小栗ish

太陽光発電事業をメインに勉強中。趣味は登山。

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最近の記事

"再エネ電力を捨てる"ことを深掘りしてみる

2023年春、全国各地で再エネの出力制御が頻発し、 "再エネ電力を捨てている"という声もあがっています。 では、どれほど再エネ電力が制御されているのか、 九州エリアの実績を振り返ってみます。 九州電力送配電の需給実績データから、 出力制御の多い2023年3月を参考にしました。 ●2023年3月の電源構成 まず、2023年3月の電源構成を見てみます。 せっかくなので、全時間帯(左図)と日中(右図)を並べています。 全日では太陽光発電の割合が13%、日中だけだと30%にな

    • 出力制御オンライン化すべきか(九州)

      九州電力管内では再エネ出力抑制が度々発生しており 多くの太陽光発電事業者が頭を抱えていますが、 10kW~500kWの旧ルール太陽光発電所は 「制御対象外」と全く影響を受けていませんでした。 しかし、2022年度には制御対象となることから 制御に対応させる必要があります。 今回対象となる発電事業者には 2つの選択肢があるかと思います。 ① オンライン化して運用 ② オフラインのまま運用(オンライン代理) どちらの選択がいいのか考えたいと思います。 これまでオンライン化

      • 出力制御のルール変更点(オンライン代理制御)

        再エネ出力制御が(九州で)行われていますが 一部、制度の変更を2022年早期に目指すことが 審議会で決定されています。 その内容について整理してみたいと思います。 ●変更点 ① 出⼒制御対象事業者の拡⼤ ② 経済的出⼒制御(オンライン代理制御) ●変更後の対象発電所 従来では制御対象外となっていた、 旧ルール500kW未満~10kW以上が制御対象となりました。 ●変更時期 確定はしていませんが、2022年度早期に目指すとされています。 ●オンライン代理制御の内容

        • 2021年度出力抑制 後半戦にむけて

          九州電力管轄の再エネ出力抑制について 8月は未実施(7月も旧ルールオンラインが1回)でしたが、 9月中旬以降、新たに実施されています。 電力需要の少ない春と秋は抑制が発生しやすく、 あとどれくらい抑制されるのか気になるところです。 九州電力送配電より、今年度の出力制御の見通しが更新されています。 太陽光発電全体では、制御率に変更はありませんが いわゆる指定ルールは3.3%から4.9%に制御率がupしています。 2020年度の指定ルール制御率の実績は1.4%でしたので

        "再エネ電力を捨てる"ことを深掘りしてみる

          季節別の電源構成(4月/2月)

          九州エリアでは すでに出力抑制が始まっていますが、 抑制が実施されるほとんどは春です。 春は電力需要少ない季節ですが、 太陽光発電にとっては発電量が多い季節です。 梅雨明け~秋にかけても 太陽光による発電量は多いですが、 電力需要も多くなるため、抑制は多くありません。 実際に太陽光発電が どれほどの割合を占めているのか気になり 季節ごとに比較してみることにします。 ●使用するデータ 九州電力送配電の2020年の需給実績を引用します。 ①2020年全体 ②2020年4月

          季節別の電源構成(4月/2月)

          洋上風力30GW導入時の再エネ制御率11%について

          地域連系線増強が検討されている中で 洋上風力が30GW導入された場合、 再エネ出力制御率が11%になると予想されています。 太陽光と風力の割合が気になりますので この制御率を深掘りしてみたいと思います。 ●洋上風力30GW導入時の電源構成 洋上風力30GW導入された2040年以降の 電源構成は以下の予想です。 再エネ比率は35%、 この時の再エネ出力制御率が11%となっています。 導入量は、 ・陸上風力:11GW ・洋上風力:30GW ・太陽光 :76GW となってい

          洋上風力30GW導入時の再エネ制御率11%について

          これから太陽光の出力制御がある地域とその制御率

          九州エリア太陽光の出力制御が増えていると 4月頃から話題になっていましたが、 九州エリア以外はどうなのか、 どこまで制御が増えるのか、まとめてみました。 ●出力制御が発生しそうな地域 ・北海道 ・東北 ・北陸 ・中国 ・四国 ・九州 接続済みの太陽光設備に、 接続契約申込をしている太陽光設備が 全て導入された場合に出力制御が発生するエリアが 公表されています。 東京・中部・関西は需要が大きいため まだ余裕があるようです。 ●どれだけ制御されるのか 契約時のルールによっ

          これから太陽光の出力制御がある地域とその制御率

          エネルギーミックスの重要性

          エネルギーミックスの重要性を 四国電力送配電の需給実績から調べたいと思います。 ●四国エリアの主要電源設備(単位:万kW)  ・原子力: 89  ・火力 :690 ※電源Ⅲ含む  ・水力 :115  ・太陽光:285 ※2020年9月時点  ・風力 : 52 ※2020年9月時点 ●2021年5月3日の需給実績 GW期間は需要が少ないこともあり、 太陽光発電だけでエリア需要を賄うことができています。 実際は火力や水力やバイオマス、風力も発電しています。 エリア需要

