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電力需要ピークと使用率ピークから節電時間を考える

今夏、電力需給が厳しい見通しとなっています。

基本的に夏の電力需要のピークは
14時頃のイメージですが、
太陽光発電が大量導入されたことで
使用率のピークはズレるのでは?と調べてみました。

●今回使用したデータ
関西と九州電力送配電事業者の過去使用実績を
利用させていただきました。
※本当は太陽光発電量が需要を超えた
 四国で試したかったのですが、
 データが見当たりませんでした。

過去使用実績から
8月の需要と使用率を数年分用いて
それぞれピーク時の時間を調べます。

●関西電力送配電
FITが始まった2012年からのデータを集計しました。
需要と使用率、それぞれ1日のピーク時間を
カウントしてどの時間にピークが訪れるのか、
またその出現率を表にします。

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需要のピークはほぼ14時頃、
使用率のピークもほぼ14時頃と変化なさそうです。

ちなみに1日の電力需要の変化はこんな感じです。

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1日で最大約1500万kWの差があります。
火力・太陽光・揚水・連系線を活用して
お昼の電力を賄っています。

●九州電力送配電
同様に九州エリアも調べます。
九州はデータが2016年までしかなかったので
2016年までの結果になります。

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需要のピークは14時頃ですが、
使用率のピークは18時頃です。

九州は特に太陽光が大量導入されていますので
日没くらいに使用率のピークを迎えるのかもしれません。
が、過去のデータが少なすぎて推測になります。

●需要ピーク時の電源構成(参考)
使用率が14時にピークを迎える日で
需要が最大となった日の電源構成を調べます。
↓ 関西

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↓ 九州

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需要の変化に合わせて
火力や揚水といった調整力電源で
対応していることが分かりました。

●雨の影響は?
雨で夏の電力需要は下がるはずですが、
使用率ピークの時間に影響はあるのでしょうか。

九州で雨が降った8月10日を調べてみます。

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この日の使用率ピークは89%で19:00でした。
雨を予想して電源構成を考えているためか、
需要が減っているためか、
使用率のピーク時間には影響しないのかもしれません。

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●ヤバい時とは
どんな時に需給切迫するのか考えてみます。

そもそも今夏の需給切迫予想は
火力発電設備の休廃止に伴う供給力不足の影響
と言われています。
(2020年夏に稼働していた設備のうち、
 2021年度に供給力に見込めない火力発電所は、
 大手電力会社分だけでも約830万kW存在)

調整力電源である火力発電設備がないならば、
需要のピークを支えることが難しくなりそうです。

太陽光発電は天候次第で
瞬時に出力が低下しますが、
火力発電は瞬時に出力を高めれるわけではないので、
お昼頃に天候が広域で急変した場合に
逼迫の可能性がありそうだと思っています。

●需給逼迫対策
供給力不足となると
需要側がまず取り組めるのは節電かと思います。

需要のピークである14時ごろは
どのエリアでも節電対策が必要になりそうですが、
使用率のピークが夕方に迎える、
太陽光発電が大量導入された地域は
日没頃も節電の必要になりそうです。

私が節電に取り組んだとして
どれほど効果があるのか知りませんが、
需給逼迫時には協力したいと思います。

それでは、また。

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