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Yellow Magic Orchestra「Yellow Magic Orchestra」/「Yellow Magic Orchestra (US版)」

1978年発売、US版は1979年に逆輸入という形で再発売。もはや語るまでもなく語りつくされた伝説のテクノバンドである通称「YMO」は、はっぴぃえんどやティン・パン・アレーなどの細野晴臣がリーダー兼プロデューサーを務め、サディスティック・ミカ・バンドなどの高橋幸宏とスタジオミュージシャンであった坂本龍一を誘い入れ結成されて制作された記念すべき1枚目である。そして忘れてはならないのが冨田勲の弟子で第4のメンバーと言われた松武秀樹の存在である。YMOには「Technodelic」までレコーディングとライブに参加しプログラミングを担当、大いに貢献してくれた頼もしい存在の一人である。
日本における電子音楽は当時は冨田勲ぐらいしかいないようなものだったが、日本の音楽に電子音を浸透させるきっかけはほぼ間違いなくこのバンドで、このアルバムと次回作「Solid State Survivor」の影響が特に大きいのではないかと思う。
その後に発売されるアルバムと比較すると細野が作曲した曲が多く、逆に坂本と幸宏各々の作曲は1曲ずつというまだ細野のアルバムという側面が少し大きいアルバム。
国内版と輸入盤の違いはざっと言うと、国内盤に収録されている「アクロバット」が輸入盤ではカット、「東風」が輸入盤ではタイトルが「Yellow Magic (Tong Poo)」になっており女性ボーカルが追加されている。また全体的にオリジナルミックスを向こうのスタッフがフュージョン寄りのミックスに手直しされている。ちなみに細野氏は国内版の方が好きだと言っている。
先述通り、多くのファンに語りつくされているのでもはや自分のような音楽知識が低く語彙力も優れていない者がYMOを語るなど言語道断かもしれないが、何度もループして聴くぐらいやはり大好きなアーティストの一つなので、自己流に語らせていただきたい。
今回は国内盤と輸入盤両方を語らせていただく。ちなみに私は国内版の方を推している。
余談だが、自分が所有しているCDは2004年ぐらいに発売された国内盤と輸入盤を2枚組に収録されたリマスターCDの輸入盤。

メンバー
細野晴臣・・・ベース、エレクトロニクス、キーボード
高橋ユキヒロ・・・ドラム、パーカッション、エレクトロニクス、ボーカル
坂本龍一・・・キーボード、エレクトロニクス、パーカッション、オーケストレーション

収録曲(国内版)
1.コンピューター・ゲーム“サーカスのテーマ”
2.ファイアークラッカー
3.シムーン
4.コズミック・サーフィン
5.コンピューター・ゲーム“インベーダーのテーマ”
6.東風
7.中国女
8.ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック
9.マッド ピエロ
10.アクロバット

収録曲(US版)
1.COMPUTER GAME "Theme From The Circus"
2.FIRE CRACKER
3.SIMOON
4.COSMIC SURFIN'
5.COMPUTER GAME "Theme From The Invader"
6.YELLOW MAGIC (TONG POO)
7.LA FEMME CHINOISE
8.BRIDGE OVER TROUBLED MUSIC
9.MAD PIERROT

コンピューター・ゲーム“サーカスのテーマ”COMPUTER GAME "Theme From The Circus"
作曲 YMO
当時存在していた「サーカス」というアーケードゲームのSEをシンセで再現した曲。この曲には松武は参加おらず、メンバー3人でのみ制作したらしい。世代ではないが、レトロなゲーム音が心地よくかなり上手いこと元のゲーム音を再現していてこの曲の時点でいかにこの3人が凄いかが伺える。55秒あたりからドラムの音が入り、終盤にはクラッカーの音も混ざってシームレスに次の曲へと移行する。
国内盤と輸入盤の違いはそこまで感じられないが、強いて言うなら輸入版はすべての音が同じ音量に設定されているところか(国内盤は一部の音が抑えられている)。

ファイアークラッカー / FIRE CRACKER
作曲 マーティン・デニー
アメリカ出身のピアニストであるマーティン・デニーの同名楽曲のカバー。原曲のバンブーで民謡チックな曲を見事にアジアンテクノにアレンジが施され、聴いていて「あぁ、YMOだ」という気分にさせられる。テレビ東京で放送されていた「空から日本を見てみよう」で使用されていたせいか、雲の上を浮いているような印象が大きいw
初期から2010年代以降もライブで演奏される頻度は非常に大きかった。
両盤の大きな違いは最後の部分、国内盤はクラッカーの音で曲を締めるが輸入盤は爆発音のようなもので締めている。
余談だが、自分は最初普通にYMOのオリジナル楽曲と思っていた。

シムーンSIMOON
作詞 クリス・モズデル
作曲 細野晴臣
コンピュータが起動するような不思議なイントロから始まるアラビアンな曲。細野曰く、「砂漠をスターウォーズのC-3POとR2-D2が歩いているイメージ」らしく、不思議とその情景が思い浮かぶ(C-3POを意識しているであろうコンピュータ音が時差入るのもおそらくそれだろう)。ピアノの音も入ってジャズチックな雰囲気もあり洒落たカフェとかで聴いてくつろぎたい、そんな感じの曲。
誤解されがちだがボーカルは細野ではなくタイロン橋本という歌手がヴォコーダーを通して歌っている。
両盤特に大きな違いは見受けられない。

