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これからの人事に求められる役割について


現在世の中的には多くの企業が採用を縮小、もしくはストップしている状況ですが、そういった中でも本当の優秀人材はいつだって争奪戦であることから、採用活動や人材マネジメントの難易度は常に上がり続けていると思います。

しかし、当たり前ですが、そのまま今までと同じような施策を続けても、今後長い目でみれば人手が減り続けることを考えると、大きな成果を得るのは難しいでしょう。

結論から言えば、人事部の役割は時代にあわせて変化させていくべきであり、変化に対応できない人事は今後機能しなくなっていく(=人事される)可能性が高いといえるのではないかと思ています。

「じゃあ自社の人事部はどうすればいいんだ」

とお考えの方のために、今回は僕が思う

これからの人事の役割を考えるうえで重要な3つのポイント

を考えてみたいと思います。

時代が変化していく中、自社の人事部はこのままでいいのか?と懸念を抱いている方は、ぜひ参考にしてもらえると幸いです。

人事部の役割の現状


まずは人事部の役割の現状について確認していきましょう。

企業によって多少差はあるでしょうが、基本的には以下のような業務を行っている人事部が大半なのではないでしょうか。

・採用活動
・評価、報酬制度の整備
・労務管理
・人材育成

このように現状の人事部の役割は、

「安定していい社員を確保する」
「確保した社員の満足度を高める」

というように、人的資源の確保や業務の効率化を図ったりすることを目的とした、どちらかといえば「守りとしての人事部」の意味合いが強いといえます。

・人事部の役割は変化していく

しかし近年は、先にも述べた通り労働人口の減少や採用手法の多様化などにより、優秀な人材を安定的に確保することは難しくなってきています。

実際、みずほ総合研究所の調査によれば、2065年には労働人口は日本の人口の50%にまで減少すると見込まれており、人手不足は今後さらに深刻化していくでしょう。

また、ランサーズ株式会社の調査では、2020年時点で「日本の人口の15%がフリーランス」という結果が出ており、今後さらなる増加が見込まれます。

これら2点から言えるのは、今後安定して働き手を確保するのはどんどん難しくなっていくということ。

そんな中今はよくても、今後景気が落ち着いてきて人手が必要になった段階にこれまでと同じやり方を続けていっては、理想の人材を採用するどころか、そもそも一定数の社員の確保すら実現できなくなってしまうでしょう。

このように人材確保の難易度が高まっていく状況下では、人事部に求められる役割は当然のように変化していくのです。

というよりむしろ、変化に対応した「攻めの人事」を実施していけなければ、今後人手不足など、人事に関する問題点に悩まされてしまう可能性はかなり高いといえます。

参考URL:https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/pl170531.pdf

参考URL:
https://speakerdeck.com/lancerspr/huriransushi-tai-diao-cha-2020?slide=4


これからの人事戦略はどのように変えていくべき?


今後はどんどん正社員の確保が難しくなっていくので、従来のような「守りの人事」ではいけないと説明してきました。

それでは、具体的にどのように人事戦略を練っていけばいいのでしょうか?

ここではこれからの人事戦略を考えるうえで重要となる4つのキーワードを考えてみたいと思います。

◆戦略人事

これからの人事戦略を考えるうえでまず重要となるのが、「戦略人事」です。

人事戦略と言葉は似ていますが、戦略人事は「経営目標を実現するために人事施策を行うこと」を意味し、企業の経営状態や課題を明確にしたうえで、経営者的な目線から人材のマネジメントを行っていくような役割が期待されます。

