見出し画像

理不尽に苦しめられている人、サイコパスを知りたい人にお薦めの本は…

私がサイコパスに関心を持つようになったのは、部下(A氏)の嘘によって貶められ、苦しむ中で、マーサ・スタウト氏(心理セラピスト)著の書籍『良心をもたない人たち』を読んだのがきっかけだった。

サイコパスとは、生まれつき良心をもたない人

この本を読んで初めて「サイコパスとはどういう人なのか」を知った。そして私とAの間に起こったことが、この本で紹介されている実例とあまりにも酷似していたので、自分に降りかかった不幸の理由を知ることができた。

読んで衝撃だったのは、生まれつき「良心をもたない人」がいるという事だ。さらに、その「良心をもたないことを隠すことができる」人、これが、この本で用いられている「サイコパス」の定義だ。

それまでは何となく、良心がないように見える人は、人を騙したり傷つけたりする事を繰り返す中で、はじめのうちは感じていた良心の呵責が無くなっていったのだろうと思っていた。

あるいは、愛情を欠いた冷たい環境で育ったがゆえに、愛が育たず、良心が麻痺して、冷酷な良心を欠いた人になってしまったのだろうと。

ところが、生まれつき「良心をもたない人」がいる事実。それまで考えたことのなかった新しい視点だった。

Aのいろんな行動を思い返してみると、良心がそもそもなかったという事が、なんとなく分かってきた。

「訳者あとがき」で、訳者は次のように、この本を評価している。

本書は、良心の欠如した人びとに傷つけられ、トラウマに悩む患者を二五年にわたって治療してきた著者が、実体験をもとに、そのようなごく身近でめだたないサイコパスについて、良心ある人びとに警告を発するために書いたものである。

なぜ身近にいる危険な人びと(良心をもたない人たち)に気づかないのか、実際にそのような人びとに遭遇したら、どのように対処すべきなのか。 これらの点がわかりやすく、実際に即して書かれているのがこの本である。

書籍『良心をもたない人たち』は、何か理不尽な苦しみを特定の人から受けて悩んでいるにお薦めしたい本である。この本を読むことで、今の苦しみにどう対処していいかを見つけられるかもしれない。

その後、私は、サイコパスに関する書籍は、原田隆之著の『サイコパスの真実』 (ちくま新書) 、名越康文著の『まんがでわかる 隣のサイコパス』(カンゼン)、中野信子著の『サイコパス』 (文春新書)、と3冊読んだ。

その中で、原田隆之著の『サイコパスの真実』(ちくま新書)は、それなりに良かった。

良心があるかないか

この本でも「サイコパスとは、良心を欠いて生まれた人々である」と定義している。

ただ、もう一つ、「共感性の欠如」という点をサイコパスの特徴に加えている。名越康文著の『まんがでわかる 隣のサイコパス』でも、中野信子著の『サイコパス』でも、「共感性の欠如」という特徴が結構強調されている。

これは空気を読むことが大切な、日本の文化的価値観が影響しているのではないかという気がする。

私は、「共感性の欠如」という要素は、サイコパスの定義に入れない方がいいと思っている。

共感性の欠如は、サイコパスだけでなく、発達障害やパーソナリティ障害の人にも見られる。

一方、発達障害やパーソナリティ障害の人には、ちゃんと「良心がある」。つまり良心があるかないかは、「発達障害やパーソナリティ障害」と「サイコパス」を区別するポイントだと、私は思っている。

サイコパスに対する偏見を生まないためにも、サイコパスの定義は「良心をもたない人」ということに絞ったほうがいいと思う。

その方がサイコパスよる被害を避けやすいし、傷つきやすい発達障害やパーソナリティ障害の人たちに、サイコパスというレッテルを貼るという、加害行為を犯すリスクを抑えることもできるからだ。

サイコパスとの実体験があるかないか

『サイコパスの真実』 の著者、原田隆之氏は、少年院や拘置所でサイコパスとされる人たちと実際に接し、診断、処遇することをしてきた。これは、サイコパスに犠牲になった人たちの治療に努めてきたマーサ・スタウト氏と同様、サイコパスに対する実体験があるということだ。

一方、名越康文氏や中野信子氏には著書を読んでみて感じるのは、サイコパスに対する実体験が欠けているという事だ。

この点からも、著名ではあるものの、名越康文氏や中野信子氏の著書はお薦めできない。

従って、サイコパスについて知りたいなら、まずは『良心をもたない人たち』を読む事をお薦めしたい。

尚、中野信子氏の『サイコパス』を勧められない理由について、もう少し知りたい方は、「お薦めできないサイコパスの本は… 」をお読みください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?