おもてなしと犬の嫉妬

ボスの実家である北九州へ初めて行ったのは
入社1年後、23歳の頃。

ボスのご両親にとっては
「娘の会社に初めて入社した社員さん!」ということで、
大歓迎していただいた。

お酒はエンドレスに注がれ
「いちばん若いんだから食べんと!遠慮せんで!」
と、フグの唐揚げや糠(ぬか)で炊いたイワシなど、
たくさんの手作り郷土料理をいただく。

ボスも嬉しそう。

ところが終始、不機嫌な1匹が。
ご実家のゴールデンレトリバーだ。

彼は、ご両親はもちろん、たまに会えるボスのことが大好き。

みんなの愛情を一身に受けている私が気に入らないようで。
私が自分の荷物を持ち上げると、そこにドスンと寝そべってため息をつく。
私とボスの布団の間に入ってきて寝る。

結局、心を開いてもらえないまま東京に戻ってきた。

あれから15年。

わんこにはもう会えないけど、
犬に嫉妬されるほどの手厚いおもてなしをして下さったご両親に、
また会いに行きたい。

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