小学生でもわかる経済の歴史

1部. 物々交換と貨幣の始まり
原始時代の人々は農業や狩りで獲得した物を交換していました。例えば、リンゴ2個につき普通の魚1匹といったように相場を決めていました。しかし、このような方式で行くと片方だけ得をしてもう片方が損をしてしまいます。そこで、人々は大きな魚はリンゴ3個と交換、珍しい種類の魚はリンゴ4個と交換といったように大きさや珍しさで物の価値を決めることにしました。こうすることで、誰も損をしなくて済みますね。しかし、農業や狩りで獲得した物はいつかは腐ってなくなってしまいます。そこで、金や銀のような珍しい金属を使って物々交換をすることにしました。金や銀のような金属は農作物(野菜)や畜産物(肉)、水産物(魚)と違って腐らない上に、強酸性の水溶液にでも入れないとイオンにならないですからね。また、中国では宝貝が、欧州では塩がお金の代わりとして使われていました。経済を表す漢字に貝があったり、給料を表す単語であるsalaryの語源が塩なのはそのためです。余談ですが、江戸幕府は金持ちを恐れており、米が腐って貯蓄ができないことを逆手にとって米を基軸通貨としました(これを米本位制と言う)。このお陰かもしれませんが、江戸幕府は265年間も続いたわけです。

2部. 為替
貨幣経済が発達すると両替が出てきます。これは1部でも話しましたが、両替は損をする人を減らすための仕組みなのです。金貨における金の割合を1部で言うところの魚の珍しさや大きさに置き換えてみましょう。そうすると、金の量が多いほど、金貨における金の割合が高ければ高いほど、交換できるリンゴの量は多くなります。もし金の量や金貨における金の割合に関わらず、リンゴ2個しか交換できなかった場合、大きな金貨や金の割合が高い金貨を持っている人は損をしてしまいます。そうならないように相場を決めているわけですね。逆に考えてみましょう。金の割合を80%(旧金貨)から40%(新金貨)に落とした場合、金貨の価値は半減してしまいます。そうすると、旧金貨1枚でリンゴ4個買えたはずが新金貨1枚でリンゴ2個しか買えません。これは、相対的にリンゴの価値が上がったことを意味します。この現象をインフレと呼びます。インフレの逆の現象はデフレです。また、両替を行う人は両替商といって異なる貨幣を両替した時の手数料を利益として得ていました。余談ですが、イスラエルの神殿の前で両替商は為替によって得をする仕組みを悪用しました。具体的に言うと普段イスラエルの人々が使っていたローマの貨幣はユダヤ教の律法で使えませんでした。この時にユダヤ教の律法で正しいとされていたイスラエルの貨幣に両替するのですが、そこで高い手数料をとってイスラエルの庶民から搾取していたのです。そこでキリスト教の教祖であるナザレのイエス様は両替商を神殿から追放したのですが、そのことが両替商から恨まれてイエス様は両替商からユダヤ教の上層部に通報されてイエス様は十字架で磔にされたのでした。人の恨みは怖いですね。

3部. 手形の誕生
突然ですが、鉄を想像してください。鉄は重たいでしょう?これが銅や銀、金となるともっと重くなるはずです。金属貨幣の短所はかなり重たい上に盗まれる可能性があることです。では、紙を想像して見てください。鉄と比べて紙は軽いでしょう?そこで紙の手形の登場です。金属貨幣1000枚分が紙の手形1枚と同じ価値といったように、紙の手形は金属貨幣と同じ価値があるという信頼の証であります。紙の手形は中国と欧州でちょっと違っています。中国の場合は金属貨幣と交子と呼ばれる紙を交換して交子が多ければ多いほど金属貨幣も多く持っていることになります。この仕組みは現在の紙幣の原型となっています。欧州の場合は1枚の紙の手形が通帳と口座の役割をしていました。手数料を払うことで強い兵士に見張られている倉庫からいつでも金を引き出せたのです。この仕組みは現在のクレジットカードの原型となっています。

4部 銀行の誕生
皇帝や貴族、金持ちは金銀が盗まれる可能性を防ぐために堅固な倉庫を持つ金細工師に金銀を預けていた(銀行の三大業務の一つである預金)のですが、17世紀になると、金細工師が預けていた金銀を勝手に横領して貧しい人やお金が必要な人に貸し出していました(銀行の三大業務の一つである貸出)。金細工師は金銀を借りている人から利子(対ユダヤ教徒限定でユダヤ教、キリスト教、イスラム教では禁止されている)と言われる複利(羽柴秀吉と部下が登場する米に関する逸話でお馴染み)の手数料を取って金銀を貸していたのです。金細工師はユダヤ教徒であることが多く、同じユダヤ教徒の金細工師に対して送金をすることもあったそうです(銀行の三大業務の一つである為替)。

5部. 証券と保険
証券とは株式と債券のことです。返済義務がある方が債券(いわゆる借金)、ない方が株式です。債券は社債と国債に別れていたようです。国債はもともと戦争に必要なお金を調達するために誕生しました。株式は株主から出したお金を元に貿易(国を越えた取引)を行い貿易で獲得した利益を株主に還元する仕組みです。分かりやすくいうと株主が冒険するためにお金が必要な冒険者(会社)にお金を出して冒険者が獲得した戦利品(配当金)を貰う仕組みのことです。
保険とはいわゆる不幸の宝くじで、普段はお金を支払って、家が燃えてなくなったり、車が壊れてしまったりといった不幸なことが起きたときにまとめて受け取ることができるお金のことです。保険はもともとは船が沈没するかどうかの結果を予想してお金を賭けて、結果を当てた人が賭けたお金を全て貰えるという賭博みたいなゲームでした。それ故に賭博を禁止しているイスラム圏では保険は禁止されているようです(保険の代わりは一応ある)。
証券取引所は証券や保険を売買するために生まれた市場のことです。証券取引所があることでお金が流れやすくなったんですね。

6部. ビットコイン
お金とは価値の信頼のことです。紙幣は金という価値と交換できるという信頼があるから価値があるのです。ブロックチェーンというデータの改ざんができなくする技術が登場する以前のデータは勝手に複製ができるので所詮電子のゴミであり、価値と信頼がありませんでした。しかし、ブロックチェーンの発達により電子のゴミでしかなかったデータが価値と信頼があるものになりました。これを仮想通貨やNFTと言います。私が描こうとしている漫画作品もブロックチェーンで複製ができないようにすれば漫画がお金代わりになるかもしれません。今後の展開に期待です。

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