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【OPV Members#5】 変幻自在の仕事人 渡部尚紘さん

「地域の100の課題から100のビジネスを創出する。」
原発の避難指示解除準備区域だった小高の再生を見据え、
2014年に株式会社小高ワーカーズベースが創業されました。
「地域の課題は起業のチャンス」という考え方のもと、食堂、仮設商店運営、ガラスアクセサリー工房をはじめ、多角的な事業展開がなされてきました。
さらに「再生」に止まらずに自由な発想で新しく街を創造すべく、コワーキングスペース「小高パイオニアヴィレッジ」は2019年にオープンされました。
そこでは起業型地域おこし協力隊員"NextComonsLab南相馬"の展開など、多くのエネルギーに溢れる人々が活動し、コミュニティが育っています。
現代日本のフロンティアを駆ける人々がどんなビジョンを持って活動しているのでしょうか?
一人一人にインタビューしてみました。

Pioneer's Profile

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渡部尚紘(わたなべなおひろ)
1991年生まれ 南相馬市出身。

地元の高校を卒業後、神奈川県の大学に進学。
卒業後は農協で2年働き、2015年に、食堂「小高のひるごはん」開始後まもなく小高ワーカーズベースにジョイン。
以来OWBが立ち上げた事業に全体的に携わる。
本業以外にも南相馬市で毎月開催のマーケットのHomies_Market主催。

好きなもの:
バス釣り/走ること/欧州サッカー観戦/俳優/テラスハウス

他の人の人生のストーリーに触れつつ、自分の人生には起き得ないことがおきていているところがテラハの魅力だと語り、夜な夜な鑑賞会を開催しているそうです。

座右の銘:
「未来を恐れず、過去に執着せず、今を生きろ」

実業家堀江貴文氏の言葉。
あれこれ考えるより目の前に関心のあることに注力していたほうが人生は充実するだろうな、という感覚を言語化してくれたそうです。
例えば年末年始に抱負を立てても、時が経つにつれてやりたいことがコロコロ変わるので、自分にはあまり合わないと思っていた時に出会ったこの言葉に納得したそうです。

Q:南相馬で渡部さんは、何をされていますか?

小高ワーカーズベースで、広く事業に携わっています。
今は主に小高パイオニアヴィレッジとNARU、2つのコワーキングスペースを中心に携わっています。

今まで別々にやってきた事業が「点」だとすれば、これからは点どうしが繋がって「線」となり、お互いに良い影響力を生むフェーズです。
僕は線で結ぶというよりは、一つ一つの点を大きくしていく役割だと思っています。

本業以外でも、昨年は月1回のハンドメイドマーケット"Homies_Market"を仲間内で立ち上げていました。
(2020年5月現在はウイルスの影響で休止中)

Q:きっかけは何ですか?

地元の南相馬に可能性を見出していた和田さんとの出会いがきっかけです。

子供の頃からもそうでしたが、特に震災以降、地元にはなかなか前を向いの行く気運をを感じられませんでした。
同じ世代でも、自分で新しく何かを作り出してやる、という心意気を持った人に出会えない。

転機が訪れたのはNPO法人ETIC.の「右腕プログラム」の説明会で、小高ワーカーズベースの創業者和田さんの話を聞いた時です。

「自分たちの欲しい未来は自分たちで作り上げる」
「地域に100の課題があれば100の事業作りで解決する」
この話を聞いた時に、プロジェクトや事業のインパクト以前に「こんな人が地元にいるのか!」と驚きました。

地元に関わりつつ、どう働けば楽しく生きていけるのか。その問いに対する答えが見つかりそうな予感がし、そのまま右腕プログラムに応募して2015年にジョインしました。

Q:背景にある思いを教えて下さい。

今まででの南相馬では思い描けもしなかったような未来が作れるかもしれないからです。

東京のような大都市圏ではないのにこれだけ人が集まり、かつ応援していただける事はありがたいことです。

今、小高ワーカーズベースの周りには「変わり者」たちが集まってきています。
具体的に言えば、「やりたい」を動力源に活動する、エネルギーある若者世代がいることです。

新しいことにチャレンジするマインドのある人々が集って一緒に前進し、その人たちが環境を変えることで、さらに将来像もどんどん変わっていく。

小高という街の、ここにしかない魅力がさらに磨かれていく事にとてもワクワクしています。

Q:未来のビジョンを教えて下さい。

僕個人としては、それぞれのプロジェクトが推進し、更にチャレンジしやすいような場を整える事です。
それだけでなく、自分自身もプレイヤーとして活動したい性格なので、自分の腕でもインパクトを生みたいと思いっています。

地域に関しては、例えるなら「熊狩り」のをやれたらいいなと思っています。
ここでいう「熊」は大きな課題、大きなプロジェクトの比喩です。
今はそれぞれがスキルを持って自分の狩りをしているけど、「熊」は大きくて強くて一人ではとても敵わない。
そんな強大な物に対しても武器を作る人、罠を作る人、追い込む人、仕留める人...それぞれのスキルに合った役割をもって、みんなで立ち向かう。

そのためにまず「狩場」となる環境をワーカーズベースの立場から整備しつつ、自分自身も血湧き肉躍るような「熊狩り」に参加できるよう、日々自分の武器を鍛えていきます!

私はスナフキンのような「自由人」です!

常に自分自身を新しい物に触れさせ、変化し続けられるよう意識しています。「自分自身」のパイオニアであろう、ということです。

僕は周りからすればコツコツとやるタイプに見えるそうですが、スナフキンのように、常に自由に冒険しながら、その中で変化していこうと思います。

Q:最後に一言!

アイディアに価値はなし。やったもん勝ち。

編集後記

いつも飄々とした雰囲気を漂わせる、渡部さんにクローズアップしました。僕ともよく話したりする中で、なんとなく同じ”ニオイ”を感じるなんてことを考えつつ、そこに踏み込んでみました。

特に印象的だったのは”最後の一言”コーナー。
あえて詳しく説明もしませんでしたが、強く響く物がありました。
南相馬の未来自体はどんどん自由に思い描けるものの、結局は手を動かし、形にして初めて価値が生まれる事を端的にまとめていただき、なんだか気が引き締まりました。

個々のプロジェクトの渦が大きくなった時、南相馬にはどんな”熊狩り”が始まるのでしょうか...渡部さんと違い、夢想家気質の僕は、心躍らずにはいられないのでした。


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