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モチベーションとエンゲージメントの違いと関係性について

働き方の多様性に伴い、従業員に対するマネジメント方法も変化しつつあります。
特にテレワーク環境下などでは、従業員がどのように仕事をしているのか、あるいは仕事に対するメンバーの熱意が低下していないかなどを把握しにくい状況です。

各従業員が安定した成果を出し、組織に対する満足度を維持・向上させるためには、マネジメント側が正しくサポートすることが必要となります。

そこで重要になるのが、「モチベーション」と「エンゲージメント」
今回は、モチベーションとエンゲージメントがそもそもどういった意味や役割をもつのか、これらの違いや向上させるためのコツについてご紹介していきます。

モチベーションとは

まず、モチベーションについてです。
モチベーションとは、そもそも「動機付け」「やる気」という意味をもっています。仕事におけるモチベーションは、従業員一人ひとりに生じるものです。
このモチベーションは、以下の2種類に分けることができます。

1. 外発的モチベーション
外発的モチベーションは、何かの目的に対して発生するモチベーションのことを指します。「結果を出せば給与が上がる」「高い評価を得るために新規業務を担当する」などといった目的があるからこそ目の前の業務をこなせるといった状態です。


2. 内発的モチベーション
内発的モチベーションとは「楽しい」「成長したい」というような、自らの意思で仕事にのめり込み、没頭できる状態です。
内発的モチベーションが高まることによって、驚異的な集中力で行動をしたり、向上心を高く維持し続けられるといった状態が見込めます。

上記の通り、モチベーションには外発的モチベーションと内発的モチベーションの2種類が存在しますが、ビジネスにおいては「内発的モチベーション」のほうを高めたほうが効果的です。

外発的モチベーションは、利己的な目的であればあるほど、それを達成したと同時にモチベーションの下降が懸念されます。そのため、長期的に見たときにモチベーションを維持することが困難だといえます。

一方で、内発的モチベーションは自分の意思で自発的に「頑張りたい」「成長したい」という感情を芽生えさせるので、外発的モチベーションに比べてモチベーションの持続期間は長く、従業員や組織の成長につながる可能性が高いです。

エンゲージメントとは

エンゲージメントには、「愛着を持っている」「繋がりが強い」というような意味合いがあります。すなわち、ビジネスにおけるエンゲージメントは、会社に対しての愛着や信頼感、絆のようなものを表し、「個人と組織の成長が連動し、貢献しあえる関係性」であることを指します。

エンゲージメントが高まることによって、会社と従業員の関係性が構築され、団結感を持って企業のミッションやビジョンに向かって業務が遂行できる状態をつくることができます。

さらに、エンゲージメントが高まることによって、退職者数を抑えることも見込めます。
退職者の減少は、組織としてのレベルアップや安定的な業務遂行にもつながり、最終的に組織全体の活性化が期待されるのです。


モチベーションとエンゲージメントの違い

モチベーションとエンゲージメントの違いで一番大きいのは「誰のために頑張るのか」という点です。
「自分が評価されたい」「自分がスキルをアップしたい」などというような自分主体の考え方はモチベーションのひとつですが、エンゲージメントには含まれません。
ビジネスにおけるエンゲージメントは「組織へ貢献したい」という気持ちが基盤として存在していることが大前提となります。

また、モチベーションは行動を起こす前の「やる気」を示すもの、エンゲージメント は、行動を起こしたあとの状態を示すものだという違いもあります。

何を軸にした感情なのか、行動前と行動後どちらの感情なのかといった違いはありますが、そもそも自分自身のモチベーションを高く保てないと、周りや組織に対する貢献意欲はなかなか湧いてこないものです。
組織が正しく成長するには、自分軸であるモチベーションと、周囲を軸としたエンゲージメント、どちらも高く保ちつづけることを意識するという点が非常に重要となります。

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モチベーションとエンゲージメントの関係性

先述した通り、モチベーションは「自分」を高めたり成長させたいと思ったときに生まれる感情で、エンゲージメントは自分が行動したことで「周り」にどういった貢献をしたいのかといった貢献意欲の感情を示すものです。

急に組織のエンゲージメントを高めたいと思っていても、従業員自身のモチベーションが低かったり、自分自身の状態に不満を抱えていては、組織や周りに矢印を向けて貢献意欲を高めることはできません。

まずは従業員一人ひとりがモチベーションを高く維持できるためにはどうすればよいのか、そのマネジメント方法を実践することが第一です。
その後、従業員のモチベーションを高く保てた状態で、組織へのエンゲージメントを向上させるためのマネジメント手法を実践することが、組織力の向上に向けた理想の流れとなります。


モチベーション向上のためのマネジメント方法

実際に、従業員のモチベーションを向上させるためにできるマネジメント手法に関して、まず理解していただきたいのは、人間には5段階の欲求が存在しており、これらを満たしていくことが内発的モチベーション向上に非常に有効だということです。