要するに、経営陣から与えられた目標を淡々とこなしていくのではなく、人事部が自ら企業の課題を明確化し、人事の面から積極的に経営に参画していくようなイメージです。

戦略人事はすんなりと導入できるものではなく、以下のようなポイントをしっかり押さえた組織作りをする必要があります。

・ビジネスパートナー
・組織開発&人材開発
・センターオブエクセレンス
・オペレーション

詳しい内容は以下の記事で解説していますので、そちらも併せてチェックしてみて下さい。

採用ブランディング

人事戦略を策定していくうえで、続いて重要となるのが「採用ブランディング」です。

こちらは商品やサービスのブランディングと同じように、求職者をターゲットとして、自社をブランディングすることを指します。

採用ブランディングを実施するための具体的な方法としては、

・自社の企業理念や経営目標を明確化する
・企業理念や経営目標に合った人材のペルソナを作成する
・ペルソナを採用していくための採用活動を行う

といったステップを踏むのが一般的です。

そんな採用ブランディングが上手く行けば、より企業とマッチした人材からの応募が増えるなどのメリットが継続的に期待できるでしょう。

こちらも以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。

採用CX

「採用CX(Candidate Experience)」は「候補者体験」を意味し、求職者が企業を認知してから選考を終えるまでの、一連の体験を最適化していく活動です。

これはそもそも労働人口の減少などによって、「企業が候補者を選ぶ時代」から「候補者が企業を選ぶ時代」へと変化してきていることから生まれたもの。

そんな採用CXを実施することで、以下のようなメリットが得られます。

・よい候補者体験を提供することで、企業のイメージアップやファン獲得に繋がる
・よい候補者体験を提供することで、候補者から「選んでもらえる」企業になる

1点目は採用ブランディングに繋がりますし、2点目は採用力の向上を図れるので、優秀な人材の確保に直結していきます。

採用CXを実施するためには非常に細かいタッチポイントを洗い出していく必要がありますので、取り入れたい場合は以下の記事をチェックしてみてください。

人事戦略を実現するために大切な「CHRO」


ここまで、これからの人事戦略を考えるうえで重要となる3つのポイントを考えてみました。

しかし、これらのポイントは一朝一夕で落とし込めるものではありませんし、3つともなればすべてを完璧に押さえるのは難しく、膨大な選択肢の中から、自社が取るべき最適な戦略を決定するのはかなり難しいといえるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、社内に「CHRO」を置くこと。

聞きなれない方も多いかと思いますが、CHROとは「最高人事責任者」を意味し、経営に参画しながら、社員のマネジメントや組織作りにも携わる重要なポジションです。

結論を言うと、人事戦略を成功させたいのであれば、CHROの存在は欠かせないでしょう。

<CHROを置くメリット>

CHROを置くことによる一番のメリットは、「経営者の目線から人事戦略を打ち出せること」です。

CHROを中心とした人事組織を社内に作ることで、従来の人事部よりも、経営目標に直結する効果的な人事戦略を打ち出していくことができるでしょう。

ただ業務の効率化を図ったり、企業が機能するようサポートしたりする人事部ではなく、経営課題を解決するための施策を打ち出せる、攻撃的な人事部を創ることができるはずです。

<CHROを置くデメリット>

CHROを置くことによるデメリットは特にはありませんが、強いて言うならば「採用が難しい点」が挙げられます。

というのも、CHROにふさわしい人材像として

・経営に関する知識がある
・従業員から現場の課題をヒアリングするコミュニケーションスキルがある
・人事担当としての基本的な知識やスキルがある
・マーケティング視点がある

などがあり、そもそも社内でこのような人材が用意できるか、という点が一つ大きな問題として挙げられます。

自社から人材を抜擢してもいいのですが、社内での中途半端な育成にコストを掛けるよりは、結果初めからCHROとして優秀な人材を確保したほうが早い場合がほとんどだと思います。


今後の人事部の役割についてのまとめ


今回は、「これからの人事部の役割」について、ポイントとなる3つのキーワードをメインにまとめてみました。

・戦略人事
・採用ブランディング
・採用CX

それぞれ非常に奥が深いですし、これらすべてを理解したうえで、自社に最適な人事戦略を打ち出すのはかなり難易度が高いでしょう。

しかしこれからの労働力不足の時代でも企業が永続的に成長し続けていくためには、こういった攻めの人事としての新しい考えを積極的に取り入れていく事が必須ではないかと思っています。

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