照明の仕込みがひと段落し、屋上へ上がってきた。シガーに火を付け、手すりによりかかり深呼吸…
「朱里、聞いてる?ねえ、朱里ってば。」 「あ、ごめん。なんだっけ。」 「もー、だからー、実…
撤収完了。また静かな空間に戻った。機材が一切なくなり、空っぽになったステージのように完全…
「乾杯!お疲れさまでしたー!」 「お疲れさまー!」 真人先輩の音頭で打ち上げが始まった。…
重い防音扉を開け、無音の空間に入った。誰もいない静寂に包まれた客席。この瞬間が好きだから…
「朱里、どうしよう。やっばいんだけど。」 「うん…」 「テンション爆上がりなんだけど。」 …
「ではまた、来週の水曜日あたりに最終チェックさせてください。」 「わかりました。時間とか…
「はい、そこまで。解答用紙を前に送ってください。」 期末テスト最終日。やっと明日から夏休…
「改めまして、入学おめでとうございます。早速ですがオリエンテーションを始めます。お手元に…
爆音が駄々洩れの部室。扉を開くと押し流されそうなほどの音楽が私とスミカを迎えた。 「スト…
朱里(あかり)は周りに同調して自分を出さずに静かに高校時代を過ごしてきた。大学入試で出会…