福祉施設の夜勤 4

夕方に出勤する前日?朝方、眠剤をかなり飲んだというのに数時間目を瞑っても寝れず、暴食をした後僕の十八番である泣きながら笑うアレが出た。眠剤を足して何とか寝たが、薬は抜けてないし睡眠時間も短いしで起きた時には何回か叫びながら身体を起こした。

なんだか今日は施設長の気分があまり良さげでは無さそうだった。初めての2階での夜勤であり、相方も初めての人だったのでとにかく数時間経つまでぎこちなくて仕方なかった。
2階は1階ほど症状の重い人は少ない。数個年上の会話が普通にできる人もいるし、車椅子だけど僕に自分の衣類の選択の仕方を教えてくれる人も居た。

20時頃、暇になり座っていたら「静かでしょう」と相方のおばちゃんが言った。確かにそれなりに自由に外に出ているくらいの人が多めだし、こちらがやってあげることなど基本的には無い。下半身の感覚が完全に無い人の尿を溜めるパックの交換、透析をしている人の飲料管理と介助くらいか。オムツ交換も無い。

まあ楽と言えば楽なのだが、病状が軽いが故に外に出たりしている人が多く、帰宅時には熱を測り個人記録に逐一記さなければならないのが正直面倒だ。雑談もできるし気が狂う感覚は少ないけど、仕事した感というのも比例してほとんど無くなる。

僕は利用者の経歴を見るのが大好きだった。初めての2階勤務で1番期待していたのもそれである。「ああ、こんな過去が――」と思いながらそれらの情報をメモに取っていたら

「そういう趣味なの?」

と笑いながらおばちゃんに言われた。咄嗟に言われたものだから「ああ、えっと…はは」と後ろめたいような反応をしてしまった。「理解が深まれば接し方とかも分かってくるかなって」と言えたら良かった。誰と勤務する時もやっていたので、多分変人だと思われている。

些か悪趣味であることは分かっている。けれどもこの仕事の楽しみなど僕からしたらそこ一点であり、なんなら働く人はみんなやっているものだと思っていた。


今日が五連勤の一回目で、しんどいことを相談した所「慣れたら大丈夫だよ。10連勤で明けの日は遊んで、元気に働いてる70代の人とか居たから」と言われた。ソイツが群を抜いてイカれてるだけだろ。

今日はおばちゃんの方が22時から休憩に入りたいと言うので譲った。「タバコは吸わなくて平気?」と聞かれて「ああ、全然大丈夫ですよ」と強がったことを0時前の今後悔している。食事も持ってきてないから尚更辛い。

彼女は社員ではなく僕と同じパート扱いなので、距離感が他の社員より近く感じた。世間話もそれなりした。相変わらず皆新人の僕にとても優しいのだが、これが最初だけの甘さなのかどうか。

こんな生活が軸になると思うと嫌になる。どれだけ我慢できても1年で辞めたい。けれどもこの仕事は作業自体はとても楽で、勤務時間の半分くらいが実質暇だ。それに辞めるなら宛を探さなくてはならない。利用者よりも服薬をして監視に生活補助をしてるなんてつくづく馬鹿な話だ。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?