マズローの5段階欲求では、人間には

第一階層:生理的欲求
第二階層:安全欲求
第三階層:社会的欲求
第四階層:承認欲求
第五階層:自己実現欲求

の5つの欲求が存在するとされています。

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各階層に応じたマネジメントのコツを整理していきます。

■第一階層:福利厚生・就業環境の整備

いくら楽しい仕事でも、就業環境が劣悪で心身を壊してしまうようでは、モチベーション向上にはつながりません。
生理的欲求には食欲や睡眠欲などがあります。適正な労働時間や賃金を提供し、健康的な生活を送れる環境を整えることがまず第一条件として必要となります。


■第二階層:経営理念や価値観を伝える

第二階層は安全欲求です。従業員は「この会社に所属していて幸せな生活を送れるのか」という安全を無意識に求めます。
経営陣が組織としての方向性や価値観について情報開示することによって、従業員は組織に対して安心感をもつようになります。


■第三階層:風通しの良い人間関係の構築

社会的な立場を確立するためには、人間関係を円滑にすることは必要不可欠です。
組織内の人間関係が悪かったり、トラブルを報告しづらい環境があると、その組織に所属することで社会的欲求を満たせません。それどころか、安全欲求すらなくなり、働くことに対するモチベーションは下がる一方です。
社内コミュニケーションを活性化させることはもちろん、意見を自由に出せる仕組みづくりも工夫してみることをおすすめします。


■第四階層:人事評価制度の整備

第四階層である承認欲求は、従業員の頑張りや成果を認めてもらえる環境をつくることで満たされていきます。
それを実現するために重要となるのが人事評価制度です。人事評価が正しく整備されていることで、従業員は「私の頑張りが会社に認められた」という体験を得ることができます。その経験こそが、さらなる成長意欲につながり内発的モチベーションを活性化させます。
また、この経験が重なることで、「評価してくれる会社に貢献したい」というエンゲージメント向上にも繋がります。
人事評価制度の整備は、従業員のモチベーションだけでなくエンゲージメント向上にも非常に重要な役目を果たすのです。


■第五階層:従業員がやりたいことに挑戦できる環境の整備

第四階層まで満たされている従業員は、自分自身がさらなる成長を遂げるために、理想の自分の姿を追い求めるようになります。
そこで、従業員から自発的に提案してくる業務に挑戦させることができる環境をつくることができれば、自己実現欲求を満たすことができます。
「挑戦ができる環境=自分の求めている目標を叶えられる環境」ということになりますので、従業員のモチベーションは非常に高い状態で維持されます。
また、人事評価制度と同じく、挑戦できる環境を提供してくれる組織に対してのエンゲージメントも連動して高くなることが予想されます。


エンゲージメント向上のためのマネジメント方法

一方で、エンゲージメントを向上させるためにはどういったマネジメントが重要となるのでしょうか。

■正しい人事評価の実践

モチベーションの向上でも示しましたが、従業員を正しく評価することは、モチベーションだけでなくエンゲージメントも向上させることにつながります。
最初は「自分が頑張れば評価されるのでもっと頑張りたい」といったようにモチベーションが向上しますが、次第に「自分を評価してくれる会社に貢献したい」「自分が頑張ることで会社の業績をもっと良くしたい」といったように、組織や周囲への貢献がやりがいにつながるようになります。
内発的モチベーションからくる感情の変化であるため、こういったエンゲージメントの向上は組織の成長を加速させてくれます。


■業務に対するやりがいを生み出す

淡々と言われた業務をこなすだけでは、誰しも仕事に対して受け身になってしまいます。従業員のやりがいを生み出すために、一人ひとりのスキルや経験に合わせて任せる業務の幅を広げてたり、新しいプロジェクトを任せたりしてみてください。
権限が広くなると、従業員は必然的に責任感を持つようになります。大変だと感じる部分もあるかもしれませんが、業務を遂行した際のやりがいは大きく、「この組織でもっと色々挑戦したい」という感情も芽生えるケースが多くあります。
一人ひとりのスキルや特性を正しく判断し、やりがいのある業務を任せることは、組織の成長だけでなく個人の成長においても非常に大切です。


■組織としての価値観やビジョンの共有

自分が所属している組織がどういった考えなのか、どういったビジョンを持っているのかを知ることで、従業員は同じ方向を向いて一緒に頑張りたい。という貢献意識を持つようになります。
なんとなく仕事をしているだけでは、極端な話、どこの組織に所属していても一緒です。「この組織だから頑張りたい」と思ってもらえることが、エンゲージメント向上において一番大切な部分となります。組織としての価値観や未来に向けたビジョンを明確にし、従業員に共有することで、帰属意識が高まりエンゲージメントの向上が見込めます。


組織力向上のために、人事評価制度を整備しましょう

今回は、モチベーションとエンゲージメントの違いに焦点を当てながら、マネジメント方法をご紹介していきました。
個人のモチベーション向上があってこそ、組織のエンゲージメントは向上されます。組織を強くしたいという経営者の皆さんは、どちらも怠ることなく実践することを心かげてください。

また、マネジメント方法でもお伝えした通り、これらの向上には人事評価の整備が非常に大きな役割を持ちます。正しい人事評価ができていれば、モチベーション・エンゲージメントどちらも向上することが見込めます。
一方で、間違った人事評価をしていれば、モチベーションもエンゲージメントも下がってしまうという恐れもあるのです。

今一度、御社の人事評価制度は正しく機能しているのかを見直してみてください。

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