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日本でも広がる「ベンチャーデット」とは?

ベンチャーデットとは、株主資本と負債の双方を兼ね備えた金融商品のこと。

もともとはベンチャーキャピタルによる投資のつなぎ資金を調達する手段として米国を中心に広がりました。

それが現在、国内でも取り組む金融機関が徐々に増えています。

今回はその概要をなるべく簡単に解説してみます。


ベンチャーデットは、スタートアップも金融機関にも利点が多い?


ベンチャーデットの特徴である「株主資本と負債の双方の性格を持つ」とは、どういうことなのでしょうか?

仕組みとしては次の通りです。

主な狙いは、信用リスクをバランスさせることにあります。

これを実現するために、金融機関がベンチャーに対して無担保や低金利の融資を提供する一方、ベンチャーは金融機関に対して新株予約権(ストックオプションとも呼ばれる)を提供します。

これはベンチャーにとって、資金を調達する有効な手段になりえます。

というのも、ベンチャーは潤沢な資産(土地や建物など)を持っていないため、通常の融資を受けづらい側面があるのです。

その一方で、株式を譲るかどうかの判断も悩ましい問題です。株式発行で資金調達を行うと、経営権を奪われる可能性のあるためです。

ここにベンチャーデットが登場することで、保有株式の水増しを避けつつ資金を調達できるのです。

また、金融機関にとっても、ベンチャーの新株予約権を手に入れることで、これまでよりも大きな融資を行いやすくなる利点があります。

言い換えれば、双方にとって利点が多いと言えます。


日本のスタートアップ資金調達環境の課題とは?


なぜこうした手法が注目を浴びているのでしょうか?

その背後には、日本のスタートアップ環境の現状があります。

日本のスタートアップは通常、資金を調達する際にエクイティファイナンスを基本としています。

しかしこれでは「一時的に資金を調達したい」「赤字が続いているが、次なる成長のために投資が必要」といったニーズに対応しきれないことがあります。

ここにベンチャーデットが登場する意義があるのです。

株主資本と比べて、ベンチャーデットは資本コストが低く、資金の使用方法にも柔軟性があります。さらに、経営権に与える影響も少ないのです。

こうした長所から、近年、注目を集めているというわけです。

もちろん、ベンチャーデットは借入になるため、返済義務が発生します。そのため、資金計画を綿密に立てる必要がありますが、さまざまな資金調達手段が存在することは、ベンチャーにとって前向きな側面と言えるでしょう。

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