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「ジョーカー・ゲーム」柳広司

スパイ小説である。

スパイといえば、007シリーズが有名、最近では。。スパイキッズとかジョニー・イングリッシュとか?あとはあれか!!ミッション・インポッシブル!!
派手なアクション、特殊な道具、女にはモテまくり、映画だとそんな感じだが、リアルはどうだったんだろう?

日本では戦時中スパイ事件があった。
ソ連のスパイ、ゾルゲが第二次世界大戦中の日本で暗躍した事件、手塚治虫の「アドルフに告ぐ」にも出てくる。
もちろん現実の事件なので、派手なアクションや秘密道具は出てこない。

本作は現実と同様、派手さはない、ほんとにリアルなスパイものなのだ。

舞台は第二次世界大戦前の不安定な時代、陸軍に新設された諜報機関が舞台の短編集。
特定の主人公は存在せず、各話の、スパイが潜入しているとこの一般人、諜報される対象の視点で進んで行く。
読者と登場人物は最後に事態の真相や誰がスパイだったのかを知ることになる。

リアルなスパイものというのは地味なんだ。
そりゃそうだ、気付かれちゃダメなんだから、でもそこが、本当にこんな暗闘が繰り広げられたんだろうと想像をかきたてられてたまらなく面白い。

共通して出てくるのは、スパイ組織「D機関」を設立、諜報員を養成した結城中佐、この人物もなかなかインパクトがあって面白かった。

冷戦が終わってスパイものはあんまり、って時代らしいが、まだまだ題材はあるやんと。
戦国時代とか平安時代とかを舞台にしたスパイもの、誰か書いてくれないかなぁ。




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