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敗者を生まない組織内競争を促進する組織開発

経営戦略という考え方の根底には“勝ち・敗け”があります。それは、「負けたくない」という想いが安閑を妨げ、進化を促すと考えられるからです。一方、ライバル関係という言葉には、切磋琢磨するというニュアンスが込められています。相手を蹴落とそうとするヒール役も、最後は主人公と和解するというのが“スポ根アニメ”のテッパンあることでも、理解できるでしょう。したがって組織内競争は、戦略思考ではなく、ライバル思考となるようにもたらされることが有効だと思います。

例えば、商店街活性化について見てみましょう。もし、個人商店(個店)だけで構成されていたとすると、消費者は他に選択肢がないため、店主がさほど努力しなくてもその個店に行くでしょう。その結果、個店は安閑にかまかけて衰退することになります。そして個店の衰退は商店街全体の衰退に繋がっていきます。そこで個店が安閑としないために、ライバル店を出店させることが必要になってきます。

ここで、ライバル店として相応しいのは、どのような店舗でしょうか。同じような個店の場合、両店が談合して共倒れになったり、同じ一番を争って疲弊し合うことになったりする危険性があります。では、大資本のチェーン店はどうでしょうか。大資本における出店戦略の基本は、今、売れるかどうか(売れなくなれば退店すれば良いという考え)で、長期的な継続や発展までは思考していません。そこで、複数店舗を運営している店が望ましいことになります。複数店を経営しているということは、複数の市場で経営しているということ、つまり、より大きな(広い)視点から店舗経営をするため、個店に刺激を与えます。また複数店経営の店も、個店の独自な対応に刺激を受けていきます。つまり、互いが切磋琢磨する関係を築きやすいといえます。

翻って組織内人事ではどうでしょうか。ひとつの部門に長くとどまることなく、異動によって他の部門の思想も吸収していくことが必要でしょう。また、部門を横断するプロジェクトに参加することも、自身の腕試しとして効果的に機能することが考えられます。ひとつの専門能力を高めるのであれば、積極的に副業や転職を認めることも有効だと思います。とくに転職においては、アルムナイ制度を持つことによって、ネガティブなイメージを払拭することができるでしょう。将来、大リーグへ行くことを前提に契約を結ぶプロ野球球団は、「それまでに稼がせてくれればイイ」という発想で契約しているわけではないと思います。

いずれも、とくに目新しいことではありません。では、なぜ、それが機能していない組織が多いのでしょうか? それは、組織内人事を、特定の部門を強くするための施策ではなく、メンバーの変容(行動変容あるいは成長)を促す施策と位置付けられないからではないでしょうか。換言すれば、部門の成果が高まるのは、その結果であって目的ではないということに納得がいかないからだと思われます。組織本来の目的(理念・ミッション・ビジョン・パーパスなどと明示されているもの)は、数値に置き換えられることで、やるべきことが簡単でわかりやすくなります。そして、わかりやすさに、人は流されていき、組織は数値目標(数値管理)だけのために、換言すれば、そこに存在する人を置き去りにして、ただ存続していくことになるのでしょう。

理念だけを聞いても、現実味がないと思われるかもしれません。しかし、なぜ、この数値なのかをとことん掘り下げていけば、「この数値である必然性はない」と気づけるものだと考えます。そして目標数値の蓋然性が揺らげば、ものの見え方も変わってくると思います。

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