制度は権限を生み、人事制度ができれば人事部に権限が生まれるからです。こうした力学が働き、日本の人事はなかなか戦略人事へと進化できないと言っても良いでしょう。

ただ、だからと言って、「戦略性のマネジメント」ばかりに振り切るものではないと思います。大切なのは、「継続性のマネジメント」と「戦略性のマネジメント」をバランス良く組み合わせることで、組織の持続可能性と成長を同時に促進することです。

これらの視点を理解し、適切に適用することで、人事部門は組織の最も重要な資源である「人」を最大限に活用することができるでしょう。

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