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現役大学生がたった20日でヒッチハイク日本一周したお話 【第3話】

【前回記事】

前代未聞の大移動 (仙台→青森→函館→青森編)

三日目の朝がやってきた。
ヒッチハイクもだんだん慣れてきて、最初に感じていた恐怖や羞恥心はもうこの時点で一切感じなくなっていた。逆に早くヒッチハイクがやりたくて仕方なくなっていた。この日は朝5時に起きてシャワーを浴び、一日のタイムスケジュールをなんとなく考えて外に出た。今日はなんとしてでも青森まで行きたかった。仙台から青森までは結構な距離があったが、この日は予想をはるかに上回るまさかの大移動を成し遂げてしまうのであった。

順を追って振り返っていこう。

ところで、なぜこんなにも朝早く起きているのか。
このヒッチハイク日本一周で最も辛かったこと、それは夏の暑さである。一番気温の高い午後2時~3時の間に、いかに涼しい車内や屋内に入れるかが極めて重要である。そのため、まだ割と涼しい明け方に、車を捕まえて一般道から高速道路にのること、これが本当に命運を分ける。この一般道から高速道路にのるまでのヒッチハイクが本当に苦戦するために、毎回余裕をもって朝早く起きるようにしていた。

まずは、仙台市内から再び東北自動車道に足を踏み入らなければならない。
かなり仙台の中心地に昨日はおろしていただいたため、30分近く歩いてヒッチハイクがしやすい高速道路のインター付近に向かった。そして、狭めの路側帯でスケッチブックを構えてヒッチハイクを開始した。すると、15分経って一台の車が停まってくれた。

本日の1台目

本日一台目のこちらの男性は、仕事の出勤時間が迫っているのにもかかわらず、私を近くのサービスエリアまで乗せてくれた。上司に怒られるかもしれないのに、私が車を捕まえられず困ってそうだったから、それを覚悟で拾ってくださった。本当に日本人は優しい人が多いと毎日思わされる。

この方のおかげでまた東北自動車道に戻ってくることができた。高速道路に入れればこっちのものである。サービスエリアの本線に続く道の手前は、100%の人が北を目指して車を走らせている。だから、ヒット率も格段に上がるのだ。
その後も、ヒッチハイクを休むことなく続けて、自分より年下の青年や家族の車など、何台か乗り継いで、サービスエリアをはしごしていった。

本日2台目
本日3台目
本日4台目


そして、岩手県まで順調に進むことができた。あと青森まではもう少し。
早朝からヒッチハイクをしていたため、この時まだ午前中であった。かなりいいペースで来れている。
ここで今回のヒッチハイク日本一周でTOP5に入るほどの良き出会いをする。それが本日5台目のゲーマーのお兄さんである。

本日5台目

この方は、青森県にどうしても食べたいラーメン屋さんがあり、岩手県からわざわざ高速道路で2時間半かけて向かっている最中に、私をみつけて乗せてくださった。前日の深夜、急にラーメンが食べたいと思い立って車を走らせたらしく、なかなかにクレイジーな方である。そんなこの男性とは、年齢はいくつか離れていたが、ノリやテンションが自分と同じくらいで、ゲームの話や恋愛の話などをして、車内はとても盛り上がった。
そして、その男性がどうしても食べたいラーメンを一緒に食べに行くことになった。それが下の画像にある青森野呂家の家系ラーメンである。冗談抜きでスープが黄金色に輝いており、味はとても濃く美味しかった。ライスも頼んだのだが、上からマヨネーズとニンニクをかけるという禁断の食べ方をして昇天した。朝から何もたべていなかったので元気が出た。

王道家直伝青森野呂家のラーメン
奢っていただきました!ありがとうございます!

ラーメンを食べた後、時間はまだ午後の1時半であった。
これはもしかしたら函館まで行けるかもしれないと思い、この男性に青森市のフェリー場まで乗せていただけないか交渉した。すると快くOKしてくれて、再び車を走らせてくれた。
あらかじめ言っておくと、青森から北海道には青函トンネルというものがあるが、通っているのは北海道新幹線のみで、自動車は走ることができない。そのため、ヒッチハイクではなくフェリーをつかって北海道に渡ることにした。

30分後フェリー場に到着した。この男性とのお別れの時間がやってきた。
フェリーが出航する時間も迫ってきていたため、一期一会に感謝して深くお辞儀をして握手した。そして、急いで船に乗り込んだ。
青森から函館の長い船旅が始まった。ずっと車しか乗っていなかったため、とても新鮮で、展望デッキは風を感じられて気持ちよかった。

出航の瞬間

青森→函館は片道で4時間以上かかる。
時間の使い方が難しいところであったが、Wi-Fiが船内にあったため、NETFLIXでトリリオンゲームというドラマをみて、時間をつぶした。
私は学割で3470円のスタンダードチケット(一番下の等級)を購入したため、与えられるものはカチカチの床だけである。もっと課金して上の等級になれば、部屋が用意されてふかふかのベッドで寝ることができる。
でも、大人が大の字になって寝れるくらいのスペースはあったので、わりとくつろぐことができた。

そして、18時函館ターミナルに到着した。まだ外は明るかった。
ここでひとつ思った。これは今日中にまた青森に帰れるのではないかと。
到着するやいなや帰路のチケットを買い、北海道の滞在時間まさかの2時間でまた船に乗った。そしてさすがに疲れていたのか、帰りの4時間は爆睡して、意識があまりないまま青森にまた戻ってきた。
時刻は0時になっていた。
宿を探さなくてはいけないとマップを開き、近くのネットカフェを探した。
不幸なことにかなり遠いところにお目当てのネットカフェあった。でも、もうそこしか安く泊まれるところがなかったため、40分ほど歩きなんとかたどり着くことができた。
この日は本当に大移動をした一日であった。
仙台からスタートして青森まで行き、フェリーで函館まで渡ってそこで終わるのかと思えば、また船に乗り青森に帰還した。もう一回これをやれと言われたら絶対にできないと思う。そのくらい激動な一日であった。


【次回】 第4話 ぼっちの花火大会 (青森→秋田編)


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