見出し画像

カウンターが好きすぎて賃貸にDIYで作った話

カウンターが好きだ。ボクシングとか格闘技のカウンターじゃない、通行量調査で数字をカチカチ増やしていくアレでもない、居酒屋や飲み屋やバーなんかにあるアレだ。

店舗の設計とデザインを任される職業上、今まで数多くのカウンターを作ってきた。そして、作った数よりもはるかに多くのカウンターで酒を飲みメシを食ってきた。

カウンターは厨房と客席の境界であり、そこに座れば全てが見える。本来は見せない裏方の仕込み作業から、店舗入口から入ってくるご新規さんの動向まで見渡せる。そうした仕事のリサーチ的な意味でも、僕は飲食店では率先してカウンターに座る。


もう1つ理由がある。カウンターはお店側にとって1人客を通す最高の場所の一つだからだ。

飲食店の売り上げは客単価×回転率で決まる。より良い売り上げをあげるには、なるべく多くのお金を気持ちよく使ってもらいつつ早く帰ってくれるとお店は嬉しい。

そして、2人がけテーブルに1人を通すと、相席にしない限りは1人分の使えない席が出てくる。これを席効率というのだけれど、お店としては1人客はカウンターに詰めて座ってくれると、無駄なく満席にできて嬉しいのだ。

僕はお店の人にもなるべく喜んでほしいから、カウンターに率先して座ることにしている。

もちろん、例外もある。店内が空席が目立つ場合なら、入口付近の外から見える席に座って、お店の良さを外へと伝える中継役になった方がいい時もある。そんな時はカウンターに座りたいのをグッとこらえて、中継ぎの役割をまっとうする。


家にもカウンターが欲しい

そんなわけだから、結婚したばかりの時に育児のことも考えて妻の実家の近くへ引っ越そうとなり、新しい物件を見に行った時にはできればカウンターキッチンのある物件がいいなとぼんやり思った。カウンターが家にも欲しかったのだ。

でも、そんな物件は賃貸ではそうそう無い。あっても家賃が高すぎて手が出ない。

結局、広さと見晴らしと駅近&ワンフロア占有という条件の良さで物件を決めた。

妻と内見の時に超広角レンズで撮っているから広めに見えちゃってアレだけど、20畳1LDKで2面がほぼ窓という賃貸にしては変則的な間取りだ。めちゃくちゃ明るいが結露と寒さがヤバい。

キッチンはカウンター・・・では無い。これじゃ足が入らない。そして低い。椅子で座って何かつまんだり飲むにはちょっと寸足らずだ。まぁ、これでも立食ならカウンター風に食事はできるけれど。。。

物件はなかなか良かった。しかし問題もあって、冷蔵庫スペースの幅が狭くて新しく入れる冷蔵庫が入らなかった。しかもその冷蔵庫は妻がお世話になっている料理家のフルタヨウコさんから譲り受けるものだったので、引越しで入れるのはマスト。

結果的にリビング側に冷蔵庫を置くことにした。

で、すでに冷蔵庫が手前に出てきてレイアウトは崩れたので、この際だから冷蔵庫カバーを作りつつ手前側にカウンターをDIYで作ることにした。


欲しすぎるから作ってみた

制作途中の写真がなくて申し訳ないのだけれど、完成するとこんな感じだ。

ちなみにこれ、櫓を木軸で組んで、木軸の構造に絡めて無垢材カウンターを据え付けている。何が言いたいかというと、賃貸だから今ある場所にビスなどを打って支持がとれないから、独立した構造という事だ。


カウンターの無垢材は銀杏の1枚板。ギンナンじゃなくてイチョウ材。まな板にも使われる丈夫で適度な柔らかさのあるとてもいい木材だ。杉や松だと柔らかすぎて傷が目立つし、樫や花梨は固すぎてくつろげない。

水栓金具はTOTOの古いプラ製ハンドルがダサすぎたので、ドイツ製のドンブラハのものに僕が付け替えた。上の棚板は現場余りの足場板で、裸ソケットの照明はちゃんとスイッチで点灯するように配線も組んだ。

櫓自体はビス止めだけれど、あえてビス穴を残して将来引っ越す時にパネル状にバラして引越し先で組み直せるようにしてある。貧乏性なので、作ったものを壊したく無い。なるべく次でも使えるように考えた。もちろん、エレベーターの内寸をはかってちゃんと乗る寸法にした。

カウンターの立ち上がりはタイルだけれど、これは僕が仕事柄もらってくるサンプルや現場の余りを貼った。木材だけだとツルッとしすぎるし、お皿=陶器や磁気だから建材も陶器を混ぜるとバランスがとりやすい。

全体的に白っぽく見えるのは櫓組みの木材を自然塗料で刷毛塗りしているから。少し白の入った含浸型塗料なので木目は残しつつうっすらと白が乗ってピンクベージュのような色味になる。この色味は結構好きで、室内の他の収納扉なんかもこの色にしている。


2つ並べたスツールは松野屋の荒物。無骨なつくりだが釘などが一切ない組み方で、なのに強度が強くて座り心地もなかなか良い。

もう4-5年前に作ったものなので、今ならもっと上手にもっとセンス良く作れる自信もあるが、これはこれでモダン割烹風で気に入っている。


家呑み満足度が爆上げ

最近は娘2人に手がかかるからあんまりできていないが、こどもが小さい時は夫婦二人でたまにこのカウンターで晩酌をした。最近でも春先、山菜のとれる時期にはおすそ分けしてもらった山菜を天ぷらにしつつカウンターでビールを飲むのが至福の時間だ。もう少し娘が大きくなったら、また夫婦でカウンターで晩酌を楽しみたい。

家の中にカウンターなんて、と思うかもしれないが、もしもリノベマンションなんかに住みたいと思っているなら僕はカウンターを作るのをオススメしたい。いや、別に僕みたいに賃貸でも作ってしまえばいいと思う。原状回復できるなら問題ない。

キッチンとリビングの距離が近くなれば料理中のコミュニケーション不足も解消するし、ちょっとした物の置き場にもなる。おすすめ度はとても高い。


どうだろう?自分の家にもカウンターが欲しくなってこないだろうか??もしもこれを見てうちにも欲しい!となったら僕に相談してください。

・・・という営業日記でした。書いていたら久々にカウンターでビールが飲みたくなったので、今夜はお気に入りのサマーセゾンでも買ってこよう。


ご相談は公式サイトの問い合わせフォームか、twitterのDMなどでどうぞ〜

いただいたサポートでnote内のクリエーターさんを応援!毎月末イチオシの新人さんを勝手に表彰&1000円サポート中🎉 あとはサポートでお酒や甘味で妻や娘のゴキゲンをとります。 twitterは @OFFRECO1 Instagramは @offreco_designfarm