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「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信

米澤穂信、直木賞とってたねぇ。
すごいねぇ。
世間に評価された人を前から知っている、というのはちょっと誇らしい。
おれは見る目があるんだぞーって。

まあこういうのってめぐり合わせなんだけどね。

その米澤穂信が創元推理文庫にて、文庫オリジナルで出しているシリーズの1作目。
シリーズ名は”小市民”シリーズ。

主人公の男子高校生の小鳩くんと女子高校生の小山内さんは、友達でもなく恋人でもなく互恵関係にある、という不思議な設定からはじまるストーリー。

小鳩は頭脳明晰で推理が得意なのだが、子供にありがちなことではあるのだが、力をひけらかすことで顰蹙をかってしまう。
その性格を高校入学を機に治そうと思っている。
対して小山内さんは、非常に執念深いという性格なのだそうだ。
小鳩くんは”狐”、小山内さんは”狼”。
その二人はお互いの性格を知っていて、お互いの本性がばれないように協力し合う、互恵関係なんだと。
そういう関係だけど、小山内さんの大のスイーツ好きに付き合って、一緒にアフタヌーンティーを楽しむなど、友人のような関係もある二人なのだ。

そんな二人が事件に巻き込まれることで、お互いの本性を出してしまいちょっと後悔するって感じな物語。
長編だが、ちょいちょい小さい謎が出てきて、小鳩くんが我慢できず推理してしまうという、内部に短編が紛れ込んでいるようなお得な作品です。

魅力はたくさんあって。。

1つはスイーツが美味そうなこと!!
小山内さんはスイーツ大好き、スイーツを食べることに非常に貪欲、一人で行くのは嫌なのか、大体小鳩くんを誘うのだ。
この二人がケーキだの和菓子だのを食べるシーンが、また美味しそうで。
スイーツが食べたくてしょうがなくなるのだ。

もちろん推理シーンも非常に面白い。
連続殺人だの血なまぐさい話は出てこないが、ちょっとした謎なので小鳩くんと一緒に頭を巡らせて、そして小鳩くんの推理に驚嘆するという、上質なミステリーを楽しめる。

でもでも一番の魅力はやはり、小鳩くんと小山内さんの関係性なのだ。
多感な高校生の二人が互恵関係だなんて、それだけで済むわけないんじゃないかと。
お互いを理解しているがゆえ、友情さえも飛び越えた感情になるんじゃないかと。
今のところシリーズ進んでいるが、そんな様子は少しも見えないのだが、いつか二人がお互いをお互いの最大の理解者としてパートナーとする日がくるんじゃないかと期待している。
※カプ厨?

アニメ化とかすればいいのに。
絶対人気出るよ。

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