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レイモンドカーヴァー「CARVER‘S DOZEN」

カーヴァ―の小説の中に、新しい人生を始めるためトレーラーハウスを購入し移住する夫婦の物語がある。新しい町に住み、夜はその町を紹介してくれた友人と毎日パーティをする。順風満帆の生活だが、旦那が職探しに苦労する。そんな中、奥さんがなんとかホールスタッフの仕事を見つけ、なんとか生活を切り盛りをする。はじめの晴れやかな生活は次第に困窮することになり、ついには手に入れた新しい生活を諦め、その土地から姿を消すことになる。
  
土地を離れる前、そんな夫婦を見守っていた近隣のヘアドレッサーの女性とその奥さんとの会話のシーンのなかで、奥さんがふとこぼすセリフがある。

「夢を見るのはね、その夢にいつか敗れるためだからなのよ」と。

カーヴァ―はこうした何かを失うことを中心にした物語を書くにあたっては抜きん出た作家だ。現実とは常に失い続けることが多いことをまざまざと思い知らされる。

僕は23歳になる。この年になって失うことの怖さを知る機会が多くなった気がする。学生を卒業してから一年が経つ。あの頃の記憶は過去のものになろうとしている。あの頃は気にしなかった年を取るということが23歳になってから驚くほど重く感じるようになった。時間は有限なのだということを改めて感じるようになった。

失うものは一体何なのか、それは言葉にすることが難しい。だがそれは逃れられない事であり、きっと必要なことなのだ。そしてそれに耐えていかないといけない。


そんな気付きを与えてくれるレイモンドカーヴァ―の小説。アメリカの短編小説家の巨匠です。久しぶりにnoteを書こうかなと思い、とりあえず本の紹介がいいかなと思い書きました。







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