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『社内の「知的確信犯」を探し出せ』⑤凶悪な非暴力的社員
良心を持たず、どんな悪事を働いても良心の呵責を感じないサイコパス。
そのイメージからサイコパスは暴力的と思ってしまうことがあるが、実は、非暴力的サイコパスがいる。
非暴力的サイコパスは、会社にうまく潜り込み、有能な社員を装い、出世していくことがある。周囲を騙し貶め、追い落としながら。
サイコパス社員の特徴
サイコパス社員(非暴力的サイコパス)の特徴の一つは、ある人には、誠実で有能な社員とみなされ、一方では、悪質で無感情で嘘つきと見られる点だ。
『社内の「知的確信犯」を探し出せ』(ロバート・D・ヘア/ポール・バビアク著)著者が、開発したサイコパス・チェック・リストで、こうした人物の行動に点数をつけたところ、以下のようになったという。
彼の点数は、サイコパスと診断される点数にきわめて近く、相当な凶悪犯罪者でなければ取らないと思われる点数をはるかに上回っていたのだ。
彼の人物像は、誇大性があり、人の心を操り、人をだまし、他人への共感や関心に欠ける一方で、一般のサイコパスに比べると、衝動性は低く、さほど反社会性がみられるわけではないことがわかった。
つまり、サイコパスの中でも衝動性や反社会的行動を抑えることができるタイプは非暴力的なサイコパスになるといえる。
凶悪な非暴力的サイコパス
ただ、気をつけなければならないのは、非暴力的とはいえ、周囲に被害をもたらす悪質さは、暴力的サイコパスと同じ、あるいはそれを上回る凶悪性を持っているということだ。
暴力的サイコパスが法を犯し、逮捕されたり、法で処罰されたりするのに対して、非暴力的サイコパスは法で処罰されことがない。より見えないところで、気づかれることなく悪事を行うのである。
これまでの調査記録から、一部の企業に、ごく少数ではあるが、サイコパシーの特徴を持つ人がいることが明らかになった。…かなり下心を持って企業に入り込み、業務プロセス、コミュニケーション、ネットワーク、経営方針などの長所と短所を評価し、同僚を利用し、欺き、反対勢力をうまくやり過ごし、出世の階段を上り詰めている。
非暴力的サイコパスの危険性
非暴力的サイコパスによる被害者は、取り返しのつかない深い心の傷を負うことがよくある。そして、その被害が理解されにくく、継続した苦しみも負うことにもなる。
こうした悪質さを私は実際に体験しているし、他にも似た例を聞いたことがある。
理解できない降格や組織的混乱が起きていたら、もしかすると、その背後にサイコパスがいるかもしれない。
非暴力的サイコパスによる被害を防ぐにはサイコパスに関する正しい知識の普及が必要だ。
ただ、日本においてはサイコパスの研究は進んでいないし、その防衛策もほぼ皆無のようだ。
今後、サイコパス研究と防衛策が進むことを期待したい。
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