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【虎に翼 感想】第37話 荷物を降ろせない寅子


ローリング寅子

そうか!ローリング布団入りの技は、この当時からあったのか!この技は私も既に習得している。

「寅ちゃんには指一本触れないから」と、結婚初夜に宣言してしまった優三さんは、その誓いを律儀に守っていた。となると、この膠着状態を打破するには、寅子から行動するしかない。
だからといって、決して寅子が “肉食” のような描き方をするのではなくって、優三さんの言葉により、自然な感情が寅子を揺り動かしたのがよかった。

優三さんは、寅子が高等試験を合格するか諦めるまで自分は受験するつもりだったと、初めて明かした。

「全てが正しい人間はいないから」「みんないい面と悪い面があって、守りたいものがそれぞれ違う。だから法律がある。」
寅子が社会的地位のために結婚したこと、優三さんが受験のリミットを寅子に委ねていたこと。
正しいだけでは疲れてしまう。余白は必要だ。
だけど、個人それぞれが自分が決めた余白で行動してしまうと、相手を傷つけたり、損害を与えてしまったりするおそれがある。法律は、余白を線引きするためにあるのではないか。余白のための法律。勝手ながら、そう解釈した。

「人が恋に落ちるのは、突然です。」byまちこ

世間はすっかり国民服となった昭和18年5月、寅子は妊娠した。おめでとう!
(吐き気をもよおして洗面台に駆け込むみたいな、ドラマのお定まりの表現じゃなかったのが、これまたよかった)


久保田先輩の変化

久保田聡子は疲れていた。

言葉遣いが以前と違う…寅子と共に視聴者も戸惑う…「ご婦人らしいしゃべり方をしろ」と、事務所の先輩方に注意を受けていたからだ。
夫の実家のある鳥取に引っ越し、弁護士も辞めるつもりだと、寅子に話す。

そして、中山先輩も…しばらく子育てに専念すると…。
それを知らされる妊娠初期の寅子の気持ちよ…。

堰を切ったように、「婦人弁護士なんてものめずらしいだけで、誰も望んでなかったんだ。結婚しなければ半人前。結婚すれば、弁護士の仕事も、家のことも満点を求められる。絶対満点なんてとれないのに!」

久保田先輩は弁護士になってからというもの、錦田弁護士や世間やお国の求める女性弁護士像を引き受けていた。しかし、どう見ても彼女は疲れ切っていた。
事務所の先輩に言葉遣いを注意されても、反論する気力もなかったと見える。
錦田法律事務所は大手だから、いろいろな先輩、上司、同僚がいて、人間関係も大変そうだ。錦田弁護士からは、“ある意味” 目をかけられていただろうから、やっかみもありそうだし。

久保田先輩、今は、降ろせる荷物は全部降ろしてほしい。弁護士資格が失われるわけではないから、また背負えると思ったら背負ってほしい。鳥取にも、男女関係なく、困っている人たちがいるから。その人たちに向き合える日が、必ず来るから。

桂場、いつから竹もとにいたんだ!8時9分からいたな!今のうちに団子味わっておくんだぞ!竹もとの閉店は残念だ。


荷物を降ろせない寅子

よねがとっても役に立っている。雲野弁護士も信頼した様子で、論文をまとめるよう指示している。きっと、求められたレベルのものを作成できているのだろう。
雲野弁護士は、言論の弾圧を目的として逮捕された新聞記者らの弁護をたくさん引き受けていた。
共亞事件以降つづく、雲野法律事務所のカラーがすっかり出来上がっている。1つの事件で成果を挙げると、そこに依頼者が集まってきて、事務所(弁護士)の個性が出てくるのは、ありがちなことだ。

そして、事務所の人員構成がとても良い。
ボス弁(所長弁護士)雲野、イソ弁(勤務弁護士)岩居、同じく寅子、事務員常盤、パラリーガルよねが、それぞれの役割を発揮している。
この構成でずっとやっていってもらいたいが、それは、よねがずっと試験に合格しないことを意味してしまうから、そこがツラいところではある。

・・・・・・・・・・・
寅子は、久保田先輩が担当していた、婦人雑誌の法律相談の連載を引き継いだ。
“私がやるしかない”と、自分を追い込んでしまう。
竹もとでの久保田先輩の話は、寅子にとっては自分の行く末を予言されたようなものだ。
そうはなるものか…仲間と先輩たちの映像に相談者の声が何重にも重なる…受け止めるのは、“私しかいない”
眩暈のする終わり方だった・・・

皆が求めていた弁護士のイスだったはずなのに…座りたい人は座れず、降りる人ばかりで、譲る相手もいない…イス取りゲームどころかイス外しゲームになって、残ったのは寅子だけ…

「虎に翼」5/21より

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