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武装する時、わたしは(前編)

「4プラが建物老朽化を理由に来年1月末で閉店」のニュースが駆け巡った2021年春。

札幌まで新幹線沿線に伴う都心再開発など新たな動きがある一方で、衰退もあるものだなぁとぼんやり考えていた。

大通・スクランブル交差点に面したファッションビル「4丁目プラザ」。

1971年に開業し、2021年で満50歳になった「4プラ」には何度かお世話になっていて思い入れは多少なりとある。

デート前にファーが付いたツイードのバッグを、
元彼も出席するという友人の結婚式前に白い花の大ぶりピアスを掘り出したのは4プラだった。

ちょっとええカッコしたい、良く見られたい。
そんな武装していく必要があるシーン前に立ち寄ったファッションビル。

お姉さんギャルなブランド「EGOIST」や「OZOC」のショップがある一方で、地下にはごま蕎麦屋さんや喫茶店が入っていたり、なかなかにユニークな空間だ。

上階には「自由市場」と呼ばれ、外国の蚤の市のようにアクセサリーがジャラジャラと陳列されているお店や占い店が入ったりと、ジャンクな雰囲気が魅力的なフロアもあった。

4プラでの買い物はブランドにこだわらず、「良いものを手に入れるぞ」と強い思いを抱いてプライスタグに頭を抱え、自分のセンスを信じるひととき。

当初、イメージしていたものとはまた異なるけれど良いものに遭遇できるハプニング感もあったなぁ。

今となってはZOZO TOWNや楽天市場を知って、買い物は気軽に身近になった。

好きなブランドで、支払える価格帯でソートをかけて、スイスイと商品画像をスワイプしながら気に入ったらカートに入れて、いつの間にか玄関先までお届けしてもらえる。

数タップで欲しいものが手に入る天晴れさ。

しかし、4プラで楽しんだような気合を入れて武装具を探すような買い物ができなくなってしまったようで、ちょっと寂しい気もある。

そして悲しいかな、手軽に手に入ったものにはそれほどの思い入れは持てない。

思えば4プラでゲットしたファーのツイードバッグもお花の大ぶりピアスも長い時間、大切に使っていた。

閉店前、最後に訪れてみようかな。

思いも寄らない運命のピアスなんかに出会えたりして。

後編につづく)


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