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No.466 小黒恵子詩集の紹介記事-32 (新聞の囲み記事)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、小黒恵子詩集 シツレイシマス の新聞の囲み記事です。詩集は、絶版となっていますが、当館でお読みいただくことができます。また貸出も行っています。

「シツレイシマス」の囲み記事

▼「ちっちゃなハサミ かわいいハサミ/こびとがおとした ハサミかな/それとも子リスか ポケットザルの/木の実のかわむく ハサミかな/ちっちゃなハサミ どなたのハサミ/おけらのわすれた             ハサミかな/それともきような カミキリムシの/かげ絵を切りぬく ハサミかな/ちっちゃなハサミ 気になるハサミ/どこかの子どもの ハサミかな/それともおしゃれの オスキジネコの/おひげをそろえる ハサミかな」—振付をして幼児たちに歌わせたら、さぞかわいいだろう。

▼最近出た小黒恵子童謡集『シツレイシマス』(東京都世田谷区桜上水五ノ三ノ四、現幻社刊)の「ちっちゃなハサミ」と題する一編。このほか「野原のおんがくかい」「トカゲの家族」など、いろんな生きものが登場するが、それも道理、川崎市の著者の家は自然にとりまかれているのだ。「夜、フクロウの鳴くこともあれば、夏や秋の夕方など、小さなコウモリが大きなケヤキのウロから飛んで出たりします。ヘビは初夏と秋が特に多く、トカゲもヤモリもたくさんいます。雨上がりの朝、モグラの山がポコポコ盛上がった時など、二匹の犬が競争で穴掘りをしています。……そのほか、カミキリムシ、クワガタ、カブトムシ、玉虫、キリギリス、カマキリなど毎夏、私の幼いころからの友達です」

▼ところが近年は、それらの数が減ってきた。二、三百年もの長い間、生きてきたケヤキもあと何年かで残らず枯れて、巨大な姿を消す日がくるだろうという。公害は、自然をむしばむことで教育の土壌を不毛にしていく。このような自然のかおりの高い童謡集には、だんだん出会えなくなりそうだ。「どんな動物でも昆虫(こんちゅう)でも、あるいは植物でも、この地上に私たち人間と共に生きている仲間たちです。……現代の子供たちの、自然と動物と昆虫たちとの断絶をおもうとき、こんな土のにおいのする詩があっても良いのではないか」と小黒さんは記している。

(新聞社不明) 1970年?

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、新聞に紹介された詩をご紹介します。(S)


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