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良いものは愛でできてると知る旅行(前編 東京)
「良いものを良いものにしてるのは愛だな」と感じいる旅ができました、忘れたくないので書き散らします。
新幹線 日本を見通す
まずは、新大阪駅から東京へ。ICOCAでの入札が無事に成功。スマートexを疑ってるわけじゃないけど、どうしても、切符をガチャンと入れるイメージが新幹線にはあるので、ピ!で入れるのが未だ信じられない。
構内のキオスクで、志津屋のパンを購入。塩メロンパンとかそんなやつ。関西を発つ前に関西を目一杯味わう。めちゃめちゃ美味しかった。
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7:57発のぞみに乗車。新幹線っていいですね。乗っているだけで日本のダイジェストが見れるから。大都市もクソ田舎も工業地帯もオモシロ看板も、日本らしさ。同じ地面の上でつながっている名所。どれもこれも誰かにとってかけがえのない生活の結晶。特に、地元の名士的な会社の工場とか見ると、そこにある人や金の流れを想像すると、市井の人々の息遣いを感じる。私もその一人。今日も生きていかなくてはな。
あっという間に東京駅に到着。すんごい人とキャリーバッグをかき分けて、駅の地下で「まい泉のカツサンド」をゲット。これを今日の昼飯とします。
次の目的地を目指して、メトロ丸の内線→銀座線で青山一丁目駅へ。あたしをグレッチで殴って。
青山一丁目駅のあんま邪魔にならないとこでサンドをかじる。ヘレカツもメンチカツも美味。猛暑では意外と、メンチカツよりヘレカツのほうがさっぱりしてて、有難かった。
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四ツ谷エリア 文化を感じる
聖徳記念絵画館につながる杉並木を歩く。均整の取れた美しさに、最高にアベニューを感じる。一瞬だけ涼しい風が吹いた。気持ちいい。樹液か何かが垂れ下がって、セルフ鍾乳洞みたいになった木も愛おしい。
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そして「民音音楽博物館」へ到着。ここがとっても楽しくて、めちゃめちゃ時間を溶かしてしまった。
特に興奮したのは、古典ピアノをたくさん見れる展示。スタッフの方が、そのピアノが活躍した時代の曲をチョイスして、一台ずつ弾いてくれて、私たちは音色を聞き比べることが出来る。なんて贅沢なんだ。
チェンバロの、ちょっと金属的で抑揚の少ない音色も素敵だけど、個人的にはショパンが大好きなので、ショパンが愛したものと同じ型番のピアノで奏でられるノクターンを聴いて、脳みそが溶けるくらい甘い音が沁みました。時代によって鍵盤の色が反転してたり、四角かったり、装飾がゴテゴテだったりと、案外さまざまな姿を持っていることがよく分かった。「ピアノ」と聞いて想像する、あの黒鍵白鍵、あの黒いボディ、あの形にならなかった可能性も十分あるのでは…?ifのピアノを想像するのも楽しい。
他にも、自動演奏機(オルゴールとか自動ピアノとか)の体験展示も大変よかった。山極先生曰く、言語による認知革命の前に、踊る体による共感革命があったのではないか、それが人類の繁栄につながったのではないか、という説を唱えていらっしゃった。それに頷けるくらい、叩いたり鳴らしたりする楽器が楽しすぎて、しばらく我を忘れて遊んでいた。民族楽器展示コーナーには、真空ジェシカ・川北でおなじみ(?)のディジュリドゥもあった。
荷物ロッカーがあり、水も飲めて、冷房も効いていて、なんと無料。真夏の観光のオアシスとして良すぎる。本当にいいんでしょうか。神戸に西日本分館もあるようなので、また観に行きたいと思います。
赤坂エリア 権威を感じる
創価学会の建物群を見ながら、赤坂離宮方面へ。たっくさんの警察がおり、日本の中枢に近づいているのを肌で感じた。テロ防止かゴミ箱も全然なくて、首都って大変だなと思うなど。
手荷物検査と金属探知を受けて、なんだか空港みたいだなと思いながら、赤坂離宮に到着。時間がなかったのでお庭だけ見ました。
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※このあたりで、相棒のミラーレスカメラが壊れました。異常に熱くなり、内部の何かが焼き切れてしまったのかもしれない。つらい。
カメラも焼き切れるくらいの酷暑で、人間の方もだいぶくたばっていたので、併設のカフェで休憩。アイスのカフェモカが沁みる。
本当に暑くて無理で、タクシーを使わせていただく。GOアプリを初めて入れたんですが、最近ってマジ文明ですね。PayPay連携すればお金のやりとり無しだし、行先地もピックアップも楽々意思疎通。
変なホテル アンドロイドと人間のスタッフ
変なホテル赤坂に宿泊。チェックインもチェックアウトも自動券売機みたいなマシン。受付には美男美女のアンドロイドがいてくれている。しかし、Agodaで予約したからか、うまくいかなくて、がっつり人間のスタッフのお世話になってしまった。わざわざ「人間の」と呼称しなくちゃいけなくなる日がすぐそばに来ているのかもしれない。なんて近未来のレトロニムなんだ。M-1グランプリ2023決勝のダイヤモンドのネタみたいな。
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またもやタクシーを使い、東京都庭園美術館へ。駅から結構歩くところをショートカットできたのは、この酷暑では大変ありがたかった。金の使いどころ、ここです。
東京都庭園美術館 うっとりする空間
東京都庭園美術館は、もともと朝香宮さまの邸宅らしく、建物もお庭も、本当に美しくて、うっとりしてしまった。なんというか、装飾をつければいいってもんじゃなくて。抑制を効かせたデザインだからこそ、直線や曲線そのものの美しさが活かされたているというか。たしかな「近代」を感じながらも、神が細部に宿っており、レリーフや窓枠を見てはほうとため息をつきました。
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竹久夢二展。残念ながら時間が本当になくて、マッハでの鑑賞になりました。
夢二といえば「大正ロマン」で、挿絵とか紙モノのデザインに強いイメージがあった。もちろんそのような作品もたくさん見れた。
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しかし、それだけじゃない。
人物画、風景画、どれか一つとっても、絵柄のバリエーションに驚かされた。西洋の絵画と聞いて思い浮かべる油絵もあれば、ヘタウマ的雰囲気が出た平面的なイラストもあれば、伝統とハイカラが両立した浮世絵風な絵もあれば。同じ作家の作品とは思えないくらい。きっと、それぞれの良さが各作品に活かされていているから、どの絵もこんなに魅力的なんだろうな。
何より大きな声で言いたいのは、「目」の何と魅力的なこと。まつ毛の表情、瞳のうるみ、本当にうっとりした。あまりに魅了されて、文字通り目が離せなくなってしまった。そんなの、知らなかったよ。ずるいよ。
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MOTHER2のひみつ 愛かもしれん
バタバタと美術館を後にして、JR山手線で渋谷へ。
今回の旅行のきっかけであり、メインビジュアルである「MOTHER2のひみつ」展へ。
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恋人がMOTHERシリーズがめちゃめちゃ好きみたいで、彼の一緒に旅行をしてるのですが、誘ってみてよかったです。奇しくも今年がMOTHER2の30周年で、いろいろイベントとかグッズとか出て楽しい一年になってます。
さすがMOTHERシリーズというか、もともとMOTHER好きな友達は周りに多くて。お噂はかねがねでした。実況をひととおり見てたので「一応知ってる」状態だったし、switchの移植でちょっとプレイしてから来たので、すごく楽しめました(まだゲップー様倒せてない)。
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なんか、いいですね。MOTHER2。キャラクターのちょっとした会話とか。ウィットに富んでて。どせいさんは、その愛くるしい見た目や専用フォント、どせいさん語・・・と好かれる要素は満載なのだけれど、ゲームをやると、どせいさんを好きになる理由が増えますね。どせいさんの住むサターンバレーは、病院もホテルも無料なのです。こんなありがたいことがあるかよ。ゲームをしてから、どせいさんのことは大好きになってしまいましたね。
グッズで言うと、「にぎにぎどせいさん」というグッズが欲しかったのですが、早々に売り切れで大阪でも東京でも買えなかったので、再入荷したら飛んでいかねばならない。大阪のサテライトで買った、タッシー観測隊のTシャツを着てたら、スタッフのお姉さんに気付いてもらえました。すきなんだよな、あの冬の町。
開発資料がたんまり展示されてて、「もともとこの設定ってなかったんだ」「あれが加わったのって発売直前だったんだ」とかを知るのが純粋に楽しかった。ギーグのつづりを考える会議のメモとかも愛おしかったし。
でも、特に心に残った資料が二つあって。
一つは、糸井さんが制作チームに向けて書いたトンマナの資料。MOTHER2を作る上で必ず念頭におく考えが並べてあって、それが真剣で真摯なんだけど遊び心や野心もあって(おもしろい部分としては「天才じゃないけど天才的なゲームはつくることができる」とか「ゲームをつくってもてちゃおう」とかだった気がする)。一応高校制作業界の端くれとして、日々おもしろいことを企んでいるので、しびれましたね。そのA4×2枚の資料をプリントアウトして売ってほしいくらい。机の前に貼って、自分を奮い立たせたい。
もう一つが、発売3か月前の「通しチェック」のあとの、怒涛のチェックバック。A4×30枚くらい。発売3か月前だよ。私が制作担当だったら泣いちゃう。
でも、その内容を見ると、あの素敵な世界をつくるための重要な仕掛けがたくさん書かれてた。「このセリフを入れておきたい」「トンズラをもっと魅力的に」とか(指示書の見出しが、もはや素敵なキャッチコピーだった。さすが糸井さんだ、とも思いました)。あれが実装されてなかったら、MOTHER2はあれほど心に響くゲームになっていただろうか・・・。
愛なんですね。愛かもしれんな。良いものを良いものにするのは。そして、その形は、手書きメモやテキストベタ打ちとかでもいい。愛と意思疎通できるチームとがあれば、きれいな企画書って要らないんだなと思いました。その生きざまがかっこよすぎる。やっぱ新しい世界をつくれるクリエイターってすごい。
展示の最後に発売時の販促グッズが飾ってあったのだけれど、実況者・コアラさん(「大人も子どももおねーさんも、ごきげんよう。コアラだ!」のゲーム実況者さん)の私物って書いてあって笑っちゃった。MOTHER好きな実況者さんめっちゃ多いよね。さすがだ!
「ほぼ日曜日」を後にして、下の階へ。会場のある渋谷パルコには、ポケセンやカプコンストアが集積したエリアもあり、夢中になって見た。ポケカ1パックと、ちからつきたガブリアスのお人形を買って帰りました。
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夜の散歩 首都が首都であるために
夜は、コンビニでアイスを買って、それを食べながら散歩。とりとめもない話をしながら。こういうのが結局一番好き。
国会議事堂のあたりを歩いたのだけれど、ここにもたっくさんの警察の皆さんがいて。さもありなん、参議院や内閣府、たくさんの省庁が集まっているエリアだった。夜であっても、警戒の目はゆるめられない。この景色を見ると、国というものの大きさや、それを守る気持ちとか、そういったものへの認識をあらためざるを得ない。うちらがのんびり散歩できてるのも、この人たちのおかげなんだなあ。
世界はネットでフラット化したとか、もうどこにでも行けるとか、そういう言説はあるけど。やっぱり、東京は東京だ。一味違う。大阪を引き延ばしただけではこうはならない。
司法・行政・立法のための施設、他国の要人を招く施設(それこそ迎賓館とか)、国のシンボルとして必要な施設(恩寵公園の類とか)。そのための広い土地。しかも一等地。急に電線がなくなって人が住んでないことがわかる。でも必要な土地。
そういう空間は、やっぱり首都たる東京にしかない。周りは経済と金融の支配する高度にビジネスな街だから、そのギャップが余計に分かる。
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ホテルに着くや否や、頭からシャワーを浴びました。暑さから解き放たれる。グリーンダカラをがぶ飲みして、冷房下げて。明日に備えて寝ます。
(続く)