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おもひでボロボロ

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2020年1月の記事一覧

関西弁との分岐点 ー私の大学受験ー

関西弁との分岐点 ー私の大学受験ー

私は高校生の早い時期に、ヨースタイン・ゴルデルの有名な著作『ソフィーの世界』を読んで哲学者になることを、あるいはラフ・シモンズのスクールパンクコレクションに衝撃を受けてファッションデザイナーになることを夢想した。

しかし、圧倒的な才能及び情熱の、特に情熱の方の欠如を物分かりよく自覚し、自分が社会にとって有用な人間になるには大学進学、法学部だろう、と思うに至った。

なぜ私は社会にとって有用な人間

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世界が美しいと言うのは早計だ

世界が美しいと言うのは早計だ

まだ本格的な寒さは来ていない、秋の夕暮れの頃。大学図書館の玄関近くの段差に腰かけて、友達と話をしていた。

「今度、A君と遊びに行くことになったよ」

ふと彼女は言った。

へえ、うまくやったじゃん、A。

彼には以前から、彼女のことを紹介してほしい、と頼まれていた。

「そう」

僕は応えた。

それから一週間くらい経った、ある日の帰り道。

彼女から「この前、A君と遊んできたよ」と報告があった

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神戸

神戸

待ち合わせは19時、JR三ノ宮駅。

2003年の夏、大学時代の友人に会いに行った。

お昼頃に大阪に入り、何となくレコードを見たり三角公園でたこ焼きを食べたりしてから、夕方に神戸に向かった。

珍しく時間通りに現れた彼女の言うがままに連れられて、起伏のある道を少し歩く。

夜の街の喧騒。

春に交通事故で骨折した脚が痛み、時々しんどかった僕は「痛え、痛え」と言いながら歩き、友人はからからと笑った

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