良いものは愛でできてると知る旅(中編 山梨)
今回も「良いものは愛でできてる」と知っていきます。
東京を訪れた前編はこちら↓
赤坂 ついにキャラをつかめなかった
赤坂の町は不思議だ。酸っぱい匂いのする繁華街だけど、あんまりゴミゴミしてない。朝の姿も夜の姿もみたけれど、下品なのか上品なのか、最後までキャラを掴みかねた。
朝はエクセルシオールカフェでツナタプナード&スクランブルエッグを食べました。刻んだオリーブが入っていて、革命的においしかった。大阪でも食べたい。
赤坂見附駅から新宿へ。赤坂見附って名前かわいいです。秋みつけ、みたいな。メトロ丸ノ内線に乗車。マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ。
バスタ新宿から無事に搭乗。昨夜は日中の熱が体にこもったのか全然寝れなくて、涼しい車内でうとうとしていたのですが、ぜーんぜん進まない。お盆と富士急ハイランドの動員をナメてた。渋滞だ。
でも、そのおかげで予定になかったSAで休憩することができた。土地勘がなくて、名前も忘れてしまったのですが。それにしても、SAのバカ広いお手洗いって、テンション上がりますね。巨峰ソフトクリームを屋台で買って、ほおばって幸せになった。
富士吉田 日本一堅いうどんから「東」を感じる
結局1時間半くらい押しで下吉田に到着。一人だったらブチ切れてただろうけど、恋人と一緒だったので「涼しいとこで長く喋れたし、ソフトクリームもおいしかったなあ」くらいの感想におさめることができた。恋は恐ろしい。なんらかのロボトミー手術に該当しそう。
着いた瞬間、その風の涼しさに、山梨を感じた。湿度が低い、気温も低い。日陰を歩く限りは、本当に快適。水路が流れ、空気が清く、田畑があり、地元のような安心感。この町好きだなと思った。
とにかくお腹が空いたので、「吉田のうどん」を食べた。日本一堅いうどんらしい。
たしかに、茹で不足とは明らかに異なる噛み応えがあって、とっても美味しかった。「冷やしたぬきうどん」は500円以下だったと思う。安い。ここはうどん県なの?
まず、関西で思う「たぬきうどん」と違って天かすがかかったうどんが出てきた時点で、最高に「東」を感じた。キャベツのトッピングも、吉田のうどんの特徴みたい。ごわごわした麺が出汁とマッチしてとても美味しかった。恋人の頼んだ、あったかい肉うどんも一口もらった。出汁は醤油と鰹節を強く感じる味で、これも最高に「東」を感じた。旅行の醍醐味は、味から土地を感じること。土地の歴史や文化を味わうこと。良いものは愛でできてる。そういう意味で、本当に大満足のお食事だった。
下吉田駅 フジファブリックに想いを馳せて
本当はレトロ商店街から富士山を拝む予定だったが、時間がないので、本命である「下吉田」駅を味わうことに。
なぜ富士山駅でも、河口湖駅でもなく、下吉田駅に来たかったかと言うと。
フジファブリックの故・志村さんのゆかりの駅だからです。
私はフジファブリックというバンドが本当に大好きで。大学で軽音をやっていた頃も何度もカバーさせていただくほどで。でも、フジファブリック自体の良さは、紙幅の関係で涙をのんで割愛します。
富士吉田は故・志村さんの故郷。富士急行線にお勤めの、志村さんの同級生の方が、志村さんを追悼するために様々な仕掛けを施しているのが、この下吉田駅です。駅舎はとてもレトロだけど、きれいに整備されていて、昔の洋館のよう。単線でローカル感満載。小さな島式ホームに、上りと下りの電車がやってきます。
その発着音が、フジファブリックの楽曲。オルゴールアレンジとかじゃなくて、本当にバンドの音源そのもの。みんなの楽器の音も、もちろん志村さんの歌声も。その土地ゆかりのアーティストの楽曲を使用することは多々あれど、そんな粋なことをしてくれるのは稀有じゃないでしょうか。富士山を観光するインバウンドの方がたくさんいらっしゃって、世界中の人はフジファブリックの音楽を聴いているのだと思うと、なんだか大きな話すぎて、訳が分からなくなりますね。
細かい経緯は、公式サイトに綴られており、各自で絶対にお読みいただきたいです。
ちょうど活動休止を発表されたタイミングで、余計に胸に沁みる部分がありました。いちファンとして出来ることは、彼らのこれまでを丁寧に抱きしめさせていただいて、宝物として心の中でずっと共にいること。その一環として、下吉田駅を訪れることができて、とっても幸せです。彼らの行く先には、絶対に絶対に幸運が待っていてほしい。そのためにできることがあれば、是非何でもやらせていただきたいです。下吉田駅のパネルの前で、不覚にも少し泣いてしまいました。誰にも見せませんが。
富士急行線 憧れのローカル列車
電車は富士山駅へ。富士山駅は木造の素敵なホームで、レトロかわいい電車が待っていた。そして富士急ハイランド駅、河口湖駅へ。憧れの富士急行線に乗ることができてとっても嬉しかった。
実は、乗るはずだった電車の一つ前の特急で、急病人が出てしまったようで、下吉田駅からはストレッチャーで運ばれていく人がいた。この暑さだもの。無理もない。
しかし、それで電車に遅れが起きて、バスとの接続時間を全部食べられてしまった。河口湖から乗りたかったバスに乗れないのでは…?とソワソワしていた(ソワソワしながら楽しませていただきましたが)。
でも…!
バス、待ってくれていました!
乗れました!!
山麓バス
石和温泉駅へGO。
途中の車窓からは大きな河口湖が見れたり、山のふもとの宿場町の風景を眺めたり、登山帰りの溌剌とした人々を見たり。どれも旅情を掻き立てる最高の瞬間だった。そういう意味で、私は移動が好きです。
少しうとうとして体力を回復したのちに、起きるとだいぶ町まで下りてきていた。山セクションを抜けて、石和温泉に向けてどんどん町へ入っていく。道路の両側に「ぶどう狩り」「もも狩り」が立ち並び、フルーツ大国を否が応でも感じる。看板の大きさとか順番的に、若干桃がブドウより優遇されている感じがした(気のせいかも)。
石和温泉 イオンを見ながら足湯を
石和温泉駅に到着。
駅の真ん前に足湯が。バツグンのAEONビュー。あまりに生活。小学生くらいの子らが、わらわらと入って、わらわらと去って行った。こういうの大好き。
駅舎は近代的できれいでした。観光案内所には、ワインのスープバー(もちろん有料)みたいなコーナーがあって、みなさん飲み比べされていた。私はアルコールが1滴も飲めなくて、恋人もワインはあんまりということで、見る専になった。貴腐ワインというのは、私でも聴いたことがある。壁には、富士山の見えるウッドデッキの様子が中継されていて(定点カメラのライブ配信的なやつ)、向こうでは雨が降っているようだった。見れば、東の方角にどす黒い雨が。天気、もってくれるといいけど…。
↑ 帰宅後、早速食べました。醤油味のラーメンスープは少し甘くて、コクがあってとても美味しかった。ほうとうも、太くてもっちりして、スープによく絡んで、めっちゃめちゃ美味しかった。たしかに、味噌煮込みのほうとうよりライトに食べれて良いかも。あれもあれでとても絶品だけど!
中央線 ローカル各停の魅力
甲府で一泊するのも手だったが、個人的にはあまり見どころを感じず、はじめましての県庁所在地なのに、華麗にスルー。待ち合わせ時間が結構長かったので、車窓から見える甲府城跡とNHK甲府放送局を眺めた。
小淵沢駅で乗り換え。もうすぐ長野。
車窓から眺める山々。これこそ地方の電車に乗る魅力。胸いっぱい。最高。
上諏訪 「地方」にうっとり
今日のお宿は上諏訪。北側の霧ヶ峰口(エアコンの元ネタ!?)から、どんどん高台に向かって、急な坂の上にある民宿へ。諏訪湖をきれいに見下ろすことができて、爽快だった。美しい景色だった。
オーナーのおっちゃんがとても親切・気さくで、おすすめの蕎麦屋や銭湯を教えてくれた。地元の情報ほど、旅でありがたいものはない。
部屋はトリプルルームで、ロフトや押し入れで寝れるみたいな作りになっており、秘密基地みたいでワクワクした。荷物を置いて、街へ繰り出す。
秋月というお店で蕎麦を食す。山菜冷やし蕎麦、もり蕎麦、かつ丼、野沢菜をオーダー。麺の香りと触感が絶品で、スルスルスルスルと食べれた。やっぱり出汁は、醤油と鰹節の味が濃いくて、西とは違う感じ。かつ丼もそう。なぜかご飯部分にウスターソースみを感じた。全体的に甘いんだよね。野沢菜は、しょっぱすぎず、瑞々しくて、漬物というよりかはサラダピクルスとしてシャクシャクシャクと食べてしまった。マジで美味しかった。
諏訪湖花火 最後の花火に今年もなったな
花火大会があるとのことで、夜の諏訪湖へ。湖畔の草原に腰を下ろす。周囲の旅館や船の明かりが、湖面の輪郭をあらわにする。夜風は涼しい。ちょうどいい人口密度で、観光客だけじゃなくて、地元の子連れファミリーとかもたくさん来ていた。
花火は8時半から10分間。BGMがYouTubeでよく聞くフリー音源で、ちょっと笑ってしまったけど。空気が澄んでてとてもきれいに見えたし、ドンドンと爆発音が山びこする雄大さとか、真上で花開くダイナミックさとか、すごく楽しめた。
上諏訪 市街地を味わい尽くす
ここから、気を悪くされたら申し訳ないのですが、「地方」を感じて最高になった!という話をします。
普段住んでいる大阪と、そして昨日泊まった東京と、ここ上諏訪で「夜」の定義が全然違うなと実感した。
よく考えたらこっちの方が当たり前なんだけど「ああそうか」と思ったのが、①蕎麦屋さんのラストオーダーが8時半、②銭湯の最終受付が9時、③該当が少ない道がある、④スーパーが8時で閉まる。とにかく早い。夜は寝るしかなくなる。いや、働いている人から思えば当たり前に然るべき帰宅時間なんだけど。
ここでは21時に退勤して、駅でラーメン食べて、24時間営業の銭湯にいって、終電で帰る……ということはできなさそうだ。生活様式レベルで差異があるのかもしれない、と思った。
あと、すごく静か。自分は、周りに音があまりなくて、肌がヒヤッとする場所が怖くて苦手なので、夜のお散歩をしてるときは、どっかの街区ですごく怖くなってしまった。
でも、そんな違いを感じられるのも、旅に出たからこそ。本当に良かった。
民宿に戻って、シャワーを浴びて、体を冷やして、荷物を整理したら明日に備えて寝ます。
(続く)
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