          エネルギーミックスの重要性

          太陽光の出力制御は減るのか

          「連系線増強や需要増がない限り、減りそうにない」 と言ってしまえば終わりですが、 「国は脱炭素を提言しているのに、 太陽光を制御して火力発電している」 という事実を深掘りしてみます。 ●2020年度の電源構成(九州) 九州電力送配電の需給実績から 2020年度の電源構成を見てみます。 火力が50%以上を占めています。 確かに太陽光の出力制御するより 火力の出力を下げてほしく見えます。 ちなみに、全体供給量は101,946[GWh]で、 太陽光の出力制御量は385[GWh

          太陽光の出力制御は減るのか

          電力需要ピークと使用率ピークから節電時間を考える

          今夏、電力需給が厳しい見通しとなっています。 基本的に夏の電力需要のピークは 14時頃のイメージですが、 太陽光発電が大量導入されたことで 使用率のピークはズレるのでは?と調べてみました。 ●今回使用したデータ 関西と九州電力送配電事業者の過去使用実績を 利用させていただきました。 ※本当は太陽光発電量が需要を超えた  四国で試したかったのですが、  データが見当たりませんでした。 過去使用実績から 8月の需要と使用率を数年分用いて それぞれピーク時の時間を調べます。

          電力需要ピークと使用率ピークから節電時間を考える

          太陽光発電の出力制御率の疑問

          各一般送配電事業者から 出力制御見通しの算定結果が公表されています。 その出力制御率に疑問を感じたので 調べてみることにしました。 ●出力制御率 すでに接続されている太陽光に 接続契約申込量が全て導入されたと仮定した場合の 各送配電事業者の出力制御率がまとめてあります。 北海道で50%、九州でも30%と驚きの数字です。 だいたい10年後の2030年頃には 接続契約申込分も連系されると仮定してそうです。 この数値を見ると 太陽光による発電電力量のうち 30%や50%が制

          太陽光発電の出力制御率の疑問

          再エネ出力制御 GWを終えて

          2021年GWは北海道や東北エリアでも 再エネ出力制御の可能性が囁かれましたが 実施されることなく、 九州エリアのみ制御が行われました。 そして九州電力送配電の制御実績が更新され、 GWまでの制御内訳が公表されたので 2020年と比較して振り返ることにします。 ↓ 2020年3月と4月の比較もしています。 ●制御回数(旧ルール) 制御回数を比較してみます。 2021年より運用方法が変更となったので 旧ルールのみカウントします。 4月~5月6日までの制御回数は ・2020

          再エネ出力制御 GWを終えて

          太陽光発電所の運転維持費低減

          先月の発電コスト検証WG資料の 太陽光発電所の発電コストから 運転維持費低減について調べてみます。 ●太陽光発電の発電コスト 2015年WGモデルプラントと 調達価格想定値は以下の通りです。 建設費の低減が分かる他、 廃棄費用が5%から1万円/kWに変化しています。 (廃棄費用は5%もいらないってこと?) ●太陽光発電の運転維持費 50kW以上250kW未満の運転維持費は 0.5万円/kW/年となっています。 この費用は定期報告から集計されていますが その内訳を想定で

          太陽光発電所の運転維持費低減

          FIT太陽光発電のこれからを探る

          九州電力管轄のFIT太陽光は出力制御に追われ、 運用の見直しに迫られています。 今後建設する太陽光の運用方法を 探ってみたいと思います。 今回は以下の2つを検討してみます。 ・出力制御の影響を極力受けないようにする ・FIP制度を活用 ●出力制御の影響を極力受けないようにする。 すでにFIT認定を受けているが、 建設はまだという想定です。 指定ルールが主に制御される時間帯はお昼です。 お昼は晴れていても意味がありません。 朝や夕方に発電してほしくなります。 簡単に思

          FIT太陽光発電のこれからを探る

          なぜ指定ルール制御が増えたのか

          九州電力の出力制御の運用ルールが変更となり 指定ルール事業者の制御回数が増えたことを 2021年3月と4月の実績を比較して考えてみます。 ●運用ルールの変更(おさらい) 2020年度までの運用方法だと 旧ルールの制御回数が30回を超えそうなため 2021年度より運用ルールが変更になりました。 ↓ 2020年度までのルール ↓ 2021年度からのルール ●2021年3月の制御実績 九州電力送配電の出力制御回数実績から 2021年3月の制御量と オフライン制御割合を算出し

          なぜ指定ルール制御が増えたのか

          FIT太陽光発電のこれから

          各電力会社が電力需給実績を公表していますが、 2020年度分が全て更新されたため 集計して、電源構成を見ることにします。 ●2030年度の目標 2030年度のエネルギー政策をによれば 2030年度の電源構成は、 LNG火力27%、石油火力3%、石炭火力26%、 原子力20〜22%、再エネ22〜24%を目指しています。 ●2020年度の実績 各電力会社が公表している 需給実績(2020年度)を合計してみました。 旧一電だけで集計しているため 正確ではありませんが、 既に再

          FIT太陽光発電のこれから