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大切なコミュニケーションツールを奪わないで

今日はモータースポーツ界隈におけるSNSのお話。
10/24(土)〜25(日)に鈴鹿サーキットで開催されたSUPER GT Rd.6。23号車のテールトゥウィンという見たことがない大逆転が起こったこのレース。私も自分の誕生日だったこともあり、現地でしっかりと観戦しました。応援しているRAYBRIGにとっては悔しいレースとなりましたが、これもまたレース。RAYBRIGの戦いっぷりに関してはまた改めて書かせていただこうと思います。

個人的に気になったこと

今回はこのレースの裏で気になることがあったのでそれについて。
それはTwitterで繰り広げられたドライバー批判。それが直接的な原因だったのかはわかりませんが、ARTA8号車をドライブする福住仁嶺選手がTwitterを辞めてしまいました。何があったのか…。

レースで起こったこと

レース中盤、ARTA8号車とTEAM IMPUL12号車が2位争いを繰り広げていました。そして21周目、12号車がピット作業に行い、アウトラップに入った時、その事件が起きました。12号車をドライブする平峰選手としては新品のタイヤを温めるためにウェービングをしていたのかもしれませんが、8号車がすぐ後ろにいるのにも関わらず、何度も進路変更をするという少々危険な運転を繰り返したのです。「タイヤを温めるためなのか?はたまた抜かれないように進路妨害するためなのか?」真相は分かりません。

この件について、TEAM IMPULはレースレポートで下記の通り話しています。

迅速な作業で給油、タイヤ交換、ドライバー交代を終え、平峰一貴はピットインした車両の中でトップのままコースに復帰することに成功しました。しかし、後方からNo.8 AUTOBACS NSX-GT(福住仁嶺)が迫ってきます。まだタイヤが温まらない中、平峰はまる1周素晴らしい走りを見せてトップを守りました。

一方、ARTAはレースレポートで下記の通り話します。

作戦通りに行ったんだけど、2位の車のアウトラップはちょっと危険な走りでしたね。
  ーライアン・ディングル エンジニアのコメントより

またこの件に関して、ARTA GT300クラスの土屋圭市監督はTwitterで、下記の通りファンの方とやりとりしています。

このように様々な関係者が抗議をするも、平峰選手の走りはペナルティになることはありませんでした。ジャッジとしてもグレーと判断したのかもしれません。

そして平峰選手の後ろで走っていた福住選手もレース終了後、下記のような投稿をし、TGR TEAM KeePer TOM’Sの平川選手と会話をしていました。

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この投稿を発端にTEAM IMPULのファンとARTAのファンによる論争が起こり、何故か福住選手が攻撃を受け、福住選手のもとに誹謗中傷のメッセージがたくさん届いてしまったようでした。

以前も

世の中的にもSNSによる誹謗中傷はずっと問題視されていますが、幸いモータースポーツ界隈は他の界隈と比べるとそういったことが少ない印象を受けていました。ですが、以前も気になることが。
レース好きなら誰もが知っている実況のピエール北川さん。ピエールさんは誰よりもレースを愛し、レースを盛り上げてくれる素晴らしい実況者で、レースに欠かすことのできない大切な存在です。そんなピエールさんも実は9/30にTwitterを辞めてしまいました。ピエールさんの最後の投稿を読むと、ピエールさんにも心無い言葉をかける方がいたことが垣間見えます。

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大切なコミュニケーションツールであるSNS

モータースポーツに限らず、趣味の世界におけるSNSの役割は共通の興味関心を持つ人同士の交流や情報交換の場として使われるのが、主な目的だと個人的には思います。
加えてその趣味の対象が人である場合、その対象自ら発信することもあります。今ではアイドルもアーティストもセルフブランディングの意味合いを兼ねてSNSをしていることがほとんどです。もちろんドライバーも同様に。自分自身の活動の宣伝や競技全体を盛り上げるため、個人として色んなチャンスを得るためなど、様々な目的でSNSをしています。
アイドルやアーティストであれば、SNS以外の露出の可能性もあります。ですが、モータースポーツはまだまだマイナースポーツ。主要なメディアで取り上げられることはほぼありません。サーキットを出てしまえば、ファンがドライバーと接触することは難しく、ドライバーの考えや想いを知る術がありません。ましてや今はこんなご時世、トークイベントもありません。そんな中でSNSがどれほど重要か。ドライバーとの大切なコミュニケーションの場であるSNSがこのような形で無くなってしまったことはすごく残念です。


私がモータースポーツにここまで興味を持ったのは牧野選手のレースに対する想いに触れたから。それまでは「ただ車が速く走っている」という認識しかなかったのに、この車を速く走らせるために、全力を注いで戦うドライバーとチームの姿がある。そのことに牧野選手の信念・想いをさらけ出す姿を見て、気付かされました。それ以来、レースの裏側、ピットの世界に魅力を感じて、モータースポーツを追いかけています。そんな私にとってTwitterをはじめとするSNSは選手の考えや感情、価値観に触れられる貴重なツールなのです。レースがうまくいった日には喜びの言葉で溢れているのはもちろん、うまくいかなかった日には落ち込む言葉があって当然。ファンも同じ気持ちで、ドライバーやチームと一喜一憂しながらシーズンを通して一緒に戦うのがこのモータースポーツの醍醐味だと、個人的には思っています。
どうしてもメーカー同士、チーム同士で納得のいかない、消化しきれないレースの場面はあります。でもそれはきっと一番その歯痒さを感じているドライバーやチームが解決に向けて動いているはず。今回の件は上手く対応してもらえなかったかもしれませんが、SUPER GTの統括団体であるGTAもいる。レースの運営に対して、ファンから意見を出すことは良いことだと思いますが、誹謗中傷や心無い言葉は無くなってほしいと願います。

山下健太選手のこのツイート、私の心にも響きました。

モータースポーツファンの皆さんにはスポーツマンシップを持って、ドライバーやチームを応援することはもちろん、競技の面白さを一人でも多くの人に伝える役割を果たしてもらえたらと思いますし、私自身もそうでありたいと思います。

これからもっともっとレースやレースの裏側にあるドラマをたくさん知りたい。そのためにはメーカー、チーム、ドライバー、そしてファンの協力が必要不可欠です。新型コロナウイルスがいつ収まるか分からないこの状況の中で、ドライバーとファンの交流できるツールを一つでも多く残したい、そう思うのでした。



おけい

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