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私たちが(そして誰かが)走り続けるためのリレーマガジン
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2020年7月の記事一覧

安心と不安のはざまを、ひと駅分走る【湘南台~六会日大前】

まずい、7月が終わってしまう。最低月に1度はランニングをすると決めたのに、今月はまだ1度も走っていない。がしかし、やる気が起きない。そもそも生活圏内の道はお散歩で何度も歩いているうちに飽きてしまって、走る気にならないのだ。いつもと違う道をめちゃくちゃに走るのならやってみたいような気もするが、私は重度の方向音痴なので、下手をすると家に帰れなくなる。そこでふと思いつく。「そうだ、ひと駅分だけ走ってみよう」と。線路沿いにずーっと走っていけば、道に迷うことなく隣の駅にたどり着けるだろ

走った味

さっきから汗が頬や鼻の下、くちびるを伝って口の中へと流れ込んでいる。「うまい。」意外にも忘れていたが塩を舐めたければ自分で作ればよい。この季節は湿度が高く、蒸発しきらない汗は水滴となって顔の表面から口へと流れ込み、走りはじめて10分でおいしい塩が舐められる。これは自粛生活の中、外を走るようになって思い出したことだ。ジムのランニングマシンで走っていた時は忘れていた。 会社員として働き始めてからしばらくして、ジムに行く習慣が定着した。学生時代は平日の昼間も毎日のように激しく体を

万代で『雪道』を走る “ 旅先で『日常』を走る 〜episode13〜 新潟編 ”

前回のあらすじ~ 難波で『ホーム』を走る ~  " 大阪に対する唯一の思い出がちょっとしたトラウマレベルのものであったのだが、人生とは分からないものだ。なんと40歳を過ぎてから、一気にこの場所が私にとっての『ホームタウン』に一変したのだから。” 万代で『雪道』を走る2019年2月9日、天気予報が大雪注意報を告げている東京を脱出し、緊急避難的に旅に出たスマートな私。というのは嘘で、やんごとない用事のため、三連休の初日から私は夜行バスに乗って旅先に向かった。午前6時、到着地の

難波で『ホーム』を走る “ 旅先で『日常』を走る 〜episode12〜 大阪編 ”

前回のあらすじ 〜 栄で『大通り』を走る 〜  “ ライフステージの変化によって街に対する『視座』が変化すると、それに伴って『視点』も変化する。変化した視点は『上書き保存』されるのではなく、『名前を付けて保存』される。『歴史を修正する』のではなく、『視点を増やす』のだ。 視点が増えることによって、『視野』が限りなく拡がっていく。いわば『セルフ拡張現実』である。" 難波で『ホーム』を走る まずはじめに、ことわっておく事がある。タイトルに "『ホーム』を走る " とはあるが、

2020年上半期のランニングで見えた自身の欲求満たす対極にある捌け口

早朝ランと音との関係性を再考 突然だが、自分は以前のnoteで早朝に走るという事に関して  早朝ランといえば、まず静かです。車が少なく空気の振動がないので音の純度が高い。いろんな音が優しく入ってくるような感じと言っても良いかと思います。(空気が綺麗)  人も少ない。ほぼほぼ散歩かランナーの方にしか会いませんので人の目が気にならない。町、団地、坂、商店街を走っても貸し切り状態。  普段は味わえないまだ活動前の空間を堪能することができます。 と書いていた。さらに、  早朝ラ

夏至の日に走り、父が笑う。

2020年6月21日、朝4時50分。 家の前の道で靴紐をギュッと結んでいる。 猛烈に眠い。なぜなら2時間しか眠れなかったから。 楽しみにしている予定があると、前夜はなかなか寝付けないし朝も異常に早く目が覚める。子供の頃から変わらない、そんな自分が凄く嫌だ。 今から実家まで16キロも走るっていうのに…。 今日は走る仲間たちとオンラインでランニングイベントの開催日だ。 夏至の日に各自走る。日の出から日の入りまで、好きな時間にいつもより長く走ろう。そして毎時00分ジャストの好きな

栄で『大通り』を走る “ 旅先で『日常』を走る 〜episode11〜 愛知編 ”

前回のあらすじ 八戸で『横丁』を走る ” パプリカの花言葉は『君を忘れない』。震災で失った貴重な命を鎮魂した歌『花は咲く』へ向けて、復興を果たす目途が見えてきた8年後に送られる返歌が『パプリカ』であり、この歌に乗って楽し気に踊る子供たちの姿に、私は被災地の未来に対しての希望を感じた。" 栄で『大通り』を走る 2019年(平成31年)4月24日朝6時、名もなきおっさんである私を乗せた高速バスは名古屋駅近くにある笹島ライブに到着した。 天皇陛下の生前退位により、1週間後に

僕たちは、走ることで繋がりなおす

2020年の東京オリンピックは中止となった。 これまでのように一定の空間に人を集めるイベントは開催が難しくなった。 これまで通りのやり方は通用しないのだ。 だからこそ、こう考えるべきだと思う。 一度立ち止まり考える時間を、ウイルスが与えてくれたのだと。 そんなことを考えていた時に、あるニュースが流れた。日常的にランニングの走行記録(アクティビティ)を共有するアプリ『Strava』。 このStravaが、バーチャル・マラソン・イベント『World Wide Team Rel