父親になってビシバシ感じている幸せな『危機感』

５ヶ月前に娘が産まれて僕は父親になった。今までは親じゃなかったから僕にとっても産まれて初めてのことだった。

コロナの影響で微妙だった出産の立ち会いも「産まれる瞬間だけならいいよ」と許可をもらえたので、１０分弱の短い時間だったけどその瞬間をこの目に焼き付けることができた。

娘の産声を聞いて「今ですね〜父親になりましたね〜」とどこか他人事のように感じたことを覚えている。ブカブカの学生服に袖を通して「なおちゃんも今日から中学生ね」と言われたときの気持ちとちょっと近い。

嬉しいんだけどちょっと怖さも感じるのは、「もう戻れないよ」と言われている気分になるからなのかもしれない。別に戻りたいとも思わないんだけど、もう手に入らないものは貴重に感じてしまうもの。一度倒すともう二度と出現しない伝説のポケモンは倒さずに捕まえたい。そんな感じ。

あの日を境に僕の生活は一変した。「え、子供がいるとこんなに変わるんですか？」と言いたくなるくらい一変した。子育ての大変さは色々話を聞いて覚悟していたし、実際に大変だけどそこはぜんぜん問題じゃない。

びっくりするのは時間の感覚。「え、なんでもう夜なん？？」が１５０回繰り返された結果、娘は今にも寝返りしそうなまでに育っている。いや、娘が健康に育ってくれていることは嬉しいことなんだけど。

ただただ時間の流れが大人2人で生活していたころと違い過ぎる。いいとか悪いとかそう言う話じゃなくて、ただただ戸惑う。なんもしてない。いや子育てしてるんだけど。なんもしてないんよ。何を言ってるかわからないと思うけど、僕も何を言ってるかわからないんだ…

自分がやろうと思ったことが未完了のまま１日が終わる感覚。布団に入ってスマホを置くとあれ？と思う。１日は終わりましたけど私のやりたかったことはなにもできていませんね？？まあ疲れましたし、とりあえず今日は寝ますか！

朝だ！今日も娘ちゃんかわいいねえ、おむつ替えましょうミルク飲みますか？大人のご飯も準備しなきゃね、よしひと段落ついたから本でも読も…あ、もう小児科行く時間じゃんね、エルゴ準備して今日の気温は…？ラルフローレン着る？ああもう家出なきゃね！

せっかく外出たから買い物して行こっか、野菜はあっちが安いよそのまま散歩もするか、外歩くとすやみざわすやみだねぇ。寝てるうちにスシローで寿司食って帰ろうぜ、あー美味しかったただいま、うわもう沐浴の時間じゃん、はよ入れないとねんねルーティーン崩れちゃうよ。お風呂きもちいいねえ〜

よし寝た。大人もお風呂に入った。いやーお疲れ様でした。たまった連絡返して…そういえば何やりたかったんだっけ、忘れちゃったな…書き溜めてる文章でも進めるか〜！

もう０時！？寝んと！明日の予定は…よしないなにしようかな、やりたいこと…ん？昨日も同じこと思った気が？？今日も何も終わってないな、１日は終わりましたけど私のやりたかったことはなにもできていませんね？？そもそも何がやりたかったんでしたっけ？？？ま、いっか。寝よ。朝だ！娘ちゃんかわいいねえ〜

僕はこの充実した生活に満足感と居心地のわるさを感じている。自分のペースというものが２４時間どこにも存在しないことに対する恐怖というか。慣れてないだけなのかもしれないけど、マイペースで生きることを信条として生きてきた僕にとっては、ペースが自分で握れない生活は変な感じがする。

もちろんやりたいことはスキマ時間でできる。文章だって書けているし、奥さんの協力もあるから仕事だってできる。セッションだって何不自由なく入れられるし、お金もとりあえず暮らしていける分だけはある。ただ毎日に達成感がない。「自分で何かを終わらせた」と思えることがない。

これは僕にとって大問題だ。毎日心がそわそわしている。幸せとか不幸とか、そういう話じゃない。母子共に健康で、たくさん働かなくても生きていけて、家族3人でずっと一緒にいられる。生活に必要なことが何一つ欠けることがない。これはすごく幸せなこと。

が、それで全てが満たされるわけではない。痛感している。僕は自分のペースで生きてきた人間で、いくら家族に尽くしても満たせない感情を持っている。『家族としての幸せ＝人生』とするのは危険だ。この幸せをずっと守るためにも、僕は家族に全てを捧げるべきではない。そう感じている。

きっとここで「家族が幸せなんだからいいじゃないか」と自分を納得させてしまえば、どこかで歪みがくるだろう。家族は命よりも大事だ。だけど妻も娘も僕じゃない。僕が僕を満たしてあげずに尽くしすぎたら、いつか娘に「お前の人生が僕の人生だよ」と思ってしまうかもしれない。それは、いやだ。

だから僕は今「幸せな危機感」を感じながら毎日暮らしている。この幸せに自分を同化してはいけない。この幸せを守りつつ、同時並行で僕という人間の幸せも確保していかないといけない。他人に尽くすことでいっぱいいっぱいになると、僕の経験上いい方向には転ばない。

本当に大事にしたい家族だから、自己犠牲を伴わない方法で大事にし続ける仕組みを考えないといけない。今のスタイルは３年は持つだろうけど１０年は持たない。「これだけしてやってるのに」と思ってしまう自分がいる。そう言う時は決まって「やりすぎ」な時だ。一点突破しすぎだよ、という警告。

だから僕は今日、いつもだったら赤子につきっきりのこの時間に、何も言わずに部屋に来て文章を書いている。そして勝手に罪悪感を感じている。「自分が面倒を見ないとマインド」になっている証拠だ。

勝手に尽くしまくって勝手に責任を感じている。妻が見てくれているのだから何も問題はないはずなのに。他の人がどう感じるとか関係なく、僕はそういう生き物なのだ。

人生から得た教訓として「いいよね、いいよね」と自分に許可をしながらおそるおそる好きなことをしていったほうが結果としてうまくいく。何もしなくても頑張ってしまう、頑張らなくてもいいことまで頑張ってしまう、わけのわからない生き物が自分なのだ。

「やらなきゃいけない」と思っていることの断捨離が僕には必要だ。それも定期的に。他の人がどうとか、しらない。僕はそう言う人間だからそうする。文章を書くことは楽しい。ソワソワするけれど。

僕はソワソワをやり続ける。パパだけど社会にでて頑張って稼がない。奥さんと娘をほったらかしてでもお金にならない文章を永遠に書く。サウナにもいく。焼肉食べ放題にもいく。それでいいのだ。

この文章を読んでくれているあなたにもぜひ、今日をきっかけに何か『ソワソワすること』に挑戦してみてほしい。遊びに行くとか、お金を使うとか、連絡したい人に連絡するとか、そういうこと。罪悪感を感じちゃうけどやりたいこと。やってみてほしい。

今日の記事がきっかけで誰かの何かが変わることを祈る。公式LINEに連絡しれくれたら僕にできる範囲で背中を押そう。レッツソワソワ。楽しいこと、やろうぜ。以上です。

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