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住宅の話③日本の住まいを海外から売却

noteの「#住宅購入」記事は実に参考になった。同い年くらいの方がどんな検討を経て、どのような優先順位をつけて最終的にどんな選択をしているのか、ドンピシャな情報はぼかされていたとしてもそれぞれのストーリーから学ぶことがたくさんあったように思う。そこで、国際結婚をしている私たちの住宅歴(日本賃貸→日本マンション→オランダ居候を挟んでオランダ戸建て)を振り返ってみる。


タイムライン

2021年夏に日本からオランダへ引越し(マンションは貸さず売らずそのまま)
  *この間にオランダで家を買う*
→2022年夏に一時帰国してマンションに滞在
→2022年9月に売却活動開始(媒介契約や本人確認などを日本滞在中に終え、ある程度マンションの荷物も片付けてオランダに戻る)
→2022年10月に売却(委任にて)

売ると決めるまで

親族がマンションに住まないことが決まった段階で、夫と私は「売る」ことをほぼ決定。ただ、オランダに一年程度暮らし、「日本は楽だな」「外国人として暮らすのは結構疲れるな」と感じていた私は、一時帰国時の滞在先、兼、十数年後に日本に戻った時の住まいが欲しいとも考えていた。

ただ、定期借家契約で貸した場合の利益と手間を踏まえると、さほどまとまった収入にはならず、「損はしないだろうけど・・・」と言う試算。
また、空き家にしておくのであれば定期的に風通しが必要で、長期間親に頼るのは申し訳なく現実的でなく、空き家メンテナンス代行サービスを使った上で日本に別荘を持つ経済的な余裕はなし。

売ることに決め、4つの不動産に査定を依頼し、海外在住者の売買に比較的慣れている会社と契約。

売る前の一手間(抵当権抹消)

私の名前で残っていた住宅ローンを完済し、抵当権を抹消した上で売りに出すことにした。この辺りは一時帰国の滞在期間が限られていたために時間との綱渡り。
①お金を作る(他の口座からローン引き落とし口座へ移したり、売るものを売ったり)
②最も早く予約が取れた銀行窓口(今回は有人窓口ではなくテレビ窓口が早かった)でローン完済手続き
③三週間ほどで登録された住所宛に抵当権抹消手続きに必要な書類(完済証明)が郵送されるため、受け取って法務局で手続き

この③の住所が、銀行に登録されている住所でない場合は、銀行の有人窓口で本人確認書類を提示した上で受け取ることもできるとのこと。
抵当権抹消手続きは個人でも問題なくできるので、司法書士さんに頼むまでもないが、海外在住などでやむを得ない場合は委任状でお願いできる。

すぐ売れた

ファミリー向けマンションの売り出しが少ない地域でもあり、売り出しから2週間程度で購入申し込みあり。売れるだろうなとは思ったけどその通り。都市部のマンション価格高騰が進んでおり、ぼんやりと2016年に買った物件ではあったものの、時代が味方をしてくれて損はせず。

準備/提出した書類

売買活動開始時

・売却に関する委任状(親族を代理人とするための)、夫と私それぞれ1通ずつ
・夫と私の本人確認書類のコピー(今回はパスポート)

売買契約まで

・印鑑証明の代わりとなるサイン証明
私:日本大使館/領事館にて発行
夫:オランダの公証人の前で署名を行いaffidavitを作成
・オランダの住所が確認できる公的な書類
私:公的な住所証明(オランダの市役所が発行する証明書など)を持参した上で日本大使館/領事館が発行
夫:オランダの市役所が発行
・私の在留証明書:日本大使館/領事館にて発行

登記まで

・住所変更登記委任状
・所有権移転委任状
→この2通は司法書士を代理人とするための委任状
・登記原因証明情報(売買契約書の写しへの私たちそれぞれの署名)

オランダの日本大使館が我が家から遠い(1時間半くらい)のは仕方がないけど、手数料が現金支払いのみだったり、住所証明を複数(不動産会社・銀行・法務局等にそれぞれ提出)申請するにあたり、一枚ずつ手書きしなければならなかったり・・・業務フローの改善をお願いしたい。

早朝にひと頑張り

不動産売買の決済は、原則的には日本時間の午前中に行われる。入金確認ができ次第、その日のうちに所有者移転登記をするから。
代理人に売却を依頼したものの、振り込まれるのは自分の日本の銀行口座(ちなみに私たちは、夫の分も合わせて私の口座へ一括振り込みを依頼)。なので、決済日はオランダ時間早朝2:00頃に起きてオンラインバンキングでスタンバイし、入金確認ができたら仲介不動産屋さんに連絡して、もう一眠り。

年明けにはもうひと頑張り

不動産売却の翌年は確定申告をした。日本国内居住者はマイナンバーカードでオンライン申告できるのに、非居住者はできない・・・オンラインの恩恵を最も受けられるのに。3000万円特例控除制度(居住していた不動産を、住まなくなってから3年目の年末までに売却した場合、譲渡所得が3000万円まで控除される。詳しくは国税庁#3302)により課税されないことから、確定申告で戻ってくるものはないけど、お金の移動をきちんと国に報告。

申告書類を作ってPDFで家族に送るとともに、念のため印刷した用紙も母に郵送し、税務署に持ち込みで提出してもらった。話が前後するが、住民票を抜くタイミングで、居住していた管轄の税務署に「納税管理人の届出書」を母の名前で提出していた。*納税管理人は税理士でも可。
合わせて、私のIDコピーと日本の銀行口座番号を証明する書類も夏に渡しておいた。

他にも色々

子どもと滞在しながら家を空にする作業(モノの譲渡・売却・倉庫への移動・廃棄)も大変だったけど、もう記憶が曖昧。区の粗大ゴミ持ち込み場所が近くて助かった。

家族の理解と協力なしにはできないプロジェクトだったよ。本当にありがとう。

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