コズミック・サーフィン / COSMIC SURFIN'
作曲 細野晴臣
元々は細野晴臣、鈴木茂、山下達郎とのオムニバスアルバム「PACIFIC」に収録されていた収録曲のアレンジ。PACIFIC版では全部シンセサイザーで演奏されたテクノ感満載なテイストに対し、こちらはシンセの他に高中正義によるギターも合わさり、フュージョン感が強いアレンジになっている。個人的にはテクノ感あるPACIFIC版の方が好みかも…w
ライブでは細野作曲の曲はあまりライブで演奏される事態少ないが、この曲に限りほぼ必ずと言ってもいいほど演奏されており、テンポも原曲より早くアレンジされる事がほとんど。
両盤の違いは国内盤は演奏時間が約4分51秒に対し、輸入盤は約4分26秒で、輸入盤の方はアウトロがすぐフェードアウトして次の曲に行く。

コンピューター・ゲーム“インベーダーのテーマ” / COMPUTER GAME "Theme From The Invader"
作曲 YMO
1曲目の「スペースインベーダー」版。電話の着信音のような音がメインで鳴り響くのが特徴。こちらも松武は参加していない。
両盤の違いは1曲目同様音の強弱の違いにプラスして、演奏時間が国内盤は約0分43秒に対し、輸入盤は約1分1秒で輸入盤の方が長い。

東風Yellow Magic(TONG POO)
作曲 坂本龍一
YMOの中でかなり人気の高い曲の1つでこのアルバム唯一の坂本作曲。
ゆっくり迫ってくるシンセベースから始まり、どこか重い歴史を感じる中華な雰囲気、一度聴けば印象に残りやすいメロディ、あちこちでひっそりと暴れるピアノの音、一定のリズムをキープするドラム、本当に堪らないと感じる曲。多くのYMOファンに愛されるのも頷けるYMOの最高傑作といえる。そこからシームレスに次の曲に移行するのも気持ちがいい。
両盤の中で特に違いがはっきりしている曲で、輸入盤にはタイトルにYellow Magicの文字がメインでタイトルに足され、吉田美奈子によるボーカルが中間部分に付け加えられている。
個人的には国内盤を推す。

中国女 / LA FEMME CHINOISE
作詞 クリス・モズデル
作曲 高橋ユキヒロ
こちらもYMOの中でかなり人気の高い曲でこのアルバム唯一の高橋作曲であり、YMOでは初となる幸宏ボーカルの曲。他にフランス語の女性ボイスが特徴(フランス語の内容はかなり卑猥な事を言ってるとのことw)。
この曲は個人的に何といってもベースが大好きすぎてほぼそこをメインで聴いてしまうほど心酔いしている。正直この曲に出会うまではベースというサウンドパートにそれほど興味はなかった、それだけに自分の中で衝撃を受けた。この曲は音楽に対する聴き方を見事に変えてくれた曲となった。特に好きなのが4分57秒のベース音が好き。
YMOに本格的にハマる前はインストバンドのイメージがあったのだが、この曲を聴いてそのイメージは覆され、幸宏の声にも見事惚れたのだった。
YMOの中で間違いなく一番大好きな曲であり、見事YMOに恋をした曲でもある。
両盤共に大きな違いは、先ほど好きな部分として紹介した4分57秒から聴こえてくるベースの音が国内盤は右に、輸入盤は左から聴こえてくる。

ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック / BRIDGE OVER TROUBLED MUSIC
作曲 YMO
次の曲への繋ぎの曲。所謂焦らし。アニメ「うる星やつら」のラムの飛行SEみたいな音が飛び交うのが特徴。
コンピューター・ゲーム2作同様松武が参加していない曲。
両盤共に大きな違いは見受けられない。

マッド ピエロMAD PIERROT
作曲 細野晴臣
このアルバム唯一の西洋チックな曲。前曲で焦らしに焦らされ、ついに始まったイントロからパァーッと盛り上がる感じが堪らなく、ポコポコしたサウンドがピエロを彷彿し、明るさの中で見え隠れする狂気さを醸し出している。インスト扱いだがヴォコーダーを通して何かしら歌われている。作詞者もボーカルも不明。
YMOファンにとって「東風」等とは別のベクトルで人気があり、所謂隠れた名曲。数あるYMOのベストアルバムにも実はそんなに収録される事は少ない。
難易度が相当高いらしく、まずライブでは演奏されずかなり初期に演奏されたっきりらしい。
両盤との違いは、ベースの音がちょっと違う感じがする。輸入盤はこの曲でアルバムの締めになるのでそのままフェードアウトするが、国内盤はそのままシームレスに「アクロバット」へ移る。

アクロバット
作曲 細野晴臣
国内盤のみ収録されている。コンピューター・ゲーム2曲で使用された音が入り、番外編的な立ち位置に感じる。サウンドは「マッド ピエロ」の流れからサーカスのイメージが残るなんだかちょっと可愛らしい曲。

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