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【2021年7月】今月の新語・流行語 in English ~自粛疲れ・ご当地スタバ・ファスト映画~

こんにちは。旺文社ココマナ編集部のS藤です。
夏本番のお天気が続いていますね。先週はじまった東京オリンピックでは白熱した試合が繰り広げられており、今年はよりいっそうアツい夏になりそうです。

さて、毎月末に世の中を映しだしていることばを英訳して発表する「今月の新語・流行語 in English」。旬な話題のなかから、編集部が広がりやおもしろみを感じることばを選出します。

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それではさっそく、2021年7月の新語・流行語トップスリーをみていきましょう!

第3位「ファスト映画」

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初の逮捕者が出たことで注目を集めたのが「ファスト映画」。ファスト映画とは、映画の映像や静止画を無断で使用し、字幕やナレーションをつけてストーリーを10分程度にまとめて解説・紹介する動画のこと。動画共有サイトに投稿されており、映画の内容がネタバレしてしまうこと、映画の著作権を侵害することから問題視されています。6月23日に3名が著作権法違反の疑いで逮捕され、今月7日にも2名が検察庁に送致されるなど、今後も取り締まりが続きそうです。

「ファスト映画」は movie recap video と言えます。recap は recapitulation「要約、概括」、recapitulate「(~を)要約する、(~の)要点を繰り返す」の略語。直訳すると「映画要約動画」となり、その意味をスマートに表現できます。
日本語でファスト映画と言っても実際には「動画」のことなので、そのまま fast movie と訳さず video と言い換えるのがポイントです。

「要約」という意味で使われる英単語には、summary もありますね。似ているようですが、recap には起こったことの詳細を客観的に、順序だてて整理するという意味合いがあります。一方、summary はより解釈的なもので、話し手や書き手など要約した人の解釈が内容に大きく反映されます。「ファスト映画」では映画のストーリーを頭から順に追っていくので、recap を使うのが適切です。

ちなみに、今開催中のオリンピックに関して、試合の様子を短くまとめた総集編のような映像をテレビやネットで目にすることがありますよね。こういったものを英語では sports recap と言います。

会話で使うときはこんなふうに言います。

The increase in the number of movie recap videos online is causing a lot of damage to the movie industry.
(ネット上のファスト映画の増加によって、映画業界は大きな被害を受けています。)

第2位「ご当地スタバ」

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今だけ味わえる話題のグルメ「ご当地スタバ」が第2位にランクイン!
スターバックスは日本上陸25周年を記念して、全国47都道府県で各地限定フレーバーのフラペチーノ「47 JIMOTO フラペチーノ」、通称「ご当地スタバ」の販売を開始しました。それぞれのフレーバーは各都道府県のパートナー(従業員)が考案。6月30日から8月3日までの期間限定販売で、多種多様なフレーバーが話題となっています。
ご当地スタバ、みなさんはもう試しましたか?

「ご当地スタバ」は local Frappuccino flavors と言うと伝わりやすいです。「ご当地」はすなおに local「その土地の、地元の」と訳してOKです。
この場合、最後に flavors を加えるのがポイント。単に local Frappuccino だけでは、スターバックスと関係ないお店や企業がフラペチーノのコンセプトを盗んで作った商品のように聞こえる場合があります。最後に flavors、もしくは specials を加えることで、local Frappuccino を作っているのがスターバックスであることをより明確に表せます。

ちなみに、local dishes(ご当地グルメ)local mascot characters(ご当地キャラ)のように、ほかの「ご当地○○」にも local が使えます。

会話で使うときはこんなふうに言います。

It seems that peaches are used in this local Frappuccino flavor.  It must be delicious!
(このご当地スタバには桃が使われているらしい。絶対おいしいよね!)

第1位「自粛疲れ」

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7月12日、東京都に4回目となる緊急事態宣言が発令されました。1年以上にわたる外出・移動の自粛に加え、3回目の宣言解除から間もない発令で、終わりの見えないストレスから人々のあいだに疲れが広がっているようです。

「自粛疲れ」は self-imposed fatigue と表せます。self-imposed は「自ら課した」という意味で、impose「~を課す」という意味の動詞が self- と結びついて変化し、形容詞として使われます。ここでは「自粛」にあたります。
fatigue「疲労、疲れ」は、肉体的・精神的、両方の疲労を表現することができる名詞。形容詞の fatigued は、「疲れた」と言うときに使えます。

気をつけることが多い状況が続いていて疲れている、と言いたいときは caution fatigue(警戒疲れ)という言い方もできます。会話で使うときは、caution が何に対するものかを明確にするため COVID-19 caution fatigue と言うのがよいでしょう。

ちなみに、「疲れた」と言うとき、英語にはいろいろな言い方がありますよね。主な「疲れた」の表現と、使うときの簡単なポイントをご紹介します。

tired…最も一般的な表現で、さまざまな程度の疲れを表します。
weary…疲れたり飽きたりして続けるのが嫌になったという意味合いがあります。
exhausted…「疲れ果てた」など、かなり深刻なレベルの疲れを表します。
worn out…exhausted と同じくらいの疲れを表す口語表現です。

会話で使うときはこんなふうに言います。

I’ve been doing yoga at home with videos to relieve self-imposed fatigue.
(自粛疲れ解消のために、自宅で動画を見ながらヨガをしています。)

More than a year has passed since the viral outbreak changed our lives, and more and more people are feeling self-imposed fatigue.
(ウイルスの流行による生活の変化から1年以上経ち、自粛疲れを感じる人が増えています。)

総評

「ファスト映画」「ご当地スタバ」と、一見すると日本語をそのまま英語にできそうなのに、じつはちょっと工夫が必要、ということばが目立った今月のランキング。ことばの見た目に惑わされず、冷静に意味を捉えることが大切ですね。

今週、北海道などの一部地域では7月としての観測史上最高気温を記録しました。夏のスカッとしたお天気も、部屋のなかからだと一見気持ちよさそうに見えるもの。しかし実際外に出てみると予想以上の熱気でくらくら……なんてこともよくあります。自分の体調や気温を冷静に見極めて、心地よく夏を楽しみましょう。


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「今月の新語・流行語 in English」
世の中を映しだしている旬なことばのなかから、旺文社ココマナ編集部がことばとしての広がりやおもしろみを感じるものを選出して英訳し、1位から3位までを発表。英語で決まった言い方がないことばは、編集部が独自に表現を考案します。毎月最後の金曜日に投稿中。

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