岡島克佳

組織開発という視点で実施している研修講師としての活動を通じて、その時々に思うことを綴っ…

岡島克佳

組織開発という視点で実施している研修講師としての活動を通じて、その時々に思うことを綴っています。 https://office-okajima.jimdosite.com/

マガジン

  • 1人から始める組織開発

    組織内個人が輝けるには、どうしたら良いのだろうか? 周囲の関わり方は? 自分自身の在り方は? 研修講師として様々な企業にかかわってきた経験から、徒然なるままに綴っていきます。

最近の記事

MFにLGBTQIA+を加えるだけで終えない組織開発

体系から考える 組織に不合理を感じた時、どのように思考(思索)を進めるでしょうか。とっかかりは、もちろん目の前にある不合理の解消方法となるでしょう。しかし、1つの手続きを変更するためには、別の手続きの変更も必要となり、やがては別部署の協力も必要になってくることに気が付きます。多くの人は、この時点で不合理の解消を諦めるでしょうが、一部には、さらに思索を深める人もいます。そしてその人は、組織体系の問題に到達することになるでしょう。 組織が体系であるということは、組織はある種のカ

    • 「“湯谷”(ゆたん)って何?」から始まる組織開発

      何年経ったら老舗? 「創業100年」と聞くと、老舗という気がします。しかし、「創業は大正12年」と聞くと、「長く続いているなぁ」とは思うものの、老舗という言葉をあてはめるのには違和感を覚えます。それなら、創業がいつ頃だったらこの違和感がないのでしょうか。例えば、明治や慶応だったらどうでしょうか。やはり、老舗という言葉は素直に受け入れられないように思います。それでは、創業が元治あるいは文久と聞いたらどうでしょうか。こうなると「老舗だなぁ」と納得がいきます。 つまり日本企業の場

      • 人も組織も爆発させない組織開発

        滅私奉公は一体感に繋がらない 組織メンバーが行う行為には、“明”なる部分と“暗”たる部分があるでしょう。例えば、1人ひとりは正しい(役に立つ)と信じて行動しているのに、全体的な動きとしてはイノベーションの否定にすぎなかったり、縮小均衡に向かったりしてしまうのです。そして“暗”たるときの滅私奉公が、なぜか必要なことで、素晴らしいもののように見えてしまうように思えます。おそらく、1つの方向に向かっているという一体感が、そのように見せてしまうのでしょう。 本来、滅私奉公は、組織が

        • メンターがメントールになる組織開発

          ロールモデルに託すもの 自分の将来をイメージしたいとき、自分の近くにロールモデルが存在することは頼りになるでしょう。ロールモデルは、自分の志向とニアリーイコールであってイコールではないながらも、自分のことを理解してもらえるような気がするからです。 しかし、ロールモデルとなる者が、自身をロールモデルとして認識すると、ロールモデルは必ずしも頼りになるわけではないように見受けられます。それはロールモデルに、自身が相手の望む姿のニアリーイコールであってイコールではないことへの気配り

        MFにLGBTQIA+を加えるだけで終えない組織開発

        マガジン

        • 1人から始める組織開発
          63本

        記事

          脳科学のように理解していく組織開発

          「学習する組織」とは、継続的に学び、成長することを重視する文化を持つ組織のことを指すと、ピーター・センゲが提唱したものです。具体的には、組織の共通目標を持ち(共有ビジョン)、それに向かって、固定概念に縛られず柔軟に対応しながら(メンタルモデル)、個々のメンバーが自己の能力を高め続け(自己マスタリー)、さらに互いが学び合ったり知識を共有したりすること(チーム学習)で、組織全体のシステムを理解し、全体的な視点で問題を解決しようとする(システム思考)組織のことのようです。 ここから

          脳科学のように理解していく組織開発

          上司を“炎上審判”にしない組織開発

          スポーツにおいて、審判の判定が炎上することがあります。応援しているアスリートやチームに不利な判定が下されれば、感情的になるのはわかります。しかし、それが攻撃性を帯びるほどにエスカレートする原因は、審判の絶対性と、それに付随した“私”の絶対性にあるのではないでしょうか。 自身が絶対的立場にあるという意識を持つことができるには、そのように他者との関係性が築けていると認識することが必要です。審判に対しては、プレーヤーがそれを認めているという状況が必要であり、審判を非難する“私”には

          上司を“炎上審判”にしない組織開発

          失敗を繰り返すから不祥事を起こさない組織開発

          不祥事が起こると、部外者は原因を追及し、スケープゴートを求めます。そして最後は、教育の徹底ということで納得していきます。スケープゴート探しは部外者の受けも良く、また、事態を収拾するのに一役買いますが、これだけで納得はしません。わかりやすい悪役がいないとき、これだけで終えようとすると、「トカゲの尻尾切り」「原因はやぶの中」などと言われたりするからです。だから、多数が少しずつ責任を背負っていて、それが不祥事に結びついたというカタチが求められるのでしょう。このような思考は、『なぜな

          失敗を繰り返すから不祥事を起こさない組織開発

          “技術力”という呪縛から逃れる組織開発

          どこで飲んでも、コカ・コーラの味は変わりません。それなのに、それに支払う対価が68円であったり1,200円であったりすることがあります。それは、シチュエーションが異なるからであって、コカ・コーラに特別な味が、突然、生まれるわけではありません。 つまり、本来的な能力には差がなく、能力に対する価値にも普遍性がないのです。例えば、企業が危機に瀕したときに経営者に求められる能力は、コミュニケーション力や他者を励ます力だと考える若者が多いそうです。人が本来的に備わっている力も、発揮すべ

          “技術力”という呪縛から逃れる組織開発

          信頼回復を理屈で考えない組織開発

          組織とは何かと問われれば、意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力が、共通目的・協働意志・コミュニケーションによって機能するシステムというバーナードによる定義が、今もって有効だと思います。 そのような組織は、さまざまなカタチを示しますが、それがどのようなカタチであっても、それを組織と認識するでしょう。にもかかわらず、その組織を実体として把握することはできませんし、壊すこともできません。壊したと思っても、それは別のカタチに姿を変えただけではないでしょうか。そのよう

          信頼回復を理屈で考えない組織開発

          誰かに頼っても、最後は自分らしく決める組織開発

          情報を求めて 誰かにアドバイスを求めようと思ったとき、あなたはそれが可能な人を思い浮かべようとするでしょう。そして、自分が、今、困っている状況と同じ状況を解決した人が思いつけば、その人に頼るのではないでしょうか。例えば受験生であれば、自分の志望校に合格した人を、真っ先に考えるでしょう。そして、もし、そのような人がいなければ、間接的な情報の積み重ねによって確からしさを求めるでしょう。 しかし、どんなに情報を増やしても、理論的(あるいは数学的)に絶対確実と証明することはできない

          誰かに頼っても、最後は自分らしく決める組織開発

          答えのない問から始まる組織開発

          自身が、組織のなかで満足度高く在り続けるには、自分は役に立つのだという実感が大切だとされています。しかし、そのためには、自分にはそれができるのだという客観的指標が必要でしょう。だから組織は、従業員のモチベーションを高めるために、自己効力感と自己肯定感が高まるような仕組みを展開しているのだと理解できます。 ただし、これらは論理的であり、論理では割り切れない感情への配慮はありません。そこで、個々に異なる多様な価値観にも配慮する姿勢が、組織には求められているのでしょう。しかし価値観

          答えのない問から始まる組織開発

          ストレス対処から学ぶ組織開発

          攻撃は防御にならない 「メンタルが強い」と「ストレスに強い」は、似ている概念ですが、完全に同義ではないそうです。ストレスに強いとは、困難な状況や失敗に直面するなどのストレスを感じる状況下でも、冷静さを保ち、精神的に安定していられる能力を指し、主に自己肯定感に左右されるものだそうです。一方、メンタルが強いとは、単にストレス耐性があるばかりでなく、さらに前向きに対処できる能力を指すそうです。 戦略論的に見れば、しっかり守るという防御があって初めて攻撃は成立するということでしょう

          ストレス対処から学ぶ組織開発

          ヒマだからやるリスキリングに支えられた組織開発

          セカンド・キャリア、あるいはキャリア・チェンジを実現するために、リスキリング(学び直し)が注目されています。キャリアの語源が“轍”であることを考えると、そもそもキャリアに“第2”が存在するのか、“変更”という考え方が有り得るのかという疑問は残りますが、“学び”そのものに着眼することは望ましいと考えます。 しかし、実際に実行に移している人は、少数派とも言われています。そこで、「なぜ、実行していないのか?」と問うと、「時間がないから」「お金に余裕がないから」という答えが多く返って

          ヒマだからやるリスキリングに支えられた組織開発

          “餌巻き”のチーム管理から逃れる組織開発

          給料の高い、安いは、どのように決まるのでしょうか。様々な要因があると考えられますが、同一組織内においては、組織の成長を牽引するように自身も成長している人材は、高額で雇われるように思われます。だから、会社の成長の方向性(ビジョン)の変化に合わせていくことができれば、終身雇用の高給取りになれるが、「私の活躍できる場を作って」という姿勢では、現在の地位(給料)の確保さえ危うくなるかもしれません。 ホーソン実験は、インフォーマル組織の重要性を指摘したことで有名ですが、経営者の視点に立

          “餌巻き”のチーム管理から逃れる組織開発

          笑わない組織開発

          ”笑い”という思いやり 研修を実施している時、私のクラスでは、よく笑いが起こります。ここで笑いとは、本質的に自己の優位性を自己認識する行為でしょう。そしてそれは、直接的に自己の優越性へ気づくから起こるばかりではなく、他者の劣等性へ気づくことによっても起こるのだと思います。例えば、クイズ番組を見ながら、自分にわかる問題を間違えたタレントに対する笑いが前者であるなら、熱湯風呂に入ってもがくタレントに対する笑いが後者でしょう。研修講師として造り出す笑いは、もっぱら後者であるように

          笑わない組織開発

          強いリーダーシップに支配されない組織開発

          企業は、その成長とともに対象市場が広がり、必然的に人員も増えていきます。そこで、広大な市場を持ちながら、市場ごとの事情を容認する支配体制を確立していきます。例えば、事業部制、カンパニー制、そしてホールディング会社の設立や資本関係のみのグループ形成となるような組織体制の変化から、それを見て取れます。なかでもM&Aに代表される企業連合は、資本もさることながら、各企業の独立性を重視した契約関係で成立しているように思われます。 これらに特徴的なのは、自らの成長に基づいて組織体制を変更

          強いリーダーシップに支配されない組織開発