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身も心もよろこぶ小さな旅

ずっと行ってみたかったご飯屋さんに訪れた。
野菜もりもりの栄養たっぷりランチ。
色合い、歯ごたえ、酸味、甘み、塩味や匂いなど、五感で楽しめるのも良い。

たまたま空いていた壁際のすみっこ席へ座り、その美味しさとボリュームに感動して、ひとりにやにやしながら黙々と食べていた。壁際なので誰にも気づかれていないはずだった。

「おいしいですか?」
わたしの少し後に入店して、2つ隣の席に座っていた外国人の方がふと話しかけてくれた。同じランチを頼んで食べ始めているところだ。

「めちゃくちゃおいしいです…!」
話しかけられる想定をしていなかったので少し驚きながらも、心の中にめいいっぱい響いていた言葉をそのまま声に出した。

もしかして、にやにやしていたのがバレたのだろうか。いやそんなはずはない(と思いたい)。
そんなわたしの心配をよそに、会話が始まった。

彼はポーランド出身で、日本で働きながら短編作品をつくる映画監督もしているとのことだった。朝はいつもジムへ行くか瞑想をして、身心を整えるのが日課になっているそうだ。すごい。

「瞑想は、慌ただしく過ぎてしまう日々の中で、自分にとって大切なことを自然と浮かび上がらせてくれるから好きなんだよね。」

インド式や日本の禅など、各地の瞑想を取り入れながら、日によってそれを変えてみたりもするようで、お抹茶をたててから瞑想に入ることもあると聞いた。ますますすごい。

思わぬ共通点で盛り上がったのが、8月に富士山へ登っていたことだった。

「人生山あり谷あり、色々ありますよね〜。」

「人生は波があった方が生きてる心地がして良いよね。心臓の動きだって、波打ってるわけだし。」

そんな感じの話もしていると、気づけば1時間ほど談笑していた。ちょうどご飯も食べ終わっていた。

たまたま居合わせた初めましての人と、こんなに会話が盛り上がることもそうそうない。

好きなことや興味のあることについて話す姿がとても印象的だったし、なんだかわたしも瞑想したくなった。とても豊かな会話ができたような気がする。

いつもの場所でいつもの人たちとかかわるだけでは満たせない感覚。これを味わいたいから、わたしは時折、ふと旅に出たいと思うのかもしれない。

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