「夏への扉」ロバート・A・ハインライン
僕らの未来はこうなる!!
っていうのが児童書によく乗っていたよね。
なんか町中にロボットがいて、チューブの中を車が走っている。
料理とかも自動で、学校の先生もロボットでって。
実はタイムマシーン物の未来はもうとっくに通りすぎている。
バック・トゥ・ザ・フューチャーでの未来も、鉄腕アトムが出来たのも、現在より前なのだ。
児童書で読んで夢見た世界にはなっていないね。
いつになったらロボットの友達が出来るんだろうか。
未来は地続きだ、なので現在を反映された未来が描かれる。
現在の世情や空気に未来象も影響されるのだ。
最近では近未来ものとして、NETFLIXオリジナルシリーズで「ブラック・ミラー」というドラマがあるが、その描く近未来が本当にありそうで、そして児童書のように明るいとこだけをフューチャーしているのではないところが、リアルで面白い。
これを見れるだけでも、NETFLIXを続ける価値があると思う。
本作「夏の扉」はSF好きには有名な本だ。
タイムトラベルものとしては、不朽の名作という扱いだと思う。
実はこの本、大学生の時に読もうとして挫折したのだ、主人公はロボット技術者で、その技術に対する考察などが書かれるのだが、そこが読みづらくて序盤で読むのをやめてしまったのだ。
作中に出てくる自動掃除機、「文化女中器」という名称が古臭くてどうしても受け付けず。。
そんな本作、最近日本で映画化されたこともあり、新版が出てた。
同じハヤカワだが、銀背とは言えないカラフルな装丁で。
本屋見つけて真っ先に「文化女中器」を探した、新訳版では「ハイヤーガール」と書いてあった。
本文も図書館で借りた旧版とは違い読みやすくなっているようだったので、自分でお金を出すなら読了できるだろうという考えもあり、購入。
先日読み終わった。
正直言うと、やっぱりちょっと古かった。
だってコールドスリープして向かう未来が2000年だからね。
もう今よりも20年以上前という。。
なんかちょっと分かったのだが、古臭く見える未来って”現物”なんだよね。
チューブで毎朝新聞が送られてくるとか、ほとんどが動く歩道になっていて、それをうまく乗り継いで目的地に着くとか。
でもこれからの未来ってバーチャルになるというのが今の予想でしょ。
スマホやPCの発展の影響だろう、未来は”データ”なんだよ。
そこが違う。
現物というよりも、仮想の世界でつながる、データでやり取りをするというのが今現在から地続きの未来なんだ。
昔に描いたチューブの未来は訪れそうもないね。
あらすじはというと、
ロボット技術者だった主人公が婚約者と共同経営者に会社を乗っ取られる。
復讐の為に二人を訪れるのだが、返り討ちに会い強制的にコールドスリープ施設で眠らされてしまう。
まったくの無一文で30年後の2000年の未来にやってくる。
そこから現状を打破する為、主人公が頑張るって話。
筋としては非常に面白く、「これこれこういうことをした何者か」が自分だったり、じつはあの出来事の裏側で、タイムトラベルしてきた自分が動いていたとかっていう、タイムトラベル物の醍醐味が味わえた。
こんなのが、1979年に発行されていたなんて、そりゃ不朽の名作だわ。
古臭さを跳ね返す面白さがあった。
ちなみに、表題の夏への扉というのは、主人公の飼い猫のピートが冬になるとどこかのドアは夏へ続いていると思い、主人公に全部のドアを開けさせるというかわいいエピソードから。
まぁ日本だと無理だね、そんなにドアないよ。