ものは考えよう-ディズニーランドはブロードバンドの夜明け!と言ってみたかった
スターウォーズのキャラクターがそろって決めポーズをしている。これはフロリダのディズニーワールドにあるハリウッド・スタジオの屋外舞台。映画から飛び出してきたキャラクターたちが演技をするのであるが、何といって舞台は真っ青な空に灼熱の太陽、そしてたまにスコールがあるフロリダだ。スターウォーズ大好きの私でも、しばらく見ていると偽物っぽく見えてくる。
ディズニーにはミッキーやドナルドといったキャラクターがいる。最初はアニメの2Dだったけど、3Dのキャラクターに会える夢の国ディズニーランドが生まれた。1955年のことだ。1983年には東京ディズニーランドも誕生している。ディズニーランドは美しいシンデレラがいそうなお城やミッキーやドナルドが歩いていても不思議でない夢の国だ。キャラクターが本物とか偽物とか考える余地もなく、夢の国に没入してしまう。ついついミッキーと一緒に写真を撮りシンデレラと握手したくなる。
7月に訪れたフロリダのエプコットセンターでは、美女と野獣のベル、人魚姫のアリエル、眠れる森の美女のオーロラ姫、白雪姫、シンデレラの5人のお姫様と写真を撮ってきた。その構図はAKB48の握手会みたいだ。行ったことないけど。
夢の国には夢のような出会いがある。
でも現実世界でもディズニーの力が大いに使える!
今でこそあたり前になったブロードバンドのインターネットにFTTH(Fiber To The Home)光アクセスがある。1999年頃はまだ電話回線を使ったISDNの64Kbit/秒が全盛の時代で、NTTの事業部門は数Mbit/秒(今はもっと速い)の光アクセスは時期尚早となかなか事業化してくれなかった。そこで、ビジネスや個人のお客さんを対象に光の良さを知ってもらおうと、NTT研究所とNTT西日本が一緒になって1999年5月から2000年6月まで金沢市でFTTH金沢トライアル実験を始めた。
香林坊のダイワデパートにあるNTTの展示ルームにさまざまな機器を設置し、光アクセスのブロードバンドで街なかに設置したカメラ映像を見たり、アジア雑貨のネット販売を体験したり、効果音をネットで購入したり、といろんなサービスを金沢市の企業とともにデモを行った。さらに、パソコンではなく、家庭のテレビでインターネットを楽しめるホームゲートウェイを展示した。
「家庭で楽しめる」とうたっているが、展示ルームのテレビでネットを観ても全く実感がわかない。お客さんもちょっと来てはすぐにどこかに行ってしまう。だから説明員にも力が入らない。そこで考えたのが本物の家庭で展示することだ。100平米もある石引町のマンション住人が海外赴任で部屋が空いていることを聞き、そこを借りてデモすることにしたのだ。写真の左が和室においたホームゲートウェイとテレビで、右がリビングで説明している風景。もっとも説明する人がスーツを着ているのは微妙だけど。
石川県のT知事は30分の予定で見学に来られたけど、結局は数時間もいらして、一緒の職員の方々がやきもきされていた。新幹線が開通する前の金沢市は午後7時までにバスに乗らないと東京には帰れない。そのために1泊で見学に来られる人が多いのだけど、この部屋に来るとリラックスして、だいたいは1時間を超えて見学してもらえる。見学の趣旨はサービスを知ってもらうことだけど、実はお客さんからいろんなコメントが聞けるのだ。
期間中に1000人を超えるマスコミの方々も来られ、テレビや新聞で取り上げてもらった。そのため、見学者が増えて実験期間を延長したほどだ。特に六角堂のステーキがじゅうじゅうと美味しそうな音を立てているホームゲートウェイのテレビ映像が放映され、大きな反響を呼んだ。18年前の驚き・・・
「え~!こんな綺麗な映像がネットで観られるの?」
ビジネスとしては、金沢工科大学の学生寮に光が設置され、街のモニターカメラと放送局を結ぶ回線に光が使われ、金沢市のバスがどこにいるのかを携帯で確認できるサービスも導入された。バスのサービス「バスどこ」は、NTT研究所に入ったばっかりのMくんが開発した。
このトライアル実験が功を奏したとは思うけど、ネット時代の流れを反映してさまざまな通信会社がADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)サービスを開始し、NTT東西も2001年に光のFTTHを開始した。
ディズニーのキャラクターは現実には偽物だけど、夢の国ディズニーランドでは本物だ。ディズニーと比べるのはおこがましいけど、ブロードバンドの本物のサービス(サービスしてないから偽物かも)であっても香林坊の展示ルームでは偽物に見えてしまう。だから、石引のマンションはちょうどFTTHのディズニーランドだったと思う。だから、
ディズニーランドでブロードバンドが夜明けを迎えた!
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