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「獣の奏者」上橋菜穂子

先日、池袋のブックオフに行った。
サンシャインからほど近い店、非常に大きな店舗だった。
会社の子と時間つぶしで行ったのだが、児童書コーナーに入った瞬間、子供のころの読書体験がぶわーっと押し寄せてきた。
ああ、あの頃はなんてピュアに本を楽しめたんだろう、あの頃のように本を楽しむことが今出来ているのか、と思いをはせた。

ズッコケ三人組シリーズにははまった。
江戸川乱歩の明智小五郎と少年探偵団のシリーズ、シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンのシリーズが最初のミステリー体験だった。
ルパンvsホームズ、なんて夢の対決だった。
貪るように読んだ。

ミステリー以外にも、「ああ無情」や「ジキル博士とハイド氏」、「ジャン・クリストフ」などの名作も読んだ。
「三国志」に「水滸伝」も読んだ。
「路傍の石」もよかった。
あの頃は本当に本を読むことが楽しかった。

少年少女たちには、まあ今は娯楽がたくさんあるけれど、ぜひ本を読んで欲しいと思う。
そんな流れで本作を紹介しよう。

以前記事を書いた「守り人シリーズ」の上橋菜穂子が書いた児童小説。
全4巻、外伝1巻のシリーズものだ。
壮大なファンタジーだ。
大人の摩耗した心で読んでも感動したのだから、少年少女が読んだらどれだけ心に響くのか!!

あらすじというか設定をご紹介。

ある架空の王国。
そこには2つの巨大な生き物がいる。
1つは闘蛇(とうだ)と呼ばれる生き物。
人の言うことを聞く、またがって馬みたいに扱える生き物、戦場で使われる、でっかい蛇というイメージ。
1つは王獣、国の象徴とも言える生き物で、王国に手厚く保護されている。
手なずけてはいけない、誇り高い存在。
ライオンに羽が生えたようなイメージで、闘蛇の天敵だ。

主人公のエリンは、闘蛇を育てる仕事をしている母と二人暮らしの少女。
母はある出来事のせいで悲劇的な最後を遂げ、エリンは天涯孤独の身となるのだが、母が誰にもひた隠しにしていた獣を操る技術を身につける。つけてしまう。
そんなエリンが大人になっていく様子と、王国の運命、王獣と闘蛇の隠された秘密。
なぜ王獣をてなづけてはいけないのか。

上橋菜穂子らしく、伝承に隠された真実や国の歴史の紐解きと、主人公たちの人間ドラマが絡み合って、壮大なストーリーとなっている。
じつは本を読む前に、NHKのアニメを見た。
第一話がすごい衝撃的で、これは原作を読むべき!!とアニメを見るのはやめて、本を購入して一気に読んだ。
ホントにいきなり第一話がこれかよ!!どういう運命だよ主人公!!となるから、本を読む前に第一話だけ見てもいいかも。
いやほんと引き込まれるから!!

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