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「フルスイング」 #おぐの柏崎コーディネーター修行

みなさん、こんにちは!

金沢大学3年の小倉凌こと、通称おぐです。

これは、僕が新潟県柏崎市のNPO法人aisaでインターンとして過ごした2週間の軌跡です。

僕が水戸部さんと初めて会った日

NPO法人aisaの理事長、水戸部さんと初めて会ったのは高校2年生の4月。
当時、僕は、柏崎の中高一貫校で、ごく普通の高校生として学校に通い、授業を受け、部活をして、家に帰る。そんなルーティンを日々繰り返す毎日だった。毎日楽しいけど、飽き飽きしているような感覚。

そんな刺激の少ない日常を送っていた、ある日の総合の授業で担任の先生から、

「今年から「総合」の時間に、外部から先生が来て、1年を通して起業(?)の授業をします」

と。

何を言ってるのか分からなかった。

「普段の授業のほかにまた何かやらないといけないの・・・」

という億劫な印象だった。

そして、そんな気持ちで臨んだ1回目の総合の授業。

見たことないがない大人たちが教室に。そう、その大人たちの中の1人が水戸部さんだった。
第一印象は、「怖そうでとっつきにくそうだな、怒ってるのかな?」と。他の大人たちは話すとき笑うが、水戸部さんだけ笑ってなかった(笑)

僕が初めて会った当時の5年前の水戸部さん

ただ、1回目の授業でイメージがガラリと変わった。

「なんだこの授業、、、めちゃくちゃ面白いじゃん。この大人たち、キラキラしてる!?」

日々の生活・授業に退屈してた僕には、すべてが新鮮な授業だった。
「起業」「社長」「SDGs」全ての単語がキラキラして、来ていた大人たち全員がキラキラして見えた。
ただの田舎で何もないと思い、好きではなかった「柏崎」が、一気に輝きを増した。

いつしか、日々の総合の時間が楽しみになっていた。
そこから1年間、僕は学生団体を作ったり、イベントをしたり、その授業のおかげで刺激的な日々を過ごしていた。水戸部さんとその年度の最後には、水戸部さんが働いている施設の「かしわざき市民活動センターまちから」でイベントを企画運営するまでになった。

そして、高校を卒業した。
大学進学のため、僕は柏崎を出て金沢に行くことに。

aisaでのインターンを決意

大学生になった僕は、

「自分がやりたいことは何なのか」

考えても考えても分からず、悶々と過ごす日々が続いた。

金沢の知人から聞かれ、人生の中で1番ワクワクしてた時はいつだったかなと考えた。
おそらく、高校生の時、柏崎で活動してた時だったなと。

それから、「まちづくり」「キャリア教育」「柏崎」「コーディネーター」に、自分は興味があるんだと気づくようになった。そして、柏崎でその分野をやっている企業を考えると、真っ先に「NPO法人aisa」が思い浮かんだ。その思いのまま、水戸部さんにTwitterのDMで連絡をした。

2023年1月5日。水戸部さんに連絡した日。

そして、aisaについてZoomで詳しく教えていただいた。

僕「インターンは受け付けてますか?」

水戸部さん「プログラムはないけど、いつでも受け付けてますよ。」

ということで、春休みにインターンをさせてもらうことになった。

インターン前日の夜。
金沢から、実家がある柏崎まで車できた。移動中、終始、明日からのインターンで頭がいっぱいだった。

「明日は、水戸部さん笑ってるかな。」

そんなことも考えながら、久しぶりの水戸部さんとの対面、新しい環境にワクワク半分、不安半分な気持ちで当日を迎えることになる。

インターン初日

3月6日。ついに、aisaでのインターンが始まる。3月20日までの約2週間の修行である。

朝9:30 かしわざき市民活動センターまちから
「今日から2週間お世話になります!お願いします!!」

緊張しながら、皆さんに挨拶をした。皆さん、優しく迎えてくれてホッとした。

水戸部さんも、やや笑顔で挨拶をしてくれた。ホッとした。

「ここで、2週間過ごすんだな。」
と、気を引き締め決意をした。これは、その決意のツイートである。

初めに、1週間の大まかなスケジュールとやることの共有から始まった。地域おこし協力隊や商店街、移住・定住、高校生のキャリアといった、さまざまな角度からまちづくりに携わっていることを知った。1週間どんな人たちと出会って、どんな話をするのか、めちゃめちゃワクワクした。

そして、この2週間でさまざまな打ち合わせやイベントの間に、もう1つミッションが課せられた。それは、 Salesforceという顧客管理システムへ名刺を取り込む作業とそのマニュアル作成である。わかりやすくいうと、名刺交換した名刺を1枚1枚、Salesforceというシステムの中に登録していく作業である。最初、この説明を受けたとき、

「ま、これくらいすぐ終わるだろう」

と考えて少しニヤニヤしていた。

しかし、1時間後、その顔が絶望へと変わる。
1時間経ち、何件名刺を取り込めたか確認すると、40件。残りの名刺リストを見ると、まだまだある。

「これって、名刺何枚ぐらいあるんですか??」

恐る恐る聞いた。すると、

「えーっと、3200枚くらいかな」

想定の斜め上、いやもはや上すぎて、直角だった。
それから、いかに正確に効率よくできるかを考え、ひたすら名刺を取り込み続けた。

ちなみに、僕は、ロジカルシンキングとルーティンワークが大の苦手なので、この作業は本物の修行だった。毎日毎日Salesforceとのにらめっこの日々。途中、残りの数をちらちら見ては、見なかったことにするということを何回か繰り返した。1日目は、社内の会議や、地域おこし協力隊の会議、補助金関係のお話などを挟み、その他の時間は、全てを名刺取り込み作業に全集中した。

気がついたら、蛍の光が流れ、21時になっていた。
まちからは、21時で閉館なのだ。もう窓の外はとっくに真っ暗。久しぶりにこんなに集中した。脳がいつも使わないところを使っていたので、ドッと疲れが出た。

怒涛の1週目

そんなワクワクと絶望が入り乱れた1日目を終え、2日目、3日目と怒涛のスピードで1週目が進んだ。

1週間のうちで、柏崎の人たちとたくさん出会った。

子どもたち。
防災教育をしに行った市内の保育園と中学校。
そこで、子どもたちや中学生とたくさん触れ合った。

保育園で、防災の話の紙芝居や新聞でスリッパを作ったりした。

初めは、全然うまくスリッパを作れず、悪戦苦闘していた子どもたちが、数分後には自力でスリッパを作って友だちと走り回ってる姿を見て、その成長に感動した。

「まちの未来をになっていく中心は、子どもたち。

そんな子どもたちのためにも、より良い柏崎にしていきたいな。」

より教育の大切さを実感した1コマだった。


新聞紙スリッパで駆け回る子どもたち


地域の空き倉庫を活用しようと動いている大人たち。
『』(カギカッコ)という、「遊休不動産やストックされた資源の再循環を目指したスペースづくり」をテーマに個人の嗜好ややりたいことを実現する、柏崎市内で働く20~30代の7名を中心に構成されたチームのイベントにも関わらせていただいた。

SNSをきっかけに集まり、実際に空き倉庫を活用している方々。大人のサークルみたいな感じで、みんな本業がありながらも、自分のスキルを発揮して、かっこいいチームだった。

そのメンバーの方々に、

「あ、おぐ!いつもTwitter見てるよ!!この前のヒッチハイク応援してたよ〜!」

と。

1回も会ったことがないのに、地元・柏崎の皆さんが応援していただけていたと思うと、とっても嬉しかった。「柏崎」のことを考えながらもがいている僕のTwitterを見てくれてるんだ。

そして、発信を見てくれていた方が、まだいた。


高校時代の恩師。

高校時代の恩師からの連絡

高校生のころ、僕と一緒にイベントの企画や運営をしてくれた先生。

先生がいなかったら、今の僕はなかった。

そんな先生が、僕のTwitterを見ていたことに驚いた。しかも、連絡してきてくれるなんて。

久しぶりの先生との対面も果たし、柏崎で過ごすとたくさんの人が応援してくれて、たくさんの素敵な出会いを実感するはじめの1週間だった。


ただ、Salesforceだけは一向に終わらなかった・・・。

意思決定の2週目

2週目も引き続き、たくさんの出来事があり、たくさんの人たちと出会った。

aisaで執筆している記事の写真撮影でゲストの人と会ったり、

柏崎市の石黒地域で、経済学を学ぶ東京の大学生と会ったり、

移住・定住をテーマのイベントで市内の高校生たちと会ったりした。

aisaでの記事「別アングル」の写真撮影

たくさんの人と触れ合い、その人が大切にしているたくさんの価値観に触れた。

そして、ようやく3200枚あった名刺の取り込み作業と、そのマニュアル作成を終えた。


最終日。
午前中、2時間かけてじっくりみっちり、水戸部さんからaisaに関するレクチャーをしていただいた。

どういう学生がどういった経緯でaisaを立ち上げたのか、どういう思いを大切に行動しているのか。


水戸部さんは、小中高の学生生活では、「勉強・スポーツ・人気」の義務教育の三大評価軸(水戸部さんがそう呼んでいる)から外れた人生を歩んできたそう。

そして、大学生になり、大学の講義が自分の思っていた興味の内容とは違ったため、ラーメン屋のバイトに明け暮れた。家と大学とラーメン屋の往復で、一時はラーメン屋を自分で開くことも考えた。

そんな中、大学3年生の時に中越沖地震が起こり、柏崎のまちは被災した。
その時、水戸部さんは所属していた研究室が、「まちづくり・復興支援」を専門としていたことで、柏崎の商店街の復興に携わることになる。

そこで復興のボランティアをした3日間で衝撃を受ける。

「今まで大学生として過ごしてきた3年間と、復興支援の3日間。天秤にかけると、圧倒的に3日間の方が濃い時間だったんだよね。」

そして、大学生時代に今の「NPO法人aisa」の前身である任意団体の「中越沖復興支援ネットワーク」の立ち上げをした。

その時の水戸部さんの言葉が今でも耳に残っている。


「これが最後のバッターボックスだと思った。9回裏2アウト。だから、最後くらいは思いっきりフルスイングしてみようかな。」


水戸部さんは、今までの人生を振り返り、ここで団体を作るという選択を取るか取らないかが最後の選択肢だと直感的に感じた。

そして、思いっきりバットをフルスイングしたのだ。

自分は、バットをフルスイングどころか、バッターボックスにも立ててないような気がした。


その日の午後。
水戸部さんが上越市で講演会をするので、同行させてもらった。

会場までの行き帰り、水戸部さんの車でふたりきりの時間を過ごした。

そこで、僕は相談も兼ねて大学の友だちの話をした。

おぐ「僕は、"教育とまちづくり"に携わることを柏崎・新潟でやりたいんです。でも、何からすればいいかわからなくて・・・ 。」

水戸部さん「なるほどね。」

おぐ「大学の友だちでユースクリニックを金沢で開きたいってやつがいるんです。そいつは、自分の親しい人から性とかの相談を受けて、こういう若い人たちが心配事があっても誰にも言えずに苦しんでいるのかもしれない。自分がその人たちを救いたいって思ったんですって。」
(※ユースクリニックとは、若者が看護師さんや助産師さんに相談ができる場のこと)

水戸部さん「ほう。」

おぐ「それで、僕はそいつに『なんで、どうやってその想いから、ユースクリニックを作るっていう具体的なアクションを見つけたの?』と聞いたんです。」

水戸部さん「そうしたら、なんて?」

おぐ「『課題感が分かったら、それを解決したいっていう名詞・動詞をたくさん書き出したかな。その中で1個だけ大切にしたいって単語や共通している単語を調べまくった。全国で何かやってないかなって。そうしたら、ユースクリニックが出てきて、これだ!って感じかな。』ですって。そいつは、そうやって、ユースクリニックという手段を見つけたんです!自分も、そこからしないと。」

水戸部さん「その子は、"見つけた"んじゃなくて、"決めた"のかもね。」

おぐ「どういうことですか・・・?」

水戸部さん「そんなみんな上手く、これだ!っていう解決策は見つからないじゃん。でも、これって腹括ったのかもね。いつかは、腹括らないとだからね。」

僕は、その時、午前中の9回裏2アウトのバッターボックスの話を思い出した。

これって、水戸部さんと僕の友だち2人とも共通してるんだな。


「フルスイングしてるんだ。」


そう思うと、自分は安牌にバントばっかりしている気分だった。

虚しくなった。

おぐ「まずは、"決める"ってところからですかね。」

水戸部さん「そうだね!」

そうして、水戸部さんとの最終日の1番最後のドライブは終わった。

この2週間での気づき

この2週間を振り返ると、会ったことのない柏崎の人と会い、行ったことのない柏崎に行き、たくさんのまだまだ知らない柏崎の魅力に出会った。

そこで、感じたことは、

「やっぱり、柏崎には、面白いプレイヤーがたくさんいる!!」

ということ。

そして、

「その方々はみんなどこかで、フルスイングしてるんだろうな〜」

ってこと。

僕は、たまたま高校生のとき、水戸部さんという、とっても素敵なまちのプレイヤーに出会えたからこそ、人生が変わった。

そういう機会を、柏崎・新潟の子どもたちにも提供したいな。

そのため、フルスイングしないとだ。

最後に

2週間という、長いようで短いあっという間な時間でした。

この2週間で、水戸部さんをはじめaisaの皆さん、柏崎のまちのプレイヤーの皆さん、全ての出会った皆さん、ありがとうございました。

将来に悩んでいる大学生の僕に、親身になってお話を聞いてくださり、アドバイスをしてくださり、本当に嬉しかったです。不安に押しつぶされそうな夜もあったけど、皆さんの言葉ひとつひとつに救われ、勇気をもらいました。

また、柏崎に戻ってきます。

その際は、また温かく迎えてくださると嬉しいです!
僕も、皆さんの足元には及ばずとも、フルスイングしてパワーアップした状態になっていると思います!

2週間、本当にありがとうございました